表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
来世でも実況したいと願ったら"スキル実況"を獲得しました  作者: とびし
三章 竜人の領土~ハヤテ領~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/123

(1)

 三兄弟は少しばかり速足で記憶の中の洞窟の位置へと向かっていく。森の中を抜けているのに、身軽に進んでいく。着いて行くだけで精一杯ではあるが、今はそれ以上何もしなくてもいい。もし仮に、そこが本拠地だとすれば…盗賊を確認出来ればそれで良いのだから。

 三兄弟は洞窟の位置から少し離れた所でピタリと足を止める。近辺の草陰に隠れて洞窟の様子を伺ってみると、外に見張りが出ている。ビンゴだ、ここが根城で間違いないだろう。それにしても…見張りに出ている盗賊は皆、絵に描いたような様子の盗賊ばかりだ。破れた上着に、何かでこしらえたサンダル。髪型は様々だが…確かに、少し臭いかもしれない。

「あそこで間違いないでしょうね。」

「そうですか、では参りましょう!」

 三兄弟ががさっと隠れていた草陰から頭を出した。慌てて、引っ張って止める。内部の調査も出来ていないのに、ここから攻め込むなんて無茶だ。それに、逃げられてしまっては元も子も無い。こういう輩は殲滅しなければ、無限に湧き出てくる。これをしていれば金を稼げると知っているのだから。

「どうして止めるのですか?!」

「今すぐに攻めて、万が一があれば逃げられてしまいますよ?」

「ですが…何か、何か妙案はありませんか?」

 三兄弟は項垂れながら俺に縋ってくる。分かる、子供たちがそこに居るかもしれない、そう思って焦ってしまう気持ちは痛いほど分かる。子供を連れ去られた事は無いけれど、メェルの親が連れ去られてしまった可能性を聞いて憤慨した事はあるのだから。頭を力強く掻いて、思考を巡らせる。すると、メェルが俺に耳打ちをしてきた。

「私が…囮を…しましょう…」

「な?!それはだめだ!」

 唐突な申し出に、俺は思わずメェルを抱きしめる。もし、メェルを失ってしまったら、俺は正気で居られなくなってしまうだろう。メェルなら無事に完遂して帰ってこれる、そんな気持ちもあるけれど。不安の方が大きいのだ。

 ふと、メェルが言っていた”体が勝手に動いた”という言葉を思い出す。そういえば、あれはスキル実況を使っていた時の話だ。もし仮に、スキル実況を使って相手を少しばかりでも移動させることが出来るんだとしたら……。この作戦なら中を確認する事ぐらいは出来るかもしれない。

「ちょっとやってみるか…。」

 よ~し、私の出番です!少しばかりの実況にお付き合いください、さて、洞窟の前をうろついて、きょろきょろ見回す俗物を退かせて見せましょう!盗賊なんて、野蛮な奴らはそこら辺で用を足すでしょう!奴らは何やら、もじもじし始めました!そう、これは尿意です!盗賊たちは互いに顔を見合わせて、二人して草むらに飛び込んでいきました、恥ずかしいったらありゃしない、更にはそこを魔物に襲われます!きっと股間は大惨事です!

「ぎゃぁ?!なんでだ?!」

「うわぁ?!どういう事だ?!」

 盗賊たちは次々に声を上げる。股間丸出しで魔物に襲われたら…ご愁傷様だ。この後は内部の調査だ。内部を確認して、どういう構造をしているかを確認しなくてはならない。しかし、三兄弟も行きたそうに眼を輝かせている。三兄弟が、もし惨状を見てしまったら…暴れてしまうだろうな。

「俺達だけで行きますので…ここで待っていてくださいね?」

「んな?!それはどうしてですか?!」

「皆さんは暴れてしまうでしょう?」

 三兄弟は”あぁ…”と納得していた。何回でも言うけど、本当に今回は調査のみだ。内部がどのような構造になっているか、本当に連れ去られているか、盗賊はどれぐらいの数が居るか。それを把握した上で一度持ち帰って作戦を練る。そうした方がいい。

 俺とメェルは顔を見合わせて、洞窟内部に侵入した。後ろでは、剣を振るう音が聞こえる。盗賊が出す物出して戦っているのだろう、本当に…何故この蛮勇を他の事に活かせないのだろうか。メェルは自信満々で先頭を歩いている。あれ、羊は夜目が利くんだっけか?そんな疑問を抱いていたら、”ごつん”という鈍い音が聞こえた。

「あぁ…可哀そうに。大丈夫?」

「うぅ…大丈夫…です…」

 頭を見てあげたいけど、中はかなり暗くてギリギリ見えるかどうか。頭を撫でてあげて、痛みが引くまで待ってあげた。数秒後、痛みが引いたのかすくっと立ち上がり、メェルがまた歩き出す。頭に触れた手を擦ってみるが、液体はついていない。鋭く尖った岩などが刺さっていなくて良かった。

 暗闇に目が慣れてくる。中は、俺が一人通れるか通れないかぐらい狭くてじめじめしている。天井も高かったり、低かったりだ。これは調査が功を奏するだろうな。

「あ…クッサ?!」

「もっと…手前から…臭いです…」

 あまりに臭すぎて少しばかり大きな声を出してしまう。二人して鼻を摘まんだような声で話し合う。死臭、糞尿、体液…いろいろな物が混ざり合った匂いが立ち込めている。少しばかり先に進むと、急に視界に光を感じた。

 そこは袋小路になっていて、天井がかなり高くなっている。盗賊が…見た感じ数十人は居る。そして、肝心なのが戦うスペースが十二分にある事。盗賊たちは中央よりも少し奥で生活しているみたいだ。

「ここに幼竜は…居ないのかもしれないね。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ