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来世でも実況したいと願ったら"スキル実況"を獲得しました  作者: とびし
二章 獣人の領土~ドンタイガー領~

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(2)

「所で、この領地で生活していて何か困った事ってないですか?」

「あ…あの…敬語じゃなくて…良いです…」

「分かった、そうしよう」

「はい…!」

 メェルは俺が敬語じゃなくなったのを聞いて、笑顔になる。その後、真剣な顔をしたかと思うと”う~ん…”と唸り始めた。そこまでいっぱいあるのか、はたまた考えなければ出てこないのか。どちらなのだろうか。しばらく考えた後、メェルは顔を上げて”あっ!”と声を漏らした。

「そう…でした…ご飯…です…」

「まだ食べてないの?何か食べる?」

「そうじゃ…なくて…」

「違うの?お礼でも…って思ったんだけど?」

「じゃ…じゃあ…お願いします…」

 メェルはなんだか不安そうな顔をしている。俺は何か間違ってしまっただろうか。昨日今日会ったばかりの女の子を食事に誘っているからナンパだと思われているとか。もしかすればあまりよく思われていないのかもしれない。そんな心配を他所に俺のお腹は音を立てる。肉…食べたいな。

 そうだ、メェルは何をモチーフにした動物なんだ?見た感じは…そうだな。角があって、白い感じでふわふわ。くせ毛だし…大楯を持っている感じからして力持ち?いや、何、その動物。でも、角が螺旋状になっているのを見ると…羊なのかな?じゃあ、肉は食べないか?

「肉とかどう?食べないかな?」

「お肉は…やめた方が…良いです…」

「そっか、じゃあ…サラダ?」

「果物とか…ですか…?」

「そうしようか」

 昨日も果物を食べたが、それは伏せて一緒に市場まで買い物に行く。市場の果物は、食べた感じ新鮮だったし質の高い物が売られていると思う。ここは木々に囲まれているから、きっと獲れ立てで質のいい物を提供できるのだろう。

 そういえば、昨日も一人で居たな。盾を持っているって事は、狩人なんだよな?メェルはどういう狩の仕方をしているのだろうか?他のパーティに混ざって前衛を任されているのだろうか。

「メェルはさ、一人なの?」

「はい…一人です…」

「狩人だよね?ギルドで誰かと組んで狩をするの?」

「狩も…一人…です…」

「そんなまさか?!」

「ひゃい?!」

 メェルが咄嗟に大楯を構える。俺の大声にびっくりしてしまったみたいだ。申し訳なさを感じるが、それよりもだ。前衛の盾が一人で狩をするなんて、どういう事だ。もしかして、他に武器を扱えたりするのだろうか。

「他に扱う武器があるの?」

「角で…攻撃…できます…」

「へぇ、そうなんだ?もしかして、誰も組んでくれないとか?」

「そ…そうです…。」

 メェルは俯きながら頷く。あのギルドはしっかりしていると思っていたんだが、そうでもないのか?それとも何かメェル自身に事情があるのか。俺には良くわからない。おどおどしているけど、自分よりも大きな盾を扱う事が出来るんだ、それだけで引っ張りだこになってもおかしくないのだけど。

 んな?!なんだ?!さっきから昨日の市場とは違う匂いを感じる。明らかに果物の臭いではない、鼻を突く酸っぱい臭いというか、血なまぐさい臭いというか…。そうだ、これは腐肉の臭い。冷蔵庫で腐らせてしまった肉の臭い。何故このような臭いが…。

「この臭いって何だろうね?」

「きっと…朝だから…肉が売ってます…」

「は?!売り物からの臭い?!あり得ないでしょ?」

「だから…肉は…やめた方がいいです…」

 メェルも明らかに鼻で息をしていない。鼻をつまんで離しているような話し方をしている。この臭いは鼻が効くものにとっては耐え難い苦痛なんだろうな。でも、ハイエナとかライオンとか、元々胃の酸性度が強い者や腐肉食の獣人にとっては問題が無いのかもしれない。

「これ、領民はどう思っているの?」

「いつも通り…です…食べようと思えば食べれます…」

「まじか…。」

「食べ物を…粗末に出来ない…です…」

 メェルの目から輝きが失われて、まるでゾンビのような雰囲気を感じる。多分、食べたんだろうな、という事が一目見て分かる。地獄だろうな、腐った肉を胃の酸性度が強くない者が食べればどういう事が起きるか想像できる、食中毒が起きて死にかけるだろう。

「加熱してもダメだよね、多分」

「加熱しても…全然ダメ…です…」

 ですよね~。もし仮に、塩が採れるんだとしたら…多少解決できない事もないんだけど。とりあえず、状況を見てみたいから、行ってみるか。

「ちょっとそっちまで行こうか?」

「た…食べるんです…?!」

「いや、食べられない、俺は死ねないから」

「死ねない…?」

 メェルは俺をキラキラした目で見つめてくる。そんな目で見たって、思っている事と違うよ?不死者って意味じゃないから。目的を果たすまでは死ねない、ただそれだけだから。

 二人でどんどん臭いの強くなる方向へ進んでいく。もはや、何かの拷問か?と疑いたくなるような臭いがする。市場の中腹ぐらいに来ると、そこに目的の品物が並べられていた。明らかに食べていい色をしていない物から、まだぎりぎり行けそうな物まで並んでいる。

「こんにちは」

「ああ、あんちゃん、買いに来たのかい?」

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