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来世でも実況したいと願ったら"スキル実況"を獲得しました  作者: とびし
四章 森人の領土~ゼルエル領~

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一話 おかしな領主

 で、だ。東に進んでいけば辿り着く、そう思っていたんだけど。俺らに迷子は付き物な訳で…必死に探しても辿り着かない訳で…。何回地図を確認しても、ぐるぐると同じ場所を回っている気がする。

「本当にびっくりだね。」

「健一さん、どうされましたか?」

「俺もこの世界に来るまで、自分が方向音痴だとは気づかなかった、という話だね?」

「あぁ!さっきから同じ場所をぐるぐる回っていたのは、意図していなかったのですね?」

「え?意図していると思っていたの?」

「はい!何かわたくしには汲み取れない意図があると感じておりました!」

 ミヤビはきらきらした目で見て来る。うん、ないよ、そんなの。見れば分かるじゃん?この世界は森、森、森。行く先々全てが森で始まり森で終わるんだ。携帯も無い世界を生き抜くのは…非常に困難な訳で。マップ機能って、本当に便利だったんだな。携帯が小さなノートパソコンだ、という言葉は大げさじゃないんだ。

「そのような物が存在していたのですね?!素晴らしい世界にお住まいだったのですね!」

「まぁ…ね?」

「どうすれば…地図に…慣れることが…できますか…?」

 メェルも俺と一緒に困惑している。そう、メェルも別に方向が分かる訳じゃ無い。俺と一緒なんだ。何やらミヤビが少しだけムッとすると”わたくしも一緒が良いのですが…”と呟く。いや、全員方向音痴とか…本当に困るから。もし、知っているなら。ミヤビには道を案内して欲しい。

「そうですか?!必要としていただけるのですか?!では、案内させていただきます!」

「そ、そう?じゃあ…お願いできる?」

「是非、そうさせていただきます!わたくしに掴まってくださいませんか?」

 メェルと俺は顔を見合わせて首を傾げる。何のために掴まるんだろう?そんな事を考えながら、俺は右腕に、メェルは左腕に掴まる。ミヤビが俺らが掴まったのを確認すると”行きますよ?”と足に力を込める。待て待て…何をする気だ?!次の瞬間には、顔がもげそうなぐらい風を浴びていた。

「ぎゃあああああ?!」

「あっちに大木が見えますよね?」

「あ…あっ…ち?!」

 全速力で走り続けるミヤビが俺を持ち上げながら指をさす。強風で目を開けるのが精いっぱいだけど、一応確認出来た。森の中にひと際大きな大木…生命の源と言ってもおかしくない程、遠くから見ても大きな大木が見えた。あれがなんだろうか?

「み…えた…!」

「あれが森人族の領地になります!」

「あ…あ…」

 メェルが言葉にならない言葉を発しながら頷いている。とりあえず…降ろしてくれ!!後は歩くから…!願いを込めるがミヤビは”あともう少しで着きますので…速度を上げますよ!”と言う。これ以上速度を上げたら…俺らが風圧に耐えられないぃぃぃぃ!!!

「ぜぇ…ぜぇ…」

「こ…怖かった…です…」

「もう…掴まらない!」

「そんな事を仰らないでください!わたくしの全力はお気に召しませんでしたか?」

 森人族の領地と呼ばれている大木の前で、そんなやり取りを交わす。あんな悪路の中、俺らの足だったら一時間程度は掛かりそうな所を僅か数分程度で着いてしまった。速度は認めるけど、生きた心地はしない。枝や根、木々を避けるその速度が俺らにとっては目の前から木が生えてくるみたいなイメージに見えていたのだから。

 それにしても…大きな木だな。俺は大木を上まで見上げる。下から上まで、軽く数百メートルはあるだろう。樹齢何千年で行けるだろうか?それに、地面から出ている根は一つ一つが大木のような太さをしている。何故か、根は真ん中に踊り場のような場所を残して周囲を囲っていた。

「うん?人が住んでいた痕跡とか無さそう…だけど?」

「健一さん、周囲からざわめきが聞こえていますよ?気配がいたします」

「はい…私にも伝わってきます…!」

「あ、俺だけが鈍いんだ?」

 メェルもミヤビも二人して少しばかりの警戒態勢を取る。下手すれば襲われてしまうような状況なのかもしれない。なんで毎回第一声を考えなきゃいけない状況になってしまうんだろうな…。さて、どう声を掛けようか?メェルとミヤビを見て警戒しているのか、それか…俺に対する警戒なのか。

「ねぇ?どう声を掛けたらいいと思う?」

「そうですね、健一さんは警戒されている気がいたしますので、わたくしが声を掛けさせていただいてもよろしいですか?」

「え?そ、そうかな?じゃあ…お願いするね?」

 俺が言葉を発した瞬間、待ってましたと言わんばかりにミヤビが息を吸い込む。まるでブレスでも吐くかのように…?ブレスを吐くのか?!それは良くない!

「わたくしは!!竜人族の長、ハヤテの娘が一人!ミヤビです!森人の皆さんと!話がしたいのですが!」

「ごあぁぁぁぁ?!」

 ミヤビの大きな声が脳を揺らす。まるで爆発音が耳の傍で鳴ったかのような音に、空気が揺さぶられたのか、木々が騒めいている。キンキン鳴っている耳を塞いで、しばらく蹲ってしまった。やっと治ったか、と思って頭を上げると、目の前に耳の長い翁が立って居た。

「うるさいんじゃぁぁぁぁぁ!!!」

「お前もうるせぇぇぇぇぇ!!!!」

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