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来世でも実況したいと願ったら"スキル実況"を獲得しました  作者: とびし
六章 武人の領土~タチマチヅキとモチヅキ領~

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メェルの試練、勇気

 私は早速嫌われてしまったみたいです。なんでそう思うかですか?だって…目の前の漆黒に輝く四角形の大楯が、私を脅してくるんです。怖くて仕方ないです…。

「貴方は本当におどおどしていてダメね?」

「ん…そうかも…しれないです…」

「そういう所がダメなのよ!!分かってないわね?」

「はい…申し訳…ございません…。」

 これでも精一杯やってきたつもりだったんです。健一さんの傍を歩くために、必死に前に出る努力をしました。いつも褒めてくれて…本当に嬉しかったんです。だけど…本当はあまり良く思われていなかったのかもしれません。この大楯さんと同じように思っているのかもしれません…。

「貴方に一つだけ足りないのは、ユウキよ?私の名前でもあるの、どう綺麗でしょ?」

「はい…綺麗…です…。」

「ふん。そんなに綺麗に思って無さそうね?勇気もないのに、他人の事は卑下するわけ?」

「んな?!してない…です…。」

「いいわ、貴方に私を使うだけの実力があるかどうか見定めてあげる。さぁ、行きなさい?」

 気づけば私は草原に居ました。草原の真ん中で何をしていたのでしょうか?分かりません…。敵を見つけてしまいました。前方に見えるのは…大きな鹿の魔物。この世の物とは思えない程怖い顔をしています。この魔物は何でしょうか?

 そう、もう一度…気づけば目の前に顔がありました、その鹿の魔物の。私は怖くて大楯に身を隠します。だけど、鹿の魔物はそれを掻い潜って後ろから攻撃してくるのです。

「くっ…どうして…」

「……。」

 大楯も喋らなくなってしまいました…怖い…助けて…誰か、誰か。誰でもいい…。この場から…生きて帰して…。私は縮こまって動けなくなっていました。

「本当にあのパーティに居る人なのかしら?」

「ひぃ…。」

「はぁ…貴方には無理だったみたいね?じゃあ、試練は終了しましょうか。」

「まだ…まだやれます…!」

「もう無理でしょう?貴方、自分の今の姿を見て見なさいな?みっともなく足元に丸まっているのよ?」

 勇気…勇気。仲間が与えてくれた勇気。私は…誰かを守るために発揮する事が出来る。だったらそれは…仮想でも構いません。傍に…健一さん、ミヤビさん、シュエリさん、マルカさんが居てくれるイメージを持つだけでいいのです。

「行きます、やれます!!!」

「あら、良い顔になったじゃない?それで、どうするって言うの?」

「弾いて攻撃するんです、仲間を守るためにぃ!!!!」

 鹿の魔物を弾いて、攻撃を仕掛ける。しかし、角は短くて届かない。では、どういう行動をすればいいか。考える、考える…思考を止めない!出来るなら、鹿の上に馬乗りになって潰すか角で突く自分のパターンに持って行きたい。どうすればいいでしょうか。

「力を貸してあげるわ、さぁ、私に委ねてみなさい?」

「委ねる…?」

 何を言っているか分からないですけど…体から力を抜きます。だけど、鹿の魔物が目の前に…?!弾いた?どうして?違う、今はそんな事を考えている場合ではないのです!鹿の上に馬乗りになって…止めを刺す!!!

「はぁ…はぁ…。」

「何よやれば出来るんじゃない?どうしてそれをいつも発揮できないの?」

「どうして…でしょうか…?」

「あら、捨てられるのが怖いの?」

「それは……。」

「捨てやしないでしょう?あの人、健一とか言ったかしら?私が連れて行ったとき凄い怖い目をしていたわよ?」

「……え?」

「あれは…仲間に何かあれば許さない、みたいな目よ?私も少しビビってしまったわよ」

「あはは…じゃあ、大楯さんも…仲間です…」

「何よ?!私がビビりって言いたい訳?!」

「違います…奥手なのは…良い事でも…あります」

「ふふ、そこまで違いが分かっているのなら、貴方がこの試練を難なく突破出来たのも納得がいくわね。」

 大楯さんは笑って答えました。少し安心します、この試練を突破出来た事で、また皆の役に立つことが出来るかもしれません。最近は…ミヤビさんやマルカさんが居れば魔物を寄せ付けないぐらいの余裕があったんです。私は…飛び出て行っても、守る必要がありませんでしたから。

「過小評価しすぎじゃないかしら?」

「なんで…ですか…?」

「貴方がパーティに居る事でターゲットを絞りづらくなる事も重要なのよ?」

「そう…でしょうか…?」

「だから、大丈夫よ?」

「ふふ…別人みたいに…やさしいです…。」

「う、うるさいわね!そんな事はどうでもいいのよ。早く帰らないと…私が砕かれてしまうかもしれないわ!急ぎましょう!」

 ユウキは…怖がりなんです。怖がりだけど、気迫で押し返していく。それを私は見習わないといけないんです。私の元にユウキが来てくれたのは奇跡だったんです。ふふ、私の服の色とよく似あっていて、とてもかっこいい盾です。

「そういえば、貴方は心の中ではちゃんと表現できるのね?」

「…?!どうして…それを…?」

「だって、私は心の中を読めるのよ?」

「ミヤビさん…みたいな…。」

「それで?私は貴方の代わりに伝言する事なんて出来ないの。貴方としか会話出来ないから…それでも大丈夫かしら?」

「はい…頑張ります…!」

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