令嬢のお茶会ならぬ被害者の会
「フリーデ・ボルンマンです」
今日はエレーナに誘われたお茶会。
挨拶をするとみな温かく拍手してくれた。
他愛のない会話を色々と話していた。
別に苦にもならなく、むしろ楽しかった。
フリーデは明るくなる一方で終始暗い令嬢が1人いた。
「大丈夫ですか?何か具合でも」
とフリーデが声かけると令嬢が顔を覆い泣き出した。
「すみません、貴女は悪くないんです」
フリーデがハンカチを渡すと涙を拭いてボソボソと話しだした。
「実は私の許婚が庶民の女子生徒と仲良くしていてむやみに許婚のいる殿方といるのは良くないと注意したら『私と友達になれば解決します』といわれ意味がわからなく断ったら許婚にそのことを叱られてしまい」
「知ってるわアンナっていう庶民の子でしょ?貴女の許婚はその、新しいものや珍しいもの好きだからそういう対応したのだと思うけど、そのアンナは何考えるんだか!」
と別の令嬢が怒りながら続けて
「私も庶民の子に許婚を話しかけられて『許婚と仲良くしてるので友人になりましょう』って言われてたわ『勝ったら友人になるわ』って剣でボコボコにしてやったけど」
と言った。
すると他の令嬢も私もこんな事があったとトラブルを話した。
どうやらここは許婚がいる令嬢たちもといアンナの被害者の会らしい。
みんな許婚と仲良くされて友達になりましょうといわれるのがアンナのいつもの手である。
アンナとは仲良くはなれない。
フリーデとそこにいた令嬢たちの意見である。
お茶会が終わったあとフリーデはランツェに思い切って話すことにした。
「私がアンナっていう子と仲良くしたほうがいい?」
「んー?」
ランツェの間抜けた声が聞こえた。
「フリーデには性格合わないだろ?無理して友人になることはない」
とランツェはフリーデにそう言い切った。
「どうせ学園卒業したらフリーデを大事なお客様にするつもりだろうし」
ランツェはそう言い足した。
「どういうこと?」
「いちおう流行のものとか装飾品を取り寄せてる商家の娘なんだと、で許婚とかにも贔屓されるのが夢なんだと」
ランツェはフリーデの膝に頭を置いた。
「けど、今のままだとそんなの」
フリーデはお茶会であったことをランツェに話した。
「だろうなー俺も面倒事が起きないようにフリーデのこと隠していたんだかな」
どっから嗅ぎつけたんだかと言うランツェの茶色い髪の頭をフリーデは撫でた。
フリーデは決意した。アンナに困っている令嬢たちを助けると。
まず、ランツェに助けてもらうことにした。
許婚である男子生徒に対して、令嬢たちがどうして不愉快に思ってるのかを伝えてもらい、最悪の場合は婚約破棄になるほどこじれると言ってもらった。
すると泣き腫らした令嬢の元に後日従者に叱られて反省しきった許婚の男子生徒が現れて、ちゃんと謝って貰えたそうだ。
どうやらランツェとその許婚の男子生徒は結構仲が良かったらしく、ランツェのドストレートな言い方も響いたらしい。
「ありがとう!あなたは恩人よ!私ペトラ・ブルーノ!これからあなたが困った時は絶対助けるわ」
あの時泣いていたペトラとは違いとても明るくなったようで、本当に良かった。
「じゃあお願いがあるの」
「なあに?」
「お友達になって欲しい」
フリーデの言葉にペトラは驚いた顔をしたあと軽く微笑んで、
「私でよければぜひ」
とペトラは答えた。
「おかしいじゃない!!!」
とアンナが叫んで怒りを全身で表現するようにドスドスと音が鳴るように歩いてきた。
「なんで私はダメなのよ!!」
周囲の冷たい視線を感じないのかアンナはそうフリーデたちに言った。
「私はこの子の優しいところが気に入って友達になりたいと思いました」
とフリーデは凛とした態度で答えた。
「わ、わたしは話を聞いてくれて解決してくれたこの人の強さに友達になりたいと思いました」
とペトラもすこしおされながらも答えた。
「今までの友達もよそよそしくなって…」
アンナは少し下を向いて考えて、ぱっとフリーデを睨みつけた。
「あーそー!そういうことね!」
「なんですか?」
「あんたが悪役令嬢なのね!フリーデ・ボルマン!!あんたからランツェを救い出すわ!!」
とアンナはよく分からないことを言い出した。
反論しようとすると走り出しどこかへ行ってしまった。