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来世でも実況したいと願ったら"スキル実況"を獲得しました  作者: とびし
三章 竜人の領土~ハヤテ領~

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一話 人間?竜人?

 やっとの思いで山の麓に辿り着く。近づけば近づくほどはっきりとして来る事がある、それは、この山の標高。突き出した綺麗な三角形は、俺の想像よりも遥かに高く、遥かに険しそうだった。獣人や他の種族なら全然大丈夫なのかもしれないが、俺のような人間にとっては厳しい登山になるかもしれない。

 俺は少しだけ身震いする。大変だな、という意味もあるけど、気温も低くなっている気がする。準備してもらった物に、確かコートがあったはずだ。腰袋に念を送ると、手元にコートが二着現れる。片方を羽織って、もう片方をメェルに手渡した。

「そんなに…寒いですか…?」

「うん?まぁ…ここも寒いけど、これからもっと寒くなるはずだね」

 メェルは首を傾げてコートを羽織る。まぁ…寒い環境に住んでいた種類の獣人だから大丈夫なんだろうな。しかし…今日中に山頂、反対側の麓まで着くことは出来るか?出来ないなら、ここで翌日まで待って登った方が良さそうだけど。すぐに着きたい!って訳でもないし…うん、ゆっくり向かおうか。

 メェルと共に、テントを立てて麓で野営をする。そこら辺を見れば枝なんて山ほど落ちている。目の前に積み上げた枝の山に火を入れる。すぐに燃え上がって、辺り一面を温めてくれた。

「はぁ…落ち着いた。」

「そうですね…明日は…早くに出ますか…?」

「そうだねぇ…。」

 山を舐めてはいけない。朝早くに出るメリットもあるけど…俺にとっても、きっとメェルにとってもこの山は知らない山だ。事前情報も無しに、足元の見えない中、山を登るのはあまりにも危険すぎる。日が昇って、辺りが明るくなってきた頃辺りが丁度いいだろうか。

「日が昇ったら、登ろうか?」

「のぼったら…のぼる?」

「ああ、朝日が出てきたら山に登ろうか」

「ダジャレ…です…!」

 メェルはクスクスと笑っている。え、ダジャレを言ったつもりも無かったけど。そもそも、寒いダジャレじゃないだろうか?!俺だけなのか?体感温度がマイナスに達しそうなのは?!メェルの笑いは次第に収まって、ひぃひぃ言いながらお腹を押さえている。

「そんなに面白かったか?」

「はい……息が…出来ません…でした…」

 本当?まぁ、メェルが楽しいんだったらそれでいいや。あぁ、そういえば…登山道でも魔物は生息しているのか?見上げた感じは…はげ山だし、どこにも隠れる場所は無いから生息出来ない、とは思うんだけど…。一応用心しておく必要はあるか。

「明日に備えて寝ようか」

「はい…お休み…なさい…」

 焚火を消して、テントに潜り込む。少し大きめのテントを用意してくれていたので、二人でくっつきながら寝る…なんて事にはならなかった。

 翌朝、日の光が差し込んできて目が覚める。欠伸をした後に伸びをして、テントの外に出た。夜間と朝との気温差からか、外では朝露と結露がテントを覆っていた。メェルも俺に続いて、テントからもぞもぞと出てきていた。

「よし、歩くか。」

「はい…行きましょう…。」

 登山した後の高速下山。青年の体じゃ無ければ…死んでいた。魔物に遭遇する事も無く、ただただ、竜人族の領地を目指してひたすら歩くだけだった。さて、到着したのは良いんだが…ここで合ってるよな?

 俺の目の前に広がるのは、山を一つ繰り抜いたような窪地。そこには、あるはずの建物も聞いた話による竜人族も見当たらない。地図を取り出して見比べても、ここで合っているのに…その一帯だけ、転移してしまったかのような有様だ。その様子を確認したら、すぐに霧に覆われた。

「え?これ…明らかに異常だよね?」

「はい…見た事は…ないですけど…これは…おかしいです…」

 二人してぼーっと眺める。ここに着けば何かしら見つかると思っていたんだ、俺らがこうなってしまってもおかしくはないだろう。しかし…街一つを消すまでの強大な力を振るう種族は存在するのか?まさか、魔王に歯向かったから消された……とか?まさか、そんな事ある訳ない。

 とはいえ、困っているのは事実な訳で…とんぼ返りか?これは。異常があった、竜人族は居なくなっていた、とドン・タイガーに報告するべき内容ではあるよな。

「はぁ…困ったね」

「そう…ですね…」

 突然、メェルが俺の横をじっと見つめる。幽霊が見えてしまったのか?!もしかして、竜人の幽霊?!情報収集はしたい…けど…怖い!幽霊は嫌だ!メェルの方しか、見ないようにしているが耳がぴくぴく動いている。

「この足音…聞いたこと…ないです…」

 足音がする?なら、幽霊ではないな。危機察知能力に長けている動物の本能をメェルが有しているなら、相手は別にこちらを敵対視している訳でもないのかもしれない。さて、どんな相手が来るんだろうか?

 メェルが見つめる方向を一緒になって見つめる。向こうからやって来るそれは、俺にでも分かるぐらいの足音になり、かなり近づいてきていた。

 目を凝らして、霧の中を歩いている者を見つめる。これは…人間か?何故こんな所に?どうするか…隠れる場所も無いんだけど。挨拶して……見逃してくれないかな?

「こんにちはぁ…。」

「なぁ?!人間ですぞ?!兄者!!」

 紫色の髪の毛と派手な日本風の着物を揺らしながら、俺を見るや否や、飛びのいて警戒態勢を取る。うわぁ…戦闘はしたくない!

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