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来世でも実況したいと願ったら"スキル実況"を獲得しました  作者: とびし
三章 竜人の領土~ハヤテ領~

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(1)

 メェルと領主と三人で俺の家と言われている所を見に行く。屋上があって、木造の温かみを感じつつ、要所を大きなガラス張りにしてある。日を取り込む事を前提にして考えられている二階建ての家だ。庭も付いていて、家庭菜園なんてお茶の子さいさいレベルの広さだ。

 リビングには木で出来た家具が配置されていて…キッチンがシステムキッチンだと?!え?この世界でどうやってこんなもの…おぉ、魔法で火を使ったり、水を出したり出来るのか。俺があんなに苦労して作った冷蔵庫も…この領地に来れば…高クオリティ、と。風呂もあって…?!風呂がある?!すごすぎる…。

 二階は寝室と部屋が数部屋ある。部屋にはまだ何も置かれていない、まるで引っ越しした時のような何も配置されていない空間だった。それが…三部屋。

「こんなの貰っていいの?」

「そうだ、それほどこの領地にとって大事な事を健一はやってのけたのだ」

「じゃあ、有難く貰うね、メェルも一緒に住もうね」

「はい…住みます…!」

 もう、この領地の竜人に慣れたんだろう。怖がることも無く、可愛い笑顔で答えた。またすぐに違うところに発ってしまうかもしれないけど…俺はここの領地の領民として認識してもらえたんだな…嬉しい限りだ。

「所で…まず風呂に入れ!臭くてかなわん!!」

「んな?!言われなくても分かってるわ!!!」

 俺とハヤテは軽口をたたきつつ、視線でまた後で、と交わした。さぁ、ここに荷物を置いて…置く荷物なんかないけど。よし、風呂を沸かそう。浴室に行き、気づく。ここは、給湯器では無くて、魔法の蛇口が付いていた。捻ればお湯と水が出て来る。シャワー完備。ハヤテ…俺、ここに住むよ。

 木で出来た風呂釜にお湯を入れる。木の香りがふわっと立ち込めて、まるで森林浴をしながら風呂に入っている気分になる。はぁ…これは凄い。メェルとどっちが先に入るかを話し合って、先に入ってもらう事にした。入浴を済ませた後は、ハヤテの家に向かう事をメェルに言って、ハヤテの家に向かった。

「よく来たな、入るがいい!」

 ハヤテの家はすぐ隣だった。というか、領主の家の敷地内に俺の家を建てていいのか?俺、そんなに格が高い訳じゃ無いけど…。すると、ハヤテは”友なのだろう?なら、格など気にするな、同等だ!”と言って、招き入れてくれた。

 ハヤテの家は、横に広い造りをしていて、全面がガラス張りだ。領地の様子を良く見えるようにしているのだろうが…落ち着かないだろ、これ。二階に上がる階段が二つある。机はかなり大きな造りで、何人もが同時に来ても大丈夫なように造られている。ソファーも置いてあり、ソファーはかなりフカフカで座り心地が良かった。

「さぁ、ここで話をしながら飲むのであろう?」

 グラスを取り出したと思うと”どしん”という音と共に、大きな樽が傍に置かれる。これが…万年熟成ワイン、か。本当に素晴らしいな!しかし、これはこれで貴重な物なんじゃないか?だって、次に飲むのは万年後…俺はもうこの世には居ないだろう。

「む?何を気にしている!そんな事、この中にいっぱいあるからな!」

 何やら異空間をごそごそ漁った後、大量に後ろの方まで積まれたワイン樽を見つけた。うわぁ…こんなにワイン樽を見たのは生まれて初めてかもしれない。そうだ、ワイナリーに行ったことがあるけど、それぐらいのレベルで置いてある。というか、異空間ってこんな感じなんだな。

「じゃあ、飲もうか!」

「そうだな!話はそれからであろう?」

 二人でワイングラスにワインを注いで、乾杯をする。万年ワインは赤ワインだ。芳醇な香り、ブドウのうま味が鼻と舌を刺激する。万年も熟成されているからなのだろうか、タンニンの渋み、コク…これらが非常に深い味わいを出している。驚いたのは、一切の雑味が無い事。茎や皮を使うと、タンニンの渋みを出せる。しかし、雑味が強い感じになってしまうのだが、それを感じない。純粋に美味しい、これ以外に飲めなくなってしまいそうだ。

「こんなにうまいワインを飲んだのは初めてだ」

「そうであろう?これはうまいのだ」

「流石、竜人の領主だ」

「何を言うか、子供一人守れぬ我は領主ではないかもしれなんだ」

 ワインに浮かぶ自分の姿を見て、ハヤテはため息を吐いた。そんなことは無い、と言いたい。しかし、ここでそんな事を言っては無責任だろう。だって、俺が親だったとして、子供を連れ去られてこんな事になっていれば…俺もそう思ってしまうだろうから。

「無責任だけど、しょうがない事じゃないか?」

「しかし…」

「だって、自分たちが強すぎるのが弱点になる、なんて誰も思わないじゃないか」

「うむ…そうだな。」

 ハヤテはぐっとワインを飲み干す。お代わりを注いで、それにも口をつけている。そうだな…誘拐なんてされなければいい、そんなもの世の中に無ければいい。そう思ってしまう。こっちが気を付けていてもその時がやってきてしまう。今回は帰ってきたからいいけれど…きっと帰ってこない事の方が多いのだろう。

「俺は…人間を許せないかもな」

「む?その言葉は我の物であろう?」

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