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来世でも実況したいと願ったら"スキル実況"を獲得しました  作者: とびし
二章 獣人の領土~ドンタイガー領~

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(1)

「今からでも言って二部屋取ろうか」

 俺がそう言って、階段の方へ行こうとすると、メェルは俺の腕を掴んで離さなかった。メェルは”気にしません…から…”と頬を染めて呟く。いや、その感じはまずいって。俺が気にするよ、なんて言ったって俺より幼い子だからね?見た目的には…って話だけど。

「メェルがいいなら…まぁ…」

「はい…良いです…から…」

 そう言って、部屋を開ける。中は思ったよりも広く作られていて、円形の部屋が広がっている。面白い事に、全てが円形の物で統一されていて、広く使えるようになっている。こんな事を思いつくなんて、天才獣人が居るんだ!感動だなぁ。ベッドは二つ置いてあって、扇状になっている。荷物を置いて、鍵を閉めて、ベッドに座り込んだ。

「はぁ…ここは天才が設計したんだな」

「ありがとう…ございます…!」

「え?!メェルが設計したの?!」

「いえ…私の…両親です…」

 なるほど、だからここに泊りたいのか。両親の残してくれた唯一の物だから。いや、まだ死んだと決まった訳じゃ無い。奴隷という事、この建物を作れるぐらいの天才設計士という事、この二つを考慮しても死んでいる可能性は低いはずだ。来賓扱いとかはされないにしても、どこかで生きている…はず。

「所で聞いて良いかな?」

「な…なんですか…?」

「なんでメェルは…その…顔が人の顔をしているんだろう?」

 メェルの顔は出会ったときから、羊の顔をしていない。銀色のパーマ、真っ白い陶器のような肌、お人形のような綺麗な顔。他の獣人とは異なる見た目をしている。他の獣人も可愛かったり、かっこよかったりするのだが、メェルとは別系統で皆一様に動物の顔をしているのだ。

「私は…亜人と…獣人の子供…ですから…」

「そういう事か!能力は引き継げたの?」

「羊の能力と…人の能力を…引き継いでます…」

「人のスキルもあるのか?」

 メェルはこくりと頷きメェルは話し始めた。

 形態変化の能力で、羊の毛を体中に出現させて、自分の身を守るスキル、これを備えている。角で攻撃することももちろんそう。しかし、羊特有の強味も、弱味も引き継いでいるそうだ。群れとして狩をしないとパニックになるとか、奥行を認識出来ないとか。パーティを群れとして認識できないのは理由があって、”絆”が強いかどうかの違いがある。

 なんだ、その能力?獣人とかそういった、人間とは見た目が異なる者にしか使えないような能力は。その能力があるから、今は人型として活動出来ている、という事か。

「なるほど…面白いけど、難しいかもしれないね?」

「それでも…パニックを起こすことは…今日から…無くなりました…!」

「なんで?」

「健一さんが…居てくれます…から…!」

 メェルは目を輝かせて俺の方を見つめている。そこまで信頼する事が出来るのなら、他の人でも…この考え方は違うな。俺も自分の事を打ち明けて、メェルも自分の事を打ち明けた。お互いが、お互いの事を深く知ろうとする事が、お互いの事を深く繋げたんだ。だから、群れとして認識出来るようになった、そういう事なんだろうな。

「自分で考えていて、恥ずかしいな。」

「なんですか…?何を考えたんですか…?」

「忘れて、なんでもないから」

 メェルは頬を膨らませている。俺が仲間外れにした、と思って拗ねているのかもしれない。可愛い所がいっぱいあるんだな。そうだ、羊毛を出すことが出来るのは分かったが、それはどれぐらいの攻撃を弾くことが出来るんだ?

「その、羊毛出せるって言ってたけど、それってどれぐらいの攻撃から守れるの?」

「剣とか…弾けます…!」

「は…?無敵じゃん?」

 怖がる必要全くないじゃ……あ、違うわ。動物としての本能だ。火を怖がってしまうとか、臆病とか、攻撃的とか。全てが動物としての本能で説明がつくか。獣人は皆、そういう特性を色濃く受け継いでいるんだ。だから、身体能力も高いが、弱点が存在する。そういう事か。

「なるほど、難しいな。」

「何が…ですか…?」

「本能の話だね」

「うぅ…分からない…です…」

「所で、明日はどうしようか?」

「狩に…行きますか…?」

「そうだねぇ…」

 確かに、まだ解明出来ていない部分が俺にも、メェルにもある。それに、連携という部分も今後肝心になってくるだろうな。ただ…俺が連携の指揮を握るのはかなり難しい…か?うん?そんな事はないわ。実況の視点は自分自身を俯瞰で見ることが出来る、なら別に難しい事は何一つないじゃないか。

「よし、明日は狩に行こう」

「分かり…ました…!」

 二人でベッドに寝転がる。なんだか一日中働きづめだった感じがするな。ゴロゴロして居たら、すぐにうとうとしだす。あぁ…この感覚は懐かしいな。部活で疲れた後、運動した後みたいな…考えたくても……考えられないやつ………。

 何かにゆさゆさと揺すられる。なんだ、何が揺すって……?あ、メェルか。俺は顔を上げる、メェルは俺の上に乗っていたから顔がかなりの距離まで近づいてしまった。

「うわぁ?!めっちゃ近い!!」

「ぴゃっ?!お、おはよう…ございます…」

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