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来世でも実況したいと願ったら"スキル実況"を獲得しました  作者: とびし
二章 獣人の領土~ドンタイガー領~

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五話 伝家の宝刀

 翌日もまた、狩をする事にした。メェルとの連携力を深めておいて損はないだろう。やはり小型の魔物は居ない、そういえば…コルトランドの方と魔物の生息の仕方が似ているか?俺がコルトランドで狩をしたのは二回程度だったけど、どちらも大型の魔物だった。別に大型が手前に生息しているのが異常じゃ無ければいいんだ。

 目の前の違和感に咄嗟に俺は、隣を歩いているメェルの手を引いて茂みに隠れる。目の前で人間が狩をしていたから。別に隠れる必要は無い、とは思うのだが、わざわざここまで来て狩をするだろうか?それに、小型の魔物ばかりを狙って。

「あれが原因なんじゃないか?」

「そう…でしょうか…?」

「だって、あんなに大人数で小型の魔物を狩ってるよ?」

「あ…あれが…一般的です…」

 メェルはじっと人間のパーティを見つめている。俺らが単純に異端だったって事?いや、まぁ…大型の魔物を一人で倒すのが一般的!なんてことは言わないにしても、あそこまで追い立てて狩っていくかね?何か意図があるとしか思えない。それこそ、大型の魔物しか生息出来ないようにするとか。

「それをした所で、か。」

「な…なんですか…?」

「いや、気にしなくていいよ、急ごうか。」

 別にこちらが絡まれに行く事もないだろう。狩をしているパーティを尻目に、森の奥の方へ移動する。今回の依頼も結局大型の魔物を狩る依頼になっていたから。

 狩が終わって、ギルドの方へ向かう。まだ人間のパーティは小型の魔物を漁っている。居ない訳ではないから問題は無いのだろう。獣人も困っている感じでもなさそうだし…別に放っておいてもいいか。でも、ギルドの中で人間を見かけては居なかったんだが…。

 ギルドに着いて、オリーに依頼の達成を報告する。今日の依頼達成でメェルのクラスがシルバーまで上昇した、めでたい事だ。

「健一さん?何か複雑そうな顔をしていますね?」

 オリーが俺の視界に顔を覗かせる。あぁ、そんな酷い顔をしていたかな?メェルの達成が嬉しいと同時にすごい引っかかる。コルトランドでやればいい事をわざわざしている光景が、まるで獣人への宛てつけの様な気がするんだ。

「人間っていつもこっちの方まで狩に来てますか?」

「え?そんな報告は上がってませんけど…?」

 オリーが首を傾げて不思議そうな顔をしている。うん、やっぱりそうなのか。大型の魔物をあえて置いておく理由は…分からないか。

「大型の魔物のみ、を置いておく理由は何でしょうね?」

「さぁ?ただ、高クラスの魔物ばかりが報告に上がってくると、こちらとしては困ってしまいますかね?」

「食べる物が…減って…しまいます…」

 メェルが俯いて答える。あぁ、そういう事?素材も回ってこなくて、武器や防具の供給が滞る?では…コルトランドの狙いは…戦争を仕掛けるための準備か?国王は言っていた、仕掛ける準備をしている、と。まぁ、考えすぎか。

「高クラスの魔物でも、獣人複数人なら勝てますよね?」

「あぁ…それはですね?」

 イトベリアでは、狩人をしている者にパーティに入る事を推奨される。実際、俺とメェルは少し例外ではあったけれど。話を戻して、パーティと言っても大規模な集団の様な物。そうやって、安全が確保されてから狩を開始する。大型の魔物を討伐する際には、安全を確保して、小型の魔物を掃討するところから始める。

「じゃあ、別に困ってない、のか。」

「困るには困りますよ?危険度は増しますから…ただ、経済効果を考えれば、大型の魔物は凄いですよ?」

 俺は一息ついて、胸を撫でおろす。やはり、俺の考えすぎが招いた単なる妄想だ。それならそれで、良かった。獣人の皆に恩を返すために、鬼になる必要は無いって事か。

 ふと、気づいた。自分の中で、獣人の事をこれだけ考えるようになっていた事に。全ての獣人が優しさや温かさに溢れていて、いつも笑顔で…俺はここの領地をもう既に好きになっているのか?いやぁ…我ながら早いな…。

「なら、この件は忘れてください」

「はい!そこまで考えてくれてありがとうございます!」

 オリーはペコリ、と頭を下げてくれる。いいんだ、俺が勝手に考えてしまっただけなのだから。それに、もし仮に何かをしなければならない、となっても俺とメェルだけでは流石に無理だ。鬼になる!とか息巻いているが、たかが知れているだろう。

「イトベリアに骨を埋める覚悟が出来たんでしょうね、彼らは」

「あはは、それだったらいいですね!ここの領地は本当に素晴らしいと思っていますから!」

「私も…思います…」

「メェルさん…!」

 オリーとメェルがひしっと抱き着いている。はは、仲良きは良い事かな!じゃあ、買い取りも終わったし帰りますか……?二人の耳がぴくぴく動いている。途端に笑顔が消え去った。

「どうしました?」

「ちょ、ちょっと待ってください?!」

「な…なんですか…これ…?」

「え?何?何が起きたの?」

 二人が耳を塞いでいる。俺には全く何も聞こえない、もしかして、周波数を弄っている何かを流したのか?人間が仕掛けて来たか?

「どうしましたか?」

「警報が鳴りました…これは…戦争かもしれないです。」

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