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来世でも実況したいと願ったら"スキル実況"を獲得しました  作者: とびし
六章 武人の領土~タチマチヅキとモチヅキ領~

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(1)

 寿命が長ければ、人間はここまで進歩していなかったと言う話を聞いたことがある。寿命が長ければ長いほど良いか?と言われればそうではない。寿命が短いからこそ、創意工夫をしてどれだけ自分の生を豊かに出来るかを考える。明日が来るか来ないかは明日にならなければ分からない。

「寿命が短い方が良いですか?」

「そうじゃの、別に長い短いはさほど問題視してはおらぬのじゃ」

「使い手が居なくなる、それの方が問題。なら、武器として消える方がいい」

 物には魂が宿る、付喪神と言う概念の話。人を誑かす、なんて話があるけれど。ここに居る住民は皆、付喪神なのかもしれない。長い年月を経て使い手と歩んだ道のりを忘れることが出来ず擬人化した。しかし、使い手はもう武器を放って居なくなる。モチヅキが反対する理由も分かるし、タチマチヅキが解決しようとする理由も分かる。

 寿命が尽きそうな者は明日を望み、寿命が残っている者は漫然と生きる。あぁ、難しい問題だ。ただ、一つだけ言えることは…武器の使用者をどうするか、を選択すればいい。使用されれば、寿命が延びても大丈夫なのだろう。

「鬼人族とは仲が悪いですか?」

「悪くない、あいつらは力だけで技が無い」

「わっちらの意思が伝わらないんじゃよ」

「へぇ…そういう事も起こるんですか?」

「だから、今から滅んでいく、それが運命」

「違うと言うておろう!ここが好機なのじゃ!」

 話し合いは平行線。終わる気配を見せない、それどころかヒートアップしていく。そもそも、何故モチヅキはそこまで嫌がっているんだろうか?その理由は知りたい。捨てられた、とか何か特別な理由があるのかもしれないし…。いや、深く聞いてもいいのだろうか。

「寿命が長いと何故いけないのですか?」

 ミヤビが俺の横から聞いてくれた。きっと、俺が聞きづらい事を肩代わりしてくれたのだろう。ミヤビが”貸し一つですよ?”とこそっと呟いた。あはは、怖いお願いじゃなかったら…聞くよ?モチヅキはこっちをクルリと振り返り”長くて良い事はない”と呟いた。

「その話はちと長くなるのう…そうじゃ、屋敷に来るかの?」

「明日でも良いですか?今日は色々ありまして」

 辺りは真っ暗で、人っ子一人居なくなっていた。タチマチヅキは”うむ、良いぞ?明日もここに来るが良い。”と言って、二人で暗闇の中へ消えて行った。俺らも宿の方へ引き返していった。

 宿の部屋で思考を働かせる。長くて良い事はない…か。確かに、悠久ともいえる程の時を過ごす事が良い事かどうかは議論の価値があるとは思う。きっと…心を揺さぶられる事が無くなってしまうのだろうな。どの世界でも起こりえる事だとは思う、慣れてしまうんだ、世界という物に。

「そうかもしれませんね?」

「俺はさ?多分…この中だと寿命が短いんだ」

「私も…短い…です…」

 皆は静まり返る。ぶち当たった寿命問題…これを解決する事は出来るのだろうか。言いくるめたい訳でもないし、納得してしまう。武器は地中に埋められた物なんかも出土することがある。それだけ長い事生きることが出来るという事でもある。

「連れ出してやるのが良いのだ?」

「そんなに簡単じゃないんじゃないかな?タチマチヅキならまだしも…。」

 タチマチヅキは柔軟な思考をしていそうだし、生きる事に対して望みを持っていると思う。モチヅキのあれは…ある種絶望の様な物なのかもしれない。長い事生きるのを生きなければならないと思い込んでいる。それを解いてあげるというのは簡単な事ではないだろうな。

「俺は後…どのぐらい生きることが出来るんだろうな?」

「な?!そんな悲しい事を言わないでくれるかい?!」

「いや、悲観している訳では無くてね?いつ死ぬか分からないんだ、皆も。」

 せっかく出来た仲間だけど、考えなくてはならない。特に、戦いに重きを置いている人物は皆そうだ。生きるために他者を食う、生きるために他者を殺す…。そういう物だ。ただし、希望はあった。長い話って事は…何かがあったという事でもある。何とかしてあげられないだろうか?せっかく長寿なんだ、面白い事でも提供してあげられれば……面白い事?

「そうか!俺の実況を使って…いや、どうやって?」

「どういう武器になるんだい?」

「あ~ヘッドセットとか?」

「な…なんですか…それ…?」

「音を聞きながら、喋るための装置みたいな物かな?」

 変な武器ではあるけれど…それに望みを託してみるのは良いかもしれない。だって、見た事無いでしょ?この世界でヘッドセットとか!それになる事によって、俺の実況を聞いたりすることが出来て……。それで喜んでくれるなら。明日は…実況を実際にしてみるのが良いかもしれない。心の中じゃなくて喋らなきゃいけないのか。

「舌…回るかな?」

「わたくしが回して差し上げましょうか!」

「それ、舌…取れるでしょ?!」

「いえ、大丈夫です…お任せください!」

 ぎゃぁぁぁぁ!!!やめろ!!!と、取れる!!!ミヤビに俺の舌を掴まれて、ぐりぐり回されて…ある程度舌が動くようになったと同時に、舌がジンジン痛んだ。

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