疑問が呼ぶ
「アンナが光魔法でやったのなら疑問が残るな」
アルベルトが考え込むように、講習後の話し合いで口を開いた。
「アルベルト様!まだ、信じて」
クラウスが口を挟む。
「いや、アンナがやったとしたら裏ボスのこと知ってる方が不思議だ。」
アルベルトはそういうとフリーデが頷いた。
「たしかに、裏ボスのことなんて聞いたことありません」
フリーデはそう不思議に答える。
「そうだなー裏ボスなんて倒されたの50年ぶりとか言ってたし」
ランツェも納得した。
「けど、どこから情報を手に入れたのでしょう?」
ペトラは疑問をそのままぶつけて考え込む。
「取り巻きの男たちにはそういうの知ってそうやついなさそうだったし」
アルベルトがそういうと腕組みをした。
「もしかしたら、もしかしたらですよ?」
フリーデが真顔になって口を開き、皆が注目する。
「アンナさんを利用してもっと大きな力を持つ人が良からぬことを考えているのではないのでしょうか?」
フリーデの言葉に皆は言葉を失う。
否定することができないからだ。
裏ボスのマップ。
50年間倒されなかった忘れられた存在。
単純にアンナ独断でできることではない。
「フリーデ。気をつけろよ?」
ランツェが突然真剣な顔でフリーデを見つめた。
「どうして?」
フリーデは頭をかしげるが、
「アンナに狙われてるのはフリーデだ。だいたい、そういうやつは利害関係が一致してる奴らと組んでいるからな」
ランツェは自分の考察をフリーデに話して心配そうな顔をした。
「ランツェもアンナさんに狙われてるってことは危険なのでは?」
フリーデも心配した顔をしてランツェの腕を握る。
「婚約者の心配くらいさせろよ?しかも、俺はアンナに命は狙われてないぞ?」
ランツェはフリーデの手を取って手を握る。
イチャラブを見せられた3人は少し呆れ顔で笑ってその話はお開きになった。
「もう!この!あのフリーデが!!」
「そんなにキレることない。まだ手はたくさんある」
アンナが悔しそうに足踏みをしていると、木の陰で褐色肌の男子生徒がアンナを冷静に諭して、アンナほうに妖しい色をした小瓶を投げてきた。
「なにこれ?」
アンナは不思議そうに小瓶をつかみじーっと見つめる。
「この国では禁止されてる我が国が作っている薬だ」
男子生徒は薬の説明をアンナの耳元でしてアンナはニヤリと笑った。
「わかったわ。そう使えばいいのね?」
アンナは校舎の中に走って向かっていく。
「あぁ。フリーデ。早く俺のものにならないかな?」
男子生徒は、そうつぶやいて舌なめずりをしてうっとりとしていたのを誰も見てはいなかった。