衝撃のふぁーすと・こみゅにけーしょん
シオウが青年+αと遭遇した頃、リオネはと言うと
「………シオウさん、中々帰って来ないなぁ……」
家の中で1人、シオウの帰りを待っていた
「急に飛び出しちゃって…どうしたんだろう…?」
突き出し窓からぼんやりと夜空を眺めながめながら、
「……心配だなぁ……怪我して帰ってこないといいんだけど……」
シオウが無事である事を願い、帰りを待っていた
…………数十分前……
それは、シオウ達が食事を終えて間もなくの出来事だった
「……?…シオウさん、今、なんか聞こえませんでしたか?」
普段は虫の音しか聞こえない夜の森、この森に長い事住んでいるリオネは、そこに少しでも違和感があれば、すぐに気付く事ができた
「…聞こえたね、なにか…人の叫び声のような………」
「こんな弱々しい鳴き声の野生動物なんていたかなぁ……」
不思議に思い首を傾げるリオネ、それを横目になにやら難しい顔をしているシオウ
「ふむ……様子を見に行った方がいいかもしれないね」
そういうと同時に席を立ち、椅子に掛けていたローブを羽織り直す
「すぐ帰るよ、何も無かったらね…!」
そうして、リオネの返答を待たず、颯爽と夜の森へと駆けて行った
「ちょちょっと!シオウさん!?」
あまりにもスムーズに家を飛び出すシオウに、リオネは止めるどころか、声をかけることすら叶わなかった
「えぇ……?」
困惑を声に漏らしながら、駆けて行くシオウを見送る事しかできなかった
そして現在…
静かな森の中から、1人の足音が聞こえる
「……!シオウさん…!?」
それを察知したリオネは、不安と安堵の感情を抱きながら慌てて玄関へ駆けよる
「ただいま帰ったよ…」
少し元気の無いシオウの声がする
「シオウさん!無事でしたか!?」
その声色になにか負傷でも負ったのかと危機感を感じたリオネは、急いで玄関の扉を開け、シオウを出迎えた
……が
「ってえぇ!!?」
そこに待ち受けていたのは、シオウだけではなかった。
シオウが外へ行く前まではいなかった、サボテンから手足が生えたような珍妙な生物と、これといって特徴のなさそうな青年
そして、そのサボテンのような生物がシオウともう1人、見覚えのない青年を、まるで荷物のように担ぎ上げている
「お、お主がリオネはんか?シオウはんから話は聞いとるで!」
唖然としているリオネに対し、お構い無しという様子でトリテンが話し出す
「……………」
もう1人の青年は、すっかり青ざめた顔色で白目を剥きながら口から変な色の泡を吐いている
「…あはは」
シオウは、気まずそうにしながら、それをごまかすように笑う
元々深く考えれるタイプでないリオネにとって、この光景は思考をショートさせる充分な理由となった
「………うん……取り敢えず…………我が家へようこそ!」
そうして思考を放棄したリオネから導き出される答えは
歓迎
なのであった