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来世でも実況したいと願ったら"スキル実況"を獲得しました  作者: とびし
三章 竜人の領土~ハヤテ領~

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(1)

 相手の体裁を保ちつつ断る方法は無いだろうか……?そういえば、この思考って無駄じゃん。だって、相手に伝わってるから。領主は目の前で頷いている。

「という訳なんですけど…?」

「あっちに行けば大丈夫であろう?」

 領主が指さした方向を見る。そこには天然の洞穴があり、人が数人眠れるぐらいのスペースがある。あれなら…大丈夫かな?あ、これってもしかして、領主の子供たちが寝ていたスペースなのかな。

「そうだ、今は無人だがな…。」

「ああ、ごめんなさい。そういうつもりではなかったんですけど…」

 領主が俯いて悲しそうにしている。本当に、話を蒸し返すつもりではなかったんだ。でも、現状は蒸し返した事になってしまった。いち早く帰ってきてもらえるように努力しよう。俺は心に誓って、領主に提示されたスペースへと歩き出した。

 ここは…岩肌がごつごつしていて、もはや眠る事も出来なさそうな場所だった。眠るだけなら何とかなるだろうか…いや、しかし…。俺は”はぁ…”と溜息を吐いて、領主の方に声を掛けた。

「流石にここには寝れないかもしれないですね」

「であろうな?」

「であろうな?!」

 なんだ?!分かってるんじゃないか?!じゃあ、何故ここに案内したんだ?!場所が分かったのに、早くに助けに行かない腹いせか?!作戦会議に参加してたじゃんか?!領主は大笑いして”そんな訳なかろうが”と言って、どこからともなくベッドを取り出して洞穴に設置した。

 フカフカで大きなキングサイズぐらいありそうなベッド。どこから出したんだ?それと、なんでこんなものを持っているんだ?ドラゴンって…謎が多いな。

「人間が使えて、我に使えない訳なかろう?」

「え?何のことですか?」

 領主は俺の腰袋を指さす。あぁ、なるほど…魔法を使えると言っていたっけ。空間を操る事なんて朝飯前だ、と言いたいのか。うん?ちょっと待て…まさかとは思うけど…街が一つ地図から消えたのって…。ベッドから領主の方に首を素早く回転させる。領主は頷いている。

「そうだ、我の魔法で今は異次元の空間にあるぞ」

「んな?!ここまでとは…本当にトンデモ種族だったのか…」

「言ったであろう?竜人は最強だ、と。」

 領主は誇らしげに胸を張っている。確かに、竜人が子供を守る事が出来たら…その気になれば世界ぐらい落とせるレベルの力を有してしまう事になるのか。あぁ…本当に良くできた世界だな。俺はベッドに倒れ込む。すると、メェルも一緒にベッドに倒れ込んだ。

「明日は早くに起こしてやろう」

「はい、任せました」

 領主に対して不遜な態度ではあるかもしれないが、”ハヤテ”はそういう事を望んでいるのかもしれない。そう、一緒に酒を飲める…酒飲み仲間的な立ち位置に慣れるような人物を……。

「タタ、ツツ、トト!来い!」

 大きな掛け声で目が覚めれば、既に竜人達は動き始めていた。大きな声が洞窟内部に響き渡っている。頭が揺さぶられるような音だ。あぁ…目覚めが悪いなぁ…。

「起きたか?健一よ」

「ええ、起きました」

「我の子らを救出してくれば、お主に良い物をやろう」

「なんです?」

 領主がぐふぐふ笑っている。なんだ?!この気持ち悪い笑い方?!今まで見た事無いような…。領主が、何やら後ろをごそごそ漁っている。その様子をじっと見ていたら、”おぉ、これだ”という声が聞こえて、大きな樽が目の前に現れた。芳醇な香りとアルコール臭が鼻をくすぐる。なるほど…酒か。

「”健一”よ、酒飲み友達が欲しいのだろう?」

「それは”ハヤテ”の方じゃないか?」

「がはは!違いない、我が子らを救ってくれたら、一緒に飲もうではないか」

「それは…なんの酒なんだ?」

「聞いて驚くがよい、万年熟成ワインだ」

 万年…熟成?!もはや腐っているんじゃないか?!そもそもアルコールをそこまで長期の熟成なんて出来ないはず…?そうか、この世界なら出来るのか。中身が腐敗しないように、魔法を掛けておく事で…。更に品種も改良する事によって美味さを際立たせる事も可能。ハヤテならあり得るか。万年も見てられる程、長寿なのだから。

「お主よく知っておるな?まるで我の工程を見て来たみたいだぞ?」

「酒の事なら任せてくれ!酒は…大好きなんだよ。」

 この世界に来てから、酒がうまく感じる。違いは…環境だ。周りに居てくれる人との繋がりと仲間意識の違い。俺はこの環境に転生できた事を感謝すべきなんだ。

「よし!!気合入ってきた!!!」

「がはは!任せたぞ。」

 ハヤテが人の形態を取る。姿は若い青年のような姿をしていて、白黒半分ずつの髪色でミディアム程の髪。白と黒のオッドアイをしていて、着物も白黒半分ずつ。なんだろう、神がいれば、このような感じの姿になるんだろうな。俺は、歩いて来るハヤテと握手を交わした。

「領主様…ですか…?」

 メェルが寝ぼけ眼を擦って、起床してくる。起きた時に姿が変わっていたハヤテを見て目をぱちくりさせている。

「そうだよ、そして今から行くよ。」

 夜明け前、まだ外は暗い。メェルと竜人三兄弟を連れて、洞窟を出た。

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