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来世でも実況したいと願ったら"スキル実況"を獲得しました  作者: とびし
二章 獣人の領土~ドンタイガー領~

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(1)

 オリーはマニュアル片手に外に飛び出して、領民に指示を出している。くっ…俺が考えさえしなければ良かった。こんなに早くフラグ回収してしまう事になるなんて…。いや、まだ戦争と決まった訳では…そう!隕石が降ってくるとか!あははは…。あり得ないか。

 メェルが俺の手をぎゅっと握って離さない。その俺より少しだけ小さな手は震えている。うちのメェルを怖がらせやがって…。

「さて、どう攻めて来るかな?」

「へ…?どう…でしょう…?」

「準備が整ったら勝手に攻めて来るんだ、相手がどう考えているかなんて関係ないんだよ?」

 奇襲作戦なんて良くある話だけど。大量虐殺をして、相手の戦意喪失を狙う作戦…本当に胸糞悪い作戦だ。民が悪い事をしたんじゃない、勝手に仲が悪くなって、勝手に戦争を起こされて、巻き込まれるんだ。

「さて、戦力にどれぐらいの差があると思う?」

「ど…どれぐらい…でしょうか…」

「う~ん…そうだな?こっちは準備出来ている人が…二人、相手は数十は確実だろうね?」

「ひぃ…怖い…です…」

「そんなに怖がらなくても大丈夫、泥船に乗ったもりでいいよ?」

「……?沈んじゃいます…?!」

 メェルは少し考えてからくすっと笑った。そう、それでいい…いや、それがいい。笑っていこう。この領地を踏み荒らさせる訳には行かないんでね。さて、どんな面をした奴が、どんな大義名分を引っ提げて歩いてきたのかな?その面、拝んでやろうか。

 領民の流れに反って、メェルと二人で並んで歩いて行く。俺らの周りは人がよけていく、俺らの事を不思議そうに見つめながら。

「そうだ、これで領主に会えるね」

「なんで…ですか…?」

「え?もちろん、この領地を守り切るからね?」

「ふふ…健一さん…イトベリアの…人ですか…?」

「もう、心はイトベリア民だ。」

 別に人間を滅ぼしたいとか思ってない。勝手に攻めて来たし、俺の居場所はコルトランドにはない。なら、せめて…守らなければならない、と決めた者達を守らせてくれ。

「だけど、ちょっとこの顔を晒すのは良くないか」

「あ…あそこに…マスクがあります…」

 領主の顔を模したフェイスマスク。そこには、勇ましいタイガーの被り物があった。お金を置いて、二つ分もらう。ちょっと視界が悪くなってしまうけど、そこまで支障はないだろう。俺の視点は…天からだから。

 城門前に到着すると、人間の軍勢が門番一人を相手に待機している。門番は遠くから声を掛けているが、おそらく人間サイドはガン無視している。じゃあ、何をしているんだろうか?剣を掲げて何かを言っている。かっこつけているだけだったか。

「聞け、獣人如き領地に赴いてやったというのに、この領地の所為で我々が被害を被った!」

「知らんがな、お前が勝手に怪我したんだろ?というか、何しに来たんだ?」

「失敬な!なんだこの獣人は?!」

 門番をしていた獣人が俺の方を向いて、目を見開いている。俺はばれない様に人差し指で二回、自分事を指さす。ちょっと伝わらないかもしれないけど、今はこれで勘弁してくれ、そして、手を出さないでくれ。犠牲を出したくはないから。

「そもそも、赴く話を聞いていない、お前は誰の差し金で赴いてきて、領地の前で喚いているのだ、馬鹿者が」

「ば?!この”獣”風情が!!」

「獣をお前にいじられるのは不愉快だな、猿は武器を操り行動の意味を考える事が出来るはずなのだが、お前は知能も持たない”動く人形”だな。獣はもっと賢いぞ?」

 メェルはそこで吹き出してしまう。更に相手の指揮官は顔をまるでトマトのように赤くして、青筋を立てて怒っている。こんな安い挑発に乗るんなら、挑発なんてするんじゃない。

「獣人を奴隷に差し出せば命だけは助けてやろうと思っていたが…許さんぞ!!!」

「まぁ、落ち着けよ、ここでやるのも迷惑だろ?考えろ、なぁ?道草でも食っとけ」

 俺の言葉に即座に反応したのは…メェルだった。メェルは何故か、俺の傍を離れて、城門の隣に生えている草を食べに行く。えぇ…?これ、俺が悪いのか?メェルに言った訳じゃないんだけどなぁ…。あ、そうだ!

「見ろ、道草食べてしまったではないか?どうしてくれる!」

「我々の所為ではないだろうが?!」

「お前らはこれと同じことをしている、大人しく帰れば今なら許してやる。帰らないなら…」

「がお…食べちゃうぞ…です…!」

 いつの間にかメェルが隣に戻ってきて、両手を上にあげて威嚇のポーズを取っている。うん?こんなの教えた事無いのに、どこで覚えたの?いやぁ…しかし、これは効くだろうな?怒りで我を忘れて指揮できなくなれば御の字だ。

「ぐあぁぁぁぁ!許さん、許さん!!!」

「ていうか、なんでお前は地団太踏んでるだけなんだ?暇なら場所を変えようか?お前らが有利になるように開けた場所でやってやる」

 そうは言っても、俺知らないんだよな。開けた場所…開けた場所…。メェルが俺の袖をつんつん引っ張る。ん?なんだ?と思えば、ダッシュで森の中へ俺を引っ張る。あれだけ煽られたんだ、着いて来るだろう。案の定、後ろから”追いかけろ!!逃がすな!”という声と共に、鎧の動く音が聞こえた。

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