表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
来世でも実況したいと願ったら"スキル実況"を獲得しました  作者: 鳶雫
一章 人間の領土~首都コルトランド~
6/123

二話 国の背景と強い野望

 目の前に置かれたのは、三千枚の一万円札。金額の方にも驚くのだが、見るからに日本で使用していた紙幣と同じ。異世界ではなく、ここは日本を模して造られた空間だとでもいうのだろうか?だが、外に並んで立っている家々はまるで日本の物とは別物なのだが。

 これは…価値はそのままだろうか?日本の物と同等であるならば、一回の討伐によって大金持ちになってしまったという事だよな。王都だと、東京と同じ…物価なのか?だと、宿泊する場合なんかは高価になりかねないけど。

「申し遅れました、私はギルドマスターで、ハイロンと申します。所で…ここからが本題なのですが。」

「私は…オーキチです、一応話は聞きましょう。」

本名を明かすのは少しリスキーかもしれない。どんな事情があるかを丁寧に汲み取る必要がある。大体、こんな感じで接待される時ってのは碌な事にならない、と俺は前世で感じていた。実況を使ってスポーツに関与する事で、スポーツの公平性を欠くような提案を受けた事もしばしばある。所謂八百長を隠すための物だったり、評価を著しく下げたり。実況はそれだけ、大衆に受けていたという事でもあるのだが、いい気はしないし乗ろうとも思わなかった。

「この国が戦争を起こしている事はご存じですか?」

「……は?戦争を”起こしている”?」

 日本に居た時もニュースでしか聞いたことないワードに言葉が詰まる。戦争なんて起こしてもいい事は起りはしない。無駄な血を流して、悲しみや怒りを煽り、相手の土地を踏み荒らす。”人間”がやっていい事ではない。それを起こした?

「はい、なので兵士が必要なのだとか。どうでしょうか?」

「どう、とは?」

「兵士になられてみては?他種族と戦えますよ?」

 お国のために!を俺にやれ、と?出来る事なら関与したくない。まさか、この金額は支度金……なんてことはないよな?それは悪く考えすぎ、か?だけど、大蛇がこんなに簡単に殺せるならと思われているなら……。

 何やら外が騒がしい事に気づく。してやられたか、と感じた。どたどたとこちらに複数の足音が近づいてくる。一人の兵士を集めるために複数人の兵士を派遣するのか。いや、国のために働く、と思わせるためには”脅し”を使ってくるとは到底考えられない。しかし、そんな想像は儚く散る。その証拠に、目の前のドアは激しく蹴破られる形で鋭い音を立てて開かれた。

「連絡で聞いた冒険者だな?」

 複数人の重装備をした兵士が並び、先頭の兵士が俺に向かって横柄な態度で聞いてくる。見た所、六人程度の少数人数ではある。ただ、こちらが一人というのには変わりない。状況は不利、逃げる事は……不可能だろう。

「はい、きっとそうなのでしょうね。」

「国王様がお呼びだ、今すぐに支度をしろ」

「嫌だ、と言ったらどうしますか?」

「殴ってでも連れて行き、不敬罪で奴隷落ちだ!」

 槍の切っ先をこちらに向けてくる。本当に不愉快な連中だ、俺は意志を持った人間な訳なのだが、それすらを操ることが出来ると思っている。これだから”人間”は嫌いなのだ。もし、他種族と会う事があれば…もしかしたら分かり合えるかもしれない、そんな事を考えてしまった。

 支度をしろって言ったって…目の前の金を仕舞うだけか。さて…断ったら奴隷とまで言われているから、行くしかないんだけど……本当に気が乗らないな。というか、なんだ?貴族は特権階級みたいなこの感じは。人の上に人を置くんじゃないよ。

「早くしろ!」

「分かりましたよ、行きますから」

 席を立ちあがり、ギルドマスターを睨みつける。ギルドマスターはニコニコしていた、これはグルなんだな。国がいい人材を集めるためにやっているのだろう、このギルドという事業を。そうして、兵士が俺の事を囲んで、ギルドを後にした。

「ところで、これ、何とかなりません?罪人みたいじゃないですか?」

「お前に拒否権はない」

 囲まれて王城へ連れて行かれる様は、まるで犯罪者だ。ただ、住民はまるで気にしていない……というより、寧ろ何故か好意的な印象すら受ける。この様子を見て俺は”この国はどうかしている”と思う。戦争に駆り出される事を後押しするって事は、国自体が戦争を良い物として捉えているという事だから。

 ガシャンガシャンと鳴り響く音が不意に止まる。目の前には、堀の上に橋がかけられていて、その先に一つの村のような物が出来ている。王城は大きく、どこかの国の写真で見たお城そのものだ。端を渡って、王城の周りには家が立ち並ぶ。明らかにその辺で見た民家とは違う物で、彫刻があったり、配色が鮮やかだったり、贅の限りを尽くしたような見た目の家々が並んでいる。

「ここはどういう所ですか?」

「なんだ?知らないのか?貴族様のお屋敷と王城だ」

 貴族は明らかに住民と一線を引いているのか。うわぁ…ますます会いたくない。お偉いは皆偉そうなんだ、自分が敬語を使って話すのは良いけど、強制されて話すのは嫌なんだよな。そもそも、王か…王に対する話し方は……普通の敬語でいいか?この状況を抜ける事さえできれば…それでいい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ