第6話 「鑑定士、街を騒がす」
第6話です!
遺跡探索を終えたアレンとリリアは、ついに街へ帰還します。
そして今回の舞台は冒険者ギルド。
アレンの鑑定能力が本物なのかどうか――
ギルドでの鑑定によって、少しずつその実力が明らかになっていきます。
さらに、物語の序盤でアレンを追放した元パーティも登場。
ここから物語の空気が少しずつ変わり始めます。
少しドタバタもしつつ、次の展開への前振り回になっています。
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それでは第6話、どうぞ!
街が見えた。
石壁に囲まれた冒険者都市――アルディア。
「やっと帰ってきましたね」
リリアが伸びをした。
朝日が金髪を照らしている。
「遺跡から一晩か」
「普通なら命がいくつあっても足りませんけどね」
「まぁな」
アレンは苦笑した。
SSS秘宝。
神獣。
古代遺跡。
普通の冒険者なら一生に一度あるかないかの経験を、一晩で全部やってしまった。
「とりあえず」
リリアが言う。
「ギルド行きましょう」
「報告?」
「当然です」
そして。
少し悪い笑み。
「あと」
「ん?」
「あなたの鑑定、証明してもらいます」
「……え?」
「そんな能力が本当なら」
リリアは笑った。
「ギルドがひっくり返りますよ?」
⸻
冒険者ギルド。
昼前なのに賑わっている。
酒の匂い。
鉄の鎧。
荒っぽい笑い声。
いつもの光景だ。
だが。
アレンが入った瞬間――
「……あ」
何人かが振り向いた。
「おい」
「追放された鑑定士じゃね?」
「まだこの街いたのか」
ヒソヒソ声。
リリアが眉をひそめた。
「何ですかあれ」
「まぁ……色々あって」
アレンは肩をすくめた。
その時。
「アレン?」
声がした。
受付カウンター。
茶色の髪の女性。
ギルド受付嬢――ミリアだ。
「久しぶり」
「え、本当にアレン?」
「うん」
ミリアは目を丸くした。
「追放されたって聞いたけど……」
「まぁ本当」
周りの冒険者がニヤニヤしている。
「荷物係クビになったらしいぞ」
「役立たず鑑定士」
「ははは」
リリアの眉がピクッと動いた。
そして。
ニッコリ笑う。
「皆さん」
声が響いた。
「この人、さっきAランクゴーレム倒しましたよ」
シン。
ギルドが静まり返った。
「……は?」
「鑑定士が?」
「嘘だろ」
リリアは腕を組んだ。
「嘘じゃありません」
そして。
机にドン。
遺跡で拾った素材を置く。
ゴーレムの魔核。
明らかに高級素材だ。
「これ」
ミリアが息を呑んだ。
「古代ゴーレム素材……?」
「遺跡で倒しました」
「え」
周囲がざわつく。
アレンは小さくため息をついた。
「まぁ弱点見えたから」
「弱点?」
「鑑定で」
「……」
ミリアが固まった。
「ちょっと待って」
そして身を乗り出す。
「鑑定で弱点見えるの?」
「うん」
「罠も?」
「見える」
「宝も?」
「見える」
「……」
ミリアは沈黙した。
そして。
「ギルドマスター呼びます」
「え」
「今すぐ」
⸻
数分後。
奥の部屋。
ギルドマスターが座っていた。
大男。
元Sランク冒険者。
名前はガルド。
「お前がアレンか」
「はい」
「鑑定士?」
「そうです」
ガルドは腕を組んだ。
「リリアが言ってることが本当なら」
鋭い目。
「この街の常識が変わる」
そして。
机に剣を置いた。
「鑑定してみろ」
アレンは視線を向ける。
鑑定。
⸻
【魔剣ヴァルク】
ランク:A
能力:火属性強化
欠陥:魔力循環不安定
⸻
「Aランク魔剣」
ガルドの眉が動く。
「火属性強化」
「……ほう」
「ただ」
アレンは続けた。
「魔力循環が不安定」
「長時間使うと暴走する」
部屋が静まり返った。
ガルドがゆっくり立ち上がる。
「……正解だ」
リリアがニヤニヤしている。
「言ったでしょ?」
ガルドが笑った。
豪快に。
「はははは!」
「面白い!」
そして。
アレンを見る。
「お前」
「この街に残れ」
「え?」
「鑑定士として雇う」
ギルド直属だ。
普通ならありえない待遇。
その時。
リリアがアレンの腕を引いた。
「ダメです」
「え?」
「この人」
アレンを見る。
少し意地悪な笑み。
「私のパートナーですから」
「は?」
「遺跡攻略続けます」
「ちょっと待て」
「胸触った責任」
「まだ言う!?」
リリアは笑った。
ガルドも笑う。
「なるほど」
「いいコンビだ」
その時。
ギルドの入口が開いた。
ドン。
入ってきたのは――
アレンを追放したパーティだった。
「……」
リーダーの男が固まる。
「アレン?」
ギルドの視線が一斉に集まる。
そして。
誰かが言った。
「こいつ」
「Aランクゴーレム倒したらしいぞ」
空気が変わった。
元パーティの顔が歪む。
アレンは思った。
どうやら。
面倒なことになりそうだ。
リリアが耳元で囁く。
「アレン」
「ん?」
「ざまぁの時間ですね」
「まだ何もしてない!」
リリアは楽しそうに笑った。
⸻
――第6話 完
第6話を読んでいただきありがとうございました!
今回は
・街への帰還
・ギルドでの鑑定
・そして元パーティとの再会
という、物語が大きく動き始める回でした。
これまで「役立たず」と言われていたアレンですが、
少しずつ周囲もその能力の異常さに気づき始めています。
そして次回は――
ついに
追放した元パーティとの直接対面。
ギルドでの空気はどうなるのか。
そしてアレンはどう対応するのか。
リリアの反応も含めて、物語が少し盛り上がる回になる予定です。
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