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来世でも実況したいと願ったら"スキル実況"を獲得しました  作者: とびし
六章 武人の領土~タチマチヅキとモチヅキ領~

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(1)

「俺は小田健一です、後ろはミヤビにマルカにシュエリにメェルです」

「久しぶりなのだ!」

「あらぁ!何年振りかなぁ?久しぶりだねぇ!」

 マルカとナイルの抱擁を見守る。小さい子が久しぶりに会ったみたいな感じに見えるけど…多分”何年”とかの単位じゃないんだろうな。”何百年”とかの単位なんだろうな。

「魔族…ですか?」

「そうですよぉ?見えないですよねぇ?うちは実は…収納出来るタイプなんですぅ!」

 目の前で翼がバサッと広げられて、少しだけ驚く。更に、額に角が生えた。諜報活動で重宝されそう!あ、ダジャレじゃないよ?そうだ、ここに居てはなんだし…領主の所に案内しようか?それと…鍛冶場を建立する話とかもしなくてはならないか。この街に鍛冶場とか無さそうだし…。

「ほぉ?そちら様が鍛冶屋かの?」

 後ろからタチマチヅキの声がして慌てて振り返る。いつの間にか後ろに立って居たみたいだ。やり取りを全て見ていたみたいで”こっちに来るんじゃ”と言って俺らを案内してくれる。領主宅から少しだけ街に近い所、そこには無人の小屋がポツンと建っていた。

「ここが鍛冶場じゃよ」

「わぁ!鍛冶場っぽいですぅ!」

 ナイルは喜んで、中身を確認しに行く。鍛冶場があるのに、どうして鍛冶師が居ないんだ?魔人族とかと仲が悪いとか…?でも、話している限りはそう言った事情は見受けられない。どういう事なんだろうな。

「鍛冶場があるのに鍛冶師が居ないんですか?」

「そうじゃの…事情があるんじゃが…」

「タチマチヅキ、話せばいい」

「そうか?では話すとしようかの?」

 鍛冶場があるのは、元々鍛冶師が居たという事で間違いない。しかし、鍛冶師が逃げ出してしまった。領民は自分たちがどういう風に手入れされたがっているかを分かっているため、要望が数多く飛んでいく。それを一人でこなしていた鍛冶師は限界を迎えたそうだ。

 やれば文句を言われる。それに、数多くの武器を手入れしなければならない状況が拍車をかけた。武器はそれぞれ、手入れの仕方が少しずつ異なっていく。だからこそ、慎重にやらなければならない。慎重にやれば、仕事が増えてを繰り返す。まぁ…環境的にブラック労働だったと。

「なるほど…ナイルは大丈夫かな?」

「大丈夫なのだ!奴は…すべてを武器に捧げた研究者みたいな物なのだ!」

「は?どういう事?!」

「彼女の胸の内は…武器で満たされていますよ?」

「はぁ…マジか。」

「健一さんと似ていますね!」

「そうなの?俺ってそんなに実況しかない?」

「今は仲間だったり、魔王様だったり、様々ありますが、最初は平和が少しと後は実況でした!」

 へぇ…俺ってそういう感じだったんだ?まぁ…そう考えれば確かに似ているのかも?ミヤビは気づいた顔をして”ナイルさんに入る隙はありませんよ?”とフォローした。言われなくても狙ってないわい!俺の心の叫びにミヤビは胸を撫でおろしていた。

「でも、それらを全て兼ね備えてくれたおかげで今こうして、この領地の問題を解決できるのなら…願ったり叶ったりだね」

「そうだね?僕らも武器を手入れしてもらいたいぐらいだよ?」

「あ…俺らの武器ね?」

「そうじゃな?そちら様方の武器の具合も相当くたびれておるな?」

 タチマチヅキは俺らの武器を見つめて感心している。”よくもまぁここまで使えるものじゃ””これは…変える時かもしれぬな?”とか呟いている。シュエリのメイスとかメェルの盾とかもそうなのか?俺の剣は…まぁかなり年季が入っているとは思うけど。これで斬れているのが不思議なぐらい。

「所で…ナイルが出てこないけど」

「うむ、鍛冶場を起こしているのだ!」

「鍛冶場を起こす?」

「眠っていた鍛冶場を起こして、使える状態にするのだ!」

「へぇ…そんな事するの?」

「そうじゃな…もう既に領民も集まり始めておるしな?」

「そう…へ?」

 俺らが話していた後ろには行列が出来ていた。マジか?!俺らはそんなに大声で話していただろうか?俺が首を傾げながら行列を眺めていると”いい鍛冶師の元には武器が集まるものじゃよ?”とタチマチヅキが耳打ちしてきた。なるほど、そういう事か。じゃあ、邪魔するのも悪いし…帰ろうか。

 翌朝、街の様子を見るとなんだか華やかになっている気がする。行き交う人々は皆…普段と変わった着物を着ている。どうしてあれを最初から着なかったんだろう?今まで来ていた着物はシンプルでくたびれた着物だった。今は、華やかだけど主張しすぎない綺麗な色で、しっかりした着物だ。

「なんだろうね?」

「おめかし…したくなったと…思います…?」

「そうかもね?」

「男性も女性もいつもよりもニコニコしているね?」

「きっと何か良い変化があったのだ!鍛冶場に行ってみるのだ!」

 俺らは鍛冶場に向かう。大行列になっているのは変わらないのだが…。中を覗いてギョッとした。中で鍛冶をしているナイル、その隣には裸の武人族?!なんじゃあれ?!俺はすぐに目を隠して、後ろを向いた。そしたら今度は日本人形が…気絶しそうだ?!

「ぎゃぁぁぁぁ?!」

「何を驚いておるのじゃ?わっちを忘れたのか?」

「あぁ…ごめんなさい。所で領民がめかしこんでいるのは…なんでですか?」

「それはの?めかしこんでいるのではない、着物の姿が元に戻るんじゃよ?」

 武器本体が綺麗になり、錆びなんかが落ちると体が軽くなる。すると、今までの着物が姿を変えるのだとか。本来の色合いや形は手入れ後の姿の着物なのか。

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