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大魔導士、異世界で使命を忘れる。

簡易な作りの個室で今、1人の青年が目を覚ます。


青年の名はシオウ、前回の話で異世界転移を行った者だ


「…………ここは……どこだ…?」


痛む頭を抑えながら、ゆっくりと起き上がる。


見覚えのない部屋、見覚えのない窓、見覚えのない布団………シオウは未だに状況を把握できていない様子で


「……何故私は寝ている………?」


シオウは、今の状況に戸惑いながらも、何故こうなったかの原因を探るべく、必死に自身の記憶を思い起こす





前の日の深夜……





遥か天空に、その青年の姿はあった


「転移先の座標指定を誤ったか……」


滝のような雨と共に、頭を下にして落ちている


誰がどう見ても危機的状況だが、シオウはやけに冷静だ


「……空中遊泳〝エアスイム〟…!」


青年がそう呟くと、一瞬シオウの身体が空中で停止するが、すぐに先程と同じように落下を始める


「ふむ……転移魔法の魔力を吸われすぎたかn……」


冷静に分析している内に、樽の中へとホールインワン、その時に頭部を強打し、そのまま気を失った







そして現在





「……その後、現地民に保護された………といった感じか……」


記憶を整理し、現在の自分の状況を理解する


丁度その時、もう一人の青年、リオネが、ノックもせずに部屋に入ってくる


そして、シオウの姿を見るや否や


「わわっ!やっぱり生きてたんですね!」


と、驚い様子でシオウの元へ駆け寄る


「あの…!頭の傷は大丈夫ですか…?」


と、シオウの頭頂部を確認する


「あぁ…お陰様でね、…キミが介抱してくれたのかな…?」


リオネは静かに頷き、こう続ける


「はい、私の家の前で倒れてたので…」


「そうか……ありがとう、私はシオウ、とある使命を果たす為に各地を転々としている魔導士さ。」


魔導士、という単語に、一瞬呆気にとられる


「ま、魔導士……?魔導士って……魔法を使うあの……?」


リオネはそんな事があるわけないと、困惑しながらシオウを見る、しかし、その佇まいや落ち着いた声色からは、嘘を言っているように見えず、思わず聞き返してしまう


「疑ってるみたいだね…?それじゃあ証拠を見せてあげよう」


そういうと、さも当たり前かのように左手から火球を出現させる


「えっ?えっ!?すごい!どうやったんてすか!?」


目の前で〝魔法〟を実演され、驚きを隠せないリオネ


「おやおや…その様子だと、もしかして魔法を見るのは初めて…?」


初々しい反応にきょとんとした様子でそう聞き返すシオウ


「は、初めても何も……そんな…魔法が実現してるなんて……!」


このセリフから、シオウはある1つの事に気付く


(そうか…この世界では魔法は一般的に流通していない…もしくは存在を確認されてないのか…)


「ふむ……色々と説明が不足していたね…ちゃんと1から説明しよう…………………その前に、キミの名前を教えてくれるかい?」


「え、えぇと……リオネです…リオネ、ハーヴェイ」


「興味深い名前だね………私の説明が終わったら、次はキミの事を教えてほしいな…」




長時間の情報交換の末、完全に日が傾いた頃…




「ふぅん……つまりこの世界で生き残っている唯一の人類がキミで、この家や家具は一人になって暇だったから作ったんだ………いやすごいね?魔法もないのに一人で家建てちゃうなんて……………」


「つ、つまりシオウさんは、使命を果たす為にこの世界に来る必要があって、元の世界から転移してきてて……元の世界では最強の魔導士として称えられていたって事でいいんですよね………?…………口にして言ってみると、おとぎ話の主人公みたいであまり現実味がない話ですね……」


無事お互いに知りたがっていた事を知る事が出来たが、それ故にお互いにお互いの破天荒ぶりに困惑する


「というか……話してる途中からきになっていたんですけど………その、シオウさんが言う〝使命〟ってなんなんですか?」


「あぁ……それは…………………………………」


暫くの沈黙と共に、どんどんシオウの顔が青ざめて行く


「……………………………思い出せないっ!!…………何故だ…!」



その時、リオネは思い出す


そういえばこの人、樽越しとはいえ、頭から地面に衝突したんだよな。と


「そりゃ生身で頭から着地したら!記憶障害の1つぐらい起きますよ!」




使命の内容を忘れた大魔導士、これからこの世界で何を目的として過ごすのか、そもそも使命とはなんだったのか、この時の2人はまだ知る由もなかった……

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