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来世でも実況したいと願ったら"スキル実況"を獲得しました  作者: とびし
五章 鬼人の領土~シデン領~

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(1)

「こっちに来るのだ!」

 そのままもう一度手を引かれて、奥の方へ案内される。言動はまるっきり子供のそれだが…俺より遥かに年上なんだよなぁ…。後ろを振り返れば、三人のその後ろにメイドが列を為している。なんか…大所帯になってしまった気分だ。余計にハーレムな感じになってしまった。

 長い廊下を歩いて行くと、突き当りに扉があり、そこに通された。中は、貴族らしからぬ簡素な部屋。本棚が壁一面にあって、真ん中に机。机を挟んでソファーが二つ置かれている。片方にマルカが腰かけたので、反対側に恐る恐る三人で腰かける。一体、こんなに奥にまで案内して何を話すと言うのだろうか。

「此方もそのパーティに入れて欲しいのだ!」

「んな?!どういう事です?」

「此方は研究をするために生きているのだ、そのためなら何でもしたいのだが…そこまで強力な魔物は倒せないのだ」

 なるほど…研究者と言う生き方の為に、俺らの仲間になりたいのか?それは良いんだけど…何故かミヤビが首を横に振っているんだよなぁ…。なんなんだろう?何か思うところがあるのかな?ミヤビは俺を押しのけて”言いたいことがあるのなら仰ってください?”とマルカに向けて挑発をした。

「そうなのだ、後…君たちは奴隷ではないのだ?」

「まぁ…そう見えますよね、奴隷ではないですよ?」

「其方には聞いてないのだ!三人とも、此方の目をよく見るのだ」

 マルカは俺の方には目もくれず、三人の目を見つめる。三人はじっと見つめる、見つめている…と言うより睨みつけている。そんなに怒らなくても大丈夫だよ。何か意図があるんだろうね?俺には全く分からないけども。マルカは溜息を吐いて”良かった、本当に奴隷では無かったのだ”と呟いた。

「分かるんですか?」

「敬語は良いのだ!なんだか…話しにくいのだ!」

「そうか、じゃあ遠慮なく。」

「そう、此方は魔法が使えるのだ。だから隷属されているのなら…倒さなければならない、そう考えていたのだ。」

「言わせておけば!!!あなたはどこまで侮辱するのです!!」

 ミヤビが憤慨して立ち上がろうとした。俺はそれを牽制して、止める。俺はマルカの判断は正しいと思う。もし、俺がそういう事をしていれば倒して欲しいと思う。ただ…こちらの事情も知らないのに好きかって言うのは…ちょっと困ったかな。

「流石に言い過ぎかな?俺達の事情は分からないだろう?」

「そうなのだ…だから申し訳ないのだ、疑って悪かったのだ…。」

 マルカが俯いて答える。謝罪を聞いた瞬間、ミヤビ以外も息を整えて落ち着いた表情を取り戻した。よしよし…何とかなった。正直、人間はそれだけの事をしてきたんだと思う。こうやってすぐに疑われるぐらいの事を。それと、倒そうとしてくれるのは有難い。この認識が広まれば…いや、戦争になってしまうかもしれないか。どうしたものかな。

「その認識を魔王は持っていると思う?」

「あぁ…その話なのか?持っていないと思うのだ。」

 マルカは俺を見つめて、自分の過去を話し始めた。

 マルカが最初に勤めていたのは、魔王城。魔王城では、様々な研究が行われていた。魔法を道具にしたり、魔物に対する研究、種族に対する研究。ありとあらゆることをしていた。だけど、先代魔王が人間の王と話をして、平和が訪れてからは何もかもが機能しなくなった。

 更に状況は悪化していく。今の魔王は平和を重んじるがあまり、人間が攻めて来たとしても何もしない、と宣言しているらしい。それに対して、城下も魔王の意思の通りに動いているから誰しもが危機感を持っていない。簡単に言えば平和ボケしている状態なのだ。

 それにしても…やはり魔王は何かを起こす気はないのか。もしかして…魔王はもう居ないのか?自分の国が攻められるかもしれない、と言うのに平和を重んじるなど出来る訳がない。民も対策を取らないと、死んでしまう可能性すらある。戦争を起こしたい訳ではないのだが…どうするべきか。

「マルカはそれについてどう思うの?」

「戦争をしたい訳ではないのだが…防御ぐらいは固めた方がいいと思うのだ。」

「そうだね、俺はコルトランドの王と話したことがあるけど、戦争をして奴隷を増やしたいって言ってたよ」

「んな!?そこまで進んでいるのだ?」

「うん、だから魔王に会って話をして対策しようと思っていたんだけど…。」

 この話を聞いたら…魔王と話しても何も変わらないかもしれない、とか思ってしまった。困ったなぁ…今はまだ平和ではあるけど、ギリギリの状態なんだ。戦争をしないという方向に持っていくのは無理…なのだろうか。諦めなければならないだろうか。俺とマルカは二人して考え込んでしまった。

「健一君…仲間になるとかならないとかの話はどうするんだい?」

「あ、そうだった」

「仲間に入れてくれるのだ?」

 俺がもし、誤った方向に進みそうになった時に止めてくれそうなのは…マルカだと思う。俺と意見が一致しているし、イトベリアを何とかいい方に向かわせようとしている。何より…やりたい事をやっているのは、応援したくなるよなぁ。

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