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独立記念日

作者の脳内を作品化しようとしておりますので矛盾が発生する可能性は極めて大きいです。

用法、容量を守ってお読みくださいませ。

「よいしょっと」

 少女は部屋に残っていた最後のダンボール箱を運び出す。

「こんな時期に、引っ越しって、ちょっと変だよね」

 今はちょうど五月半ば、GWを過ぎた微妙な時期だけど、少女自身の危機を回避するためには、仕方のないことだった。


「あのままじゃ、あたしは消えてしまうしかなかった、あいつのおかげでまだここに居ることができるようになったから、感謝はしてるけどね」

 誰に話しかけるわけでもなく、少女は呟くが、みるみる表情は強ばってゆく。

「だいたい、あんなことがあって、取ってつけたように引越しさせるなんておかしいでしょ!」

 この少女、短気である。

「うっさい」

 忌々しげな表情でつぶやく、実はこの少女、世界に干渉することができるのだ、ねぇどんな気持ち?

「そうやって、無駄に感情を煽るようなことすんな!」

 煽っている自覚は……確かにある。

「余計たちが悪いって」

 ふひひ、この先お前さんにはあんなこととか――

 だからね、ラミアさん、地の文遮るのやめてください。

「遮られてもおかしくないこと、書かなきゃいいでしょ」


 これが彼女の日常、ラミア・カイラートの一人芝居の開幕。


「なにカッコつけてんの? バカ作者」

 お前さんも、人を簡単にバカ扱いすんな。

「あはは、でも自覚してんでしょ? それでいいじゃない」

 ぐぬぬ、どこで育て方を間違った――

「ほんとバカ、あんた言ったよね? 今から育てるんでしょ」

 まぁね、もっと素直になって欲しいです。

「元から素直でしょ、あたしは」

 自分の欲望には――

「はいはい、いい加減先に進もう」

 む、そうだな。


 最後のダンボールを鉄板の上に乗せ、ラミアも空いたスペースに座る。

「じゃ行こっか」

 ラミアは何かを念じる、すると少しづつ鉄板が浮き始め、徐々に高度をあげていく。


 お前さん、安直な言葉ですまんが、チートだよな。

「そうしたのはあんたでしょ」

 否定できないから仕方がない。

「で、これからどうすんの?」

 いわば、これは必要な儀式みたいなものだ。

 前の作品からの独立記念、お前さんの世界の誕生ってことな。


「あたしじゃなくて、あんたの頭の中でしょ、この世界」

 今、言ってはいけないこと言った!

「うっとうしいなぁ、もう」

 なんたる態度、感謝――

「前やったでしょそれは、ほんと幅狭いよね~」

 そんなこと言う奴は折檻してやる、また無の世界――

「あ~あ、これならすっぱり消えてたほうがよかった?」

 ラミアさん、すみませんでした。

「それでいいの、素直でよろしい」

 どうやら、こいつにはこの先、頭が上がらないかもしれない。

「今度は、もっとあたしらしくしてよね」

 善処します。


 既に、鉄板の高度は十分に取れていた、ラミアはまだ見えない未来に向かって飛び立った。


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