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来世でも実況したいと願ったら"スキル実況"を獲得しました  作者: とびし
三章 竜人の領土~ハヤテ領~

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(2)

「そうですね…もしかしたら…もう…」

 そう言ってメェルは顔を覆った。しかし、そんなに定期的に回収に来るだろうか?ここまでばれない様に工作しておいて?それはおかしい、もっと他に…何かあるはずだ。ここで戦闘が起こってもいいように、隠してある何か…そう、牢屋のような物とかだ。

「もしかしたら、牢屋があるかもしれない」

「牢屋…ですか…?」

「あぁ、これだけ工作しておいて頻繁に回収に来たら場所がすぐにばれてしまうでしょ?」

 メェルは”あぁ、確かに”と呟いて頷いた。というか…手紙が届いていない、とすればここで囚われている獣人なんかも居るんじゃないか?配達がこの洞窟の前の道を通らなければならない物だとすれば、だけど。

 しばらくその場で考え込んでいると、後ろから足音が迫って来る。まずい、ここら辺に隠れるところは……?辺りを見回せば、すぐそこに二人隠れられそうな突き出た岩があった。そこに身を隠して、通り過ぎるのを待った。

「なぁ、股間腫れてねぇか?」

「あ?大丈夫に決まってんだろぉ?あの程度で折れる程やわじゃねぇ!」

「ちげぇねぇや!」

 がははは!と笑いあって下品な言葉を発している。俺は思わずメェルの耳を両手で塞いでいた。魔物の顎の力に負けない股間って…鋼鉄だろ。嚙み千切られてしまえば良かったのにな。

「あ?!そうじゃねぇか?俺ら今日”牢”を見張る番じゃねぇか?」

「うわ?!そうだったわ!急いで行くぞ!」

 牢?あの二人に着いて行けば牢の場所が分かるかもしれないな!咄嗟にメェルの手を掴んで、盗賊二人の後を追いかける。二人はこの暗闇をスイスイと進んでいく。

 盗賊の二人は二又の道を左に進んでいく。俺らが袋小路に行く時に通った道は右だった。なるほど、左に行けば牢がある、と。という事は、袋小路で何かをしても子供たちに危害が加わってしまう事は避けられる、と。しばらく歩いて行くと、開けた場所になっていた。ここにはいくつもの穴が開いていて、天然の牢になっていた。

 牢の中を見ていく。そこには、獣人だったり、幼竜だったりが閉じ込められている。俺らを見ると、こっちに近寄って来る。俺は人差し指を口の前に持って行って”静かに”というジェスチャーをした。待っててくれ…救い出してやるからな。

「こいつぁ高く売れるんじゃねぇか?」

「ははは、コルトランドの貴族共は金に糸目をつけねぇからな?」

 奥の方から、さっきの二人組の声がする。少しだけ、覗いて行くとするか。声がする方に進んでいくと、右に折れ曲がる道が出来ていた。影からじっと様子を伺う。牢の中には震えている黒い竜と白い竜が居た。

 ぐっ!!今すぐに救ってあげたい、そんな気持ちになる。しかし、ここで俺が暴れてしまったら…。がぁぁぁぁ!!!手に力をぐっと入れて、両方の手を抑え込む。そうだ、助けには来る、必ずだ。その時に、こいつらに制裁を加えられればそれでいい。洞窟の内部の調査を終えて牢を出た。

 帰り道、ふと気になった事がある。あの綺麗な幼竜、どこかで見覚えがある。交じりっ気のない白と黒の色…。まぁ、いっか。とりあえず、出来るだけ作戦を練る時間を稼がないといけない。洞窟の中を力ずくで突破する以外の方法を…。

 洞窟の外に出て、三兄弟と合流して、洞窟を後にする。洞窟の中での出来事を伝える。三兄弟は”あぁ…”と落胆している。何をそんなに…これから助けるのだから、今から落ち込んでもしょうがないだろうに。しかし、この時の落胆の答えを後に知ることになった。

「帰りましたよ」

 寝ている領主に声を掛ける。すると”んぁ?!来たか!待ちくたびれたぞ!”と目を輝かせている。そんなに時間をかけたつもりは無かったんだけど、そうだよな。心配だもんな。俺は洞窟内部の状況を正確に伝えた。すると、領主がわなわなと震えだした。

「やはり…我の…」

「え?」

「子らじゃないかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 驚くほどでかい咆哮に、耳が消し飛びそうになる。地響きも相まって、世界の終わりを思わせる。領主は目を見開いて、牙を剥きだしにしている。何なら今すぐにでも滅ぼしに行きそうな……。待て待て!!!

「今すぐに滅ぼしに行ったら子供が死ぬぞ!!!落ち着け!!!!」

「ぐぁぁぁぁ、しかしぃぃぃぃぃ!!!」

 怒りが抑えられないのか、地団太を踏んでいる。いや、耐えているんだ。子供が誘拐されているのに、心配しない親なんか居ない。俺も必死に声を掛け続ける。こういう時は冷静になった方がいい。俺も、冷静になれるかどうか怪しいけど…。

「行くから、すぐに。」

「お主…」

「俺も許せないんでね」

 領主の怒りが伝わってきてしまう。怒りは伝染する。強い感情の波は、弱い感情の波をかき消してしまう。俺の中でもふつふつと煮えたぎる何かを感じる。どす黒い、顕在させてはいけないような何かが…。

「落ち着いて…ください…」

「そうだな、済まなかった。主にそこまで伝わってしまうとは…」

「俺の感情の波は小さいんですよ、本当に。」

 昔は感情のコントロールなんて簡単だろ、そう思っていた。だげど、今までは本当の感情に出会っていなかっただけだった。奴隷、戦争、誘拐、殺戮…人間に理性が無かった世界に戻ったみたいだ。怒りは抑えることが出来ない程、ふつふつと湧き上がるし、悲しみは心に穴を開ける。

「お主…何処から来たのだ?」

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