魔法実技テスト
「フリーデさん!!今度の魔法実技テストで勝負しましょう」
アンナは突然フリーデに宣戦布告してきた。
「何でそんな事しないといけないんですか?」
フリーデはため息を吐いた。
「勝ったらいじめをやめてください!!」
「だから私は何もしておりません」
しつこいアンナに頭が痛くなりそうであった。
だが、フリーデは思いついた。
「はぁ、では勝ったら今までの態度を改めて謝罪を求めます」
フリーデの言葉にアンナは満足げに頷いて、
「あなたを敗北させてみせます!!」
といってアンナは去っていった。
フリーデはそんなアンナにどうすべきかと思った。
そんな中始まった魔法実技テスト。
「私は剣は苦手ですが、魔法なら数少ない光魔法の使い手として、かなりの成績を収めてます!降参するなら今ですよ!!」
アンナは闘技場のグランドで叫んだ。
フリーデはアンナの言葉を無視して、体を軽く動かして温めていた。
周りを見渡すとランツェがフリーデに向かって手を降っていたので、フリーデも手を振り返した。
それを見たアンナは怒り唇を噛んで足を地面に何回か踏みつけた。
「これよりアンナとフリーデ・ボルンマンの魔法実況テストを始めます。」
魔法科の教師はそんな二人を無視するように進行をした。
「でははじめ!!」
先に動いたのはアンナだった。
「ホーリーアロー!!」
光の矢をフリーデに向かって使った。
すると、それを瞬間的に避けた。
「ホーリーアロー!!」
「ホーリーボルト!!」
「ホーリージャベリン!!」
アンナの連続攻撃に人間とは思えない速さで避けながらフリーデはアンナに近づく。
そしてフリーデがアンナの首元に手を添えた。
「そこまで!!勝者、フリーデ・ボルンマン!!」
「イカサマよ!!魔法使ってないじゃない!」
「いえ、フリーデさんはちゃんと魔法を使ってましたよ」
「え?」
「私は火、水、風、雷、土、光が使えない代わりに身体強化魔法が使えるんです」
フリーデは自分の使える魔法について教えた。
「淑女としてはありえないと父には禁止されてましたが」
アンナからある程度遠ざかって、拳を地面に叩きつけた。
「軽くこの程度はできます」
硬い岩でできた筈の地面が拳に向かって凹んてヒビが大きく入った。
アンナはそれに尻もちをつき震え上がった。
「外部入学のアンナさんは知らないかと思いますが、フリーデさんは身体強化については私達教師も目を見張るほどの才能をもっております」
魔法科の教師はそう言って付け足した。
「こんなの!こんなの!魔法じゃないわ!!勝負じゃないわ!!」
「いえ、フリーデさんの勝ちです」
アンナのあがきのような言葉に魔法科の教師は言った。
「強化魔法は伝承の勇者の仲間である剣闘士も使っていたという由緒正しきちゃんとした魔法です」
魔法科の教師は淡々と説明を続けた。
「しかも、身体強化魔法はコントロールの難しく、周りに暴走を起こすだけではなく、失敗すると体に支障をきたす魔法です」
フリーデにニッコリと微笑み、アンナには叱りつけるような鋭い目をして見つめた。
「珍しい光魔法が使えるからといってフリーデさんのように努力続けてコントロールの難しい魔法を侮辱するのはゆるせません!!」
とアンナを叱った。
ペトラが拍手してそれに続くように、アンナの味方以外の観客の生徒全員が拍手してフリーデを称賛した。
フリーデは頭を下げてランツェのもとに向かった。
「やっぱりフリーデはすごいな」
とフリーデの頭をランツェは優しく抱き寄せて撫でた。
「許さない!許さない!」
アンナはそう低い声で小さく呟いた。