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来世でも実況したいと願ったら"スキル実況"を獲得しました  作者: とびし
三章 竜人の領土~ハヤテ領~

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四話 憤怒と最善の一手

 丁度いい、メェルにも話を聞いてもらいたかったし話をしようか、俺の前世の話を。

 これまでに経験した全ての事を話した。自殺をした事、親友の事、青年の事、俺のこの世界での目的。それはきっと心を打つほどの物でもないかもしれない。俺にとっては大事な思い出だ。話を終えて、顔を上げると、何故か領主もメェルも泣いていた。何でなの?!そんなに感動的な話だっただろうか?

「お主…苦労したのだな?」

「はい…苦労人…です…」

「ほう、メェル…お主も物分かりが良いな…?」

「はい…領主様…」

 二人して頷きあっている。なんだこのカオスな状況は。でも、そうなんだ。この世界の人間じゃないから、思いをぶつけられる事もあまり無かった。そう、別に怒りなんてちっぽけな程度でしかなかった。だって、本当に感情を表に出しているのではなくて…感情を出したふりをしていたのだから。当事者になればその気持ちを理解出来たんだろうな…分かることが出来たんだ…。

「では…頼んだぞ。」

 領主はメェルと俺の二人を見て、しっかりとそう言った。俺らは二人で互いを確認せず、頷いた。分かってる、メェルが頷くことぐらい。よし、ここからは作戦を練ることにするか。

 三兄弟を呼んで、話をした。しかし、いい案なんて物はそんなに容易くは出てこない。上から潰すとか洞窟の中を炙るとか。もはや、地獄絵図にしかならないような案しか出てこない。

「本当にどうしようかな…。」

「所で旦那、旦那はどうやってドン・タイガー様の領主の印を貰ったんですかい?」

「あぁ、それは普通に戦争で勝ったからですね?」

「戦争で…勝ったですかい??」

 ツツは目を丸くして首を傾げている。戦争で勝ったのと領地を改善した、としか言いようがない。別に俺の戦争で勝ったエピソードは武勇伝ではない。あ、そうだ。ドン・タイガー領では”英雄”とされてしまったんだった…。この話は…いっか。

「ツツよ、健一は”英雄”と呼ばれているらしいぞ?」

「な?!そんなお方でしたかい?!」

「おい?!勝手に心を読むな?!」

「ぐはははは!心に浮かべたのが悪いのよ!!」

 領主が豪快に笑っている。くっ…くそぅ…恥ずかしい。でも、この領地が笑顔で溢れる領地にしたい、とも思う。だって、領主がこんなにいい笑顔で笑っているのだから。領民だって豪快に笑えたはずなんだ。それなのに…。

「もう…しょうがないので強行突破作戦取りますか?」

「健一さん…それはどういう作戦なんですか?」

「兄者、これはきっと深い糸がありますぜ!」

「そうっすよ、大兄者!」

 三兄弟がめっちゃきらきらした目で見て来る。うん、ないよ?そんな大層な作戦は。名前だけ付けておけばいいだけの中身も無い真正面から討ち滅ぼす作戦だ。だって、それしか案が出てこないんだもん。あぁ、そうだ。先に聞いておかなければならないか。

「もしかして、ブレスとか出来ます?」

「健一さん、仮にも竜人です!出来るに決まってるじゃないですか!」

 三兄弟が顔を見合わせて、ポーズを決めている。違う、ブレスをして欲しいんじゃなくて、やめて欲しいんだけど。洞窟の中で炎でもなんでも使ったら、俺らが死ぬ。

「使わないでくださいね?」

「んな?!得意技っすよ?」

「そうなんですけど…洞窟内部に充満したりすると危険ですから」

「分かりました…」

 三兄弟はしょぼんとして、明らかに元気を無くす。別に君たちの強味はそこだけじゃないでしょう?それと…一人でいいから外から入り口を塞いで欲しいんだよな…盗賊が逃げることが出来ないように。

「一人外から石で塞いでくれませんか?」

「いや、その必要はない」

「どうしてですか?」

「我が直々に外に出て来た奴を排除してくれよう、必要ならば、塞ぐのも我がしよう」

 領主が鼻を鳴らす。なるほど、こんなに大きな竜人が居れば…洞窟内部も死、外も死となっていく場がなくなる。それが一番いいかもしれない。採用。

「お主、心の中と外で人が違うのではないか?」

「あぁ、気にしないでください。心の中が本当の俺なので」

「じゃあ、気にした方がいいではないか!」

「いやぁ…生意気ですよ?」

「がはは!こんな口を利かれたのは初めてかもしれぬな!」

「ハヤテ様?!よろしいのですか?」

「構わん、別に主らもいいのだぞ?」

 領主は俺以外の三兄弟とメェルにも視線を合わせる。けれど、皆一様にそっぽを向いた。領主は”つまらぬな”と吐き捨てて、もう一度俺に視線を合わせた。

「それで、実行はいつになるのだ?」

「明朝が良いでしょうね、飛び切り早くに行くのが。」

「そうか、では明日に備えて早く寝るか?」

 そうだな…。今日もなんだかんだ疲れたし、寝ようかな。この洞窟の外で寝れば、魔物が寄ってこなくていいんじゃないか?そうしようかな?テントとかもあるし…。

「ん?ここに寝れば良かろう?」

「え?ドラゴンに囲まれて硬い台地で?」

「がははは!寝る事ぐらい出来るだろう?」

 いや…無理じゃない?竜人に囲まれて、領主の傍に寝るとか。緊張ではじけ飛んじゃうよ、メェルが。

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