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来世でも実況したいと願ったら"スキル実況"を獲得しました  作者: とびし
二章 獣人の領土~ドンタイガー領~

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八話 領主と対談

 終わった瞬間に俺らは二人してその場に崩れ落ちる。二人で笑いあって”終わった”と呟きあった。瞬間”うわぁぁぁ!!”と言う大きな歓声と共に、共に戦った領民たちが俺らを胴上げしてくる。人生で初めて胴上げ何てされた。胴上げされている所を何回も見てきて”なんだあれ?”と感じていた事はある。でも、こんな気持ちだったんだな。嬉しいけど恥ずかしい。

 数分間の胴上げ……は流石に長い。もういいって、徐々に恐怖に変わってきたって!絶対に離さない、という雰囲気は感じるけど…皆パワーが強いから投げられるとかなり高くまで行くんだから?!

 高くまで放り上げられた時に、ふと気づく。誰かがこちらに歩いてきている。よく見れば、この買ったマスクと顔が似ているし、それに何か…上等な服を着ている気がする。

「そこまでにしてあげてくださいよ?」

 胴上げしていた全員が一斉に声の主の方へ振り向く。俺は…空中で放り出されたまんまだ。この後は…法則に従って落ちるだけ…!!!ぐぇぇぇっ?!中身が出るぅ……。一応受け身を取ったが、下は固い地面。痛みのあまり立ち上がる事が出来ずその場を転がりまわる。

「申し訳ない…変なタイミングで声を掛けてしまったようですね」

 痛みが引いてきたときに、顔を覗き込まれる。白虎の獣人。綺麗なブルーの瞳が印象的で、物語の中から出て来たような美しく幻想的な姿の。この人が…きっと領主、ドン・タイガーなのだろうな。領主らしき人物は領民に”よいよい、行きなさい?”と声を掛けた。

「初めまして…寝転がりながらですいません…。」

「良いのです、あんな高さだと…お辛いでしょう?」

「こちらの事情を汲んでくれて有難いです」

 俺は背中を摩りながら、立ち上がりお辞儀をした。隣に居るメェルは痛みと格闘しているのか、震えている。可哀そうに…こんなに震えてしまって…。所で、こんな場所までわざわざなんの用事だ?俺らに会いに来たわけでもあるまい?騒ぎを聞きつけて何が起こったかの確認か?

「申し遅れたね、私はドン・タイガー、ここで領主をしてる者だよ。」

「あぁ、ご丁寧に…私は小田健一です。」

「…ぁ…。」

「彼女はメェルです」

 メェルは俺の後ろに隠れて、頭だけ下げた。領主は不思議そうに見つめている。俺も不思議に思っているのだが、何故こんなに怯えている…というか?喋らないと言うか?別に自分の所の領主なんて見慣れているだろうに。

「話は聞いているよ、私の領地に色々改革をもたらしてくれたとか?」

「はは、そんな大げさですよ。」

「人間の貴方が?」

 領主は俺をじろりと睨む。あぁ、信用が無いのか。それもそうだろうなぁ…でも俺は信頼に足る何かを提示できるか?領民に聞けば答えてくれるだろうし…?待てよ?そういう信用じゃないか。分かった、タダ程高い物は無いと言う事だ。奴隷の事件もあるんだ、領民を差し出せ、とか言われる事もあるかもしれない、と思ってるかもな。

「ああ、目的があるんですよ。魔王に会う事なんですけど…」

「魔王様に会う?何故だね?」

「この世界を平和に導くために…ですね?」

 俺は思い出したようにマスクを脱ぐ。そういえば、マスクをずっと被りっぱなしで失礼だったかも。この世界をもし平和に導くのなら、魔王に話を通さなければならない。何故かって、コルトランド国王への対策やどのように平和に導くかを会議しないとだから。

「ははは!面白い!人間である貴方がそこまで考えてくれているなんて!」

「これは…約束ですからね。」

 亡き友との約束と青年の思い。それに、俺はイトベリアの全てが見て見たくなった。イトベリアの民がどのように暮らしていて、どんな姿をしていて、どんな思想をしていて……どんな温かさを持っているかを。

「では、行こうか。」

「どこへです?」

「私の屋敷に案内しよう」

 領主はそう言うと、手招きをした。近くには特に何も見えなかったのに、次第に馬の走る音と車輪の音がする。どこからともなく馬車が走ってきて、俺らが話し合っていた場所の間に停車した。馬は白をベースにした綺麗な馬で、後ろの人が乗るための車は真っ白だ。すごい目立つけど、領主と相まってとても綺麗に見えた。

「さぁ、乗りなさい」

「では、失礼します」

 後ろに隠れたメェルの手を引いて、車に乗り込む。馬車はゆっくりとスピードを上げてそのまま走っていく。城門からここまで森の中を通っていた記憶しかないし、かなりの獣道だった気がするのに、通れるのだろうか?そんな疑問はどこへやら、普通に森の中を駆け抜けていく。

 俺は何かを忘れている気がする。震えるメェルの手を握りこんで考える。切り札…切り札…そうだ!奴隷たちだ!

「あの!奴隷たちはどうなりましたか?」

「あぁ、気になるかい?君のおかげで解放されたよ」

「見せていただくことってできますか?」

 俺がその言葉を投げかけると、領主の顔にぐっと力が入った。威嚇をする寸前、今すぐにでも”お前に噛みつくぞ?”みたいな顔をしている。違う…俺は獣人を奴隷にしたいんじゃないんだ。

「あ、誤解です!メェルが母親かもしれない人を見つけまして…」

「あぁ、すまない!君の事を悪く思っていたつもりは無いんだが…今までの疲れが出てしまっていたか…」

 領主はため息を吐いて、顔を手でマッサージしている。かなり疲れているのかもしれない。マッサージをひとしきり終えて”探していきなさい”と言ってくれた。

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