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来世でも実況したいと願ったら"スキル実況"を獲得しました  作者: とびし
二章 獣人の領土~ドンタイガー領~

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六話 助けと手助け

 メェルと森の中を突き進む。いきなり、目の前に光が差し込んだと思えば、そこは一か所森が禿げた部分が広がっていた。ここだ、俺は逆にメェルの手を引っ張って茂みに身を隠す。すると、人間の兵士がなだれ込むように入ってきた。相手は数百メートル先で俺らの姿を探している。

 奇襲を仕掛けてもいいが、俺とメェルの戦闘スタイル的には…真正面なんだ。しかし…酷だな、メェルをこんな事に巻き込んでしまったし、初めての戦争だ。俺らはどうにかこの窮地を脱しなくては…。

「大丈夫…です…!行きましょう…!」

「おぇ?!大丈夫なの?」

「はい…何とか…なります…二人なら…!!」

 メェルの強い瞳の奥に、真っ赤な炎を見た気がした。よし、行こうか。俺らは準備が出来ているのだから。

 作戦を立てる間も無いから、殆どは斬って近づく脳筋作戦。全てを弾いて、斬って、進む。もしかしたら、スキル持ちが現れるかもしれない、そこだけは警戒しておくべきか。うん、見るからに数百は居るが…死にはしない。さぁ…走れ!!!!

「行くぞ!!」

「はい…!」

 二人で突っ込む無謀な戦いが幕を開けます!今から始まるのは…メェル選手とオーキチ選手による流れる作業!特段早くもない足で相手に近づき切り倒す!相手はバタバタと倒れて行きます!相手にとっては奇襲も同じ、陣形を整える暇もなく、相手の指揮官は”かかれ!”なんてほざいております!

「メェル、行けるか?」

「…頑張ります…!!」

 メェル選手の大楯に惹きつけられた複数人の兵士達!メェル選手がすっと視界から消えます!相手の兵士は思わずそのまま剣を大楯に叩きつける!足元で大楯を空に向けて構えて、まるで食虫植物かのように人間の花が咲きます!相手は混乱している!そこをオーキチ選手の斬り裂き一閃!!!これまた見事に打ち取ります!

 遠くに見える指揮官は口を金魚のようにパクパクしております!獣人をなめ腐っていたからこういう事になるんです!戦いの前には情報収集は欠かさず行う事が必須でしょう!頭を無くした兵士達は動くことが出来なくなる、いかなる時でも指揮官は冷静であれ、これが今送ることが出来る最大級の言葉でしょう!

「なんだ?焦ってなんかやってないか?」

 遠方から、何かが出てくる。あれは…獣人…?まさか、奴隷の獣人を戦争に出そうって言うのか?!どこまでも…腐りやがってぇ!!!善悪の判断すらつかないってのか?!あぁ?!

「お母さん…?」

「……え?」

 確かに羊の獣人のような姿は確認出来る。匂いで感じ取れたのか?いや、しかし…建築家をここまで引きずってくる理由はなんだ?建築家にここで建築させるのか?

「ぐ…どうすればいいんだよ?!」

 血の匂いがする…鉄の臭いと肉を斬る感触。魔物を斬っている感覚とは全然違う、骨を断つ音、金属音、鈍い音。目の前に転がっている死体が俺を見ている感じがする。目を開いたまま、死んでいく。感じるな、考えるな。今は…守る事だけに集中しろ!!!

「くそが!!!」

「健一さん…大丈夫…ですか…?」

「あぁ、何とか大丈夫だよ」

 投げやりになる言葉、メェルの事を考えられない。思考が停止しかける。人殺しじゃない、俺は、虐殺をしているんじゃない…悪いのは俺じゃない!!!今すぐ剣を捨てたい、この震えを…止まらせたい。頭を抱えたい、悪いのは俺じゃない…。

 どんなに戦場の事を考えても、俺は他責と自責の念に駆られる。止まらない、止まらない。溢れる思いが、俺を見つめる死んだ人間の瞳が。最後の一瞬、何かを言いかける人間のその映像が、フラッシュバックする。剣を振れ、前へ進め…逃げたい、この場から、俺には最初から無理だった…。

「健一さん!!!大丈夫です!!!」

「え?」

 相手が一瞬怯んだ瞬間に、メェルが言葉を放つ。それは、いつものおどおどしたそれとはまるで違う。俺の手を握って、震えを止まらせてくれる。あぁ、小さい女の子だと思ってた、弱い子だと思ってた。俺の勝手な思い込みだったのか、強い女性だ、メェル。はは、俺が信じ切ることが出来ていなかったのか。なんて、失礼な事をしたんだ!!

「ありがとう、ここが正念場だ!!」

「はい!行きましょう!」

 二人の絆が更に深まる!考えている事が互いに分かる!素晴らしい、なんと心地よい空間なのでしょうか!先ほどまでの自責、他責の念はどこへやら。今はあるべき場所を守りたい、ただその一心で動いて行きます!しかし、指揮官の喉元には届かない!ただ、獣人達も動かない!これはただの奥の手で、切り札!見せつけて引導を渡すだけの物だったのでしょう!なんて浅はかでしょうか!

「はぁ…はぁ…どうだ…これ。」

「まだ…少し…かかります…。」

 目の前の敵は怯み切っているが、まだまだ数は減らない。どれだけ連れてきているんだ、そんな気分にされた。もしかしたら、奥の手で特殊部隊なんかも用意されているかもしれない。そんなことを考えたらゾッとする。スキルはかなり強い認識があるから…あぁ…ここまでかも。

「健一さん!加勢に来れました!」

後ろを振り返れば、オリーが居る。あり得ない、何故ここが分かった?!それより…危ない!!こんな所に受付嬢が来てはいけない!俺の顔が物語っていたのか、オリーは一息つくと”加勢ですから”と俺に言った。

「なんじゃこりゃ?!」

 ”うぉぉぉぉ!!!”という声を上げて、各々闘志を燃やしている領民が数十人投入される。戦える者…ギルドの中で見た者だ。口々に”俺らの領地を荒らすんじゃねぇ!!”と言いながら人間をバタバタとなぎ倒す。

「はは、戦争だよ…これ。」

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