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来世でも実況したいと願ったら"スキル実況"を獲得しました  作者: とびし
六章 武人の領土~タチマチヅキとモチヅキ領~

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シュエリの試練、快気

「貴方が私のご主人様に成りえるんじゃないかしら?」

 僕はどこからか聞こえる声の主を探し回る。頭の中に鳴り響いた声、その声はどこからか聞こえてくるのに…相手の姿が見えないじゃないか。はは、僕はついにおかしくなってしまったのかな?一本のメイスを手に取ると”正解ですよ?私のご主人様?”と聞こえてくる。あぁ、この子が話しかけてきていたのか。

「所で…貴方はちゃんと全員を守り切る資格があるのかしら?」

「どういう事かな?」

「さぁ?これは私の独り言なのよね。所で…貴方はちゃんと回復することが出来るのかしら?」

「どうだろうね?回復なんて使ったことが無いから分からないね?」

 メイスは”クスクス”とわざと聞こえるように笑った。何だか…食えない子が僕の相棒候補らしい。別に嫌いじゃないんだけど…好きではないかな。もっと腹の内をさらけ出してくれるような人が好みなんだ。”健一さんだけでしょう?貴方は健一さんの隣に居る資格はあるかしら?”。

「さぁね…それを決めるのは健一君だ。」

「じゃあ、行きましょうか?私の試練は…耐えがたい苦痛が伴うのだけど、よろしいかしら?」

 僕に対しての苦痛かい?そんなの…味わってきたさ、何回も。皆が奴隷にされて、魔物に貫かれて…。僕は何回も見て来た、その度に何も出来なかった、と悔やんだ。もう、一生分の苦痛は味わった、ならもう一回ぐらい苦痛を受けたって大丈夫だろうね。僕は自身満々に頷いた。

 メイスと共に人気の居ない森に来る。こんな所で一体何をすると言うんだ?目の前に突然大きな魔物が現れる。イノシシの化け物みたいな魔物が。僕はメイスを手に取って戦う選択をした。

「さぁ…おいで!」

「ふふ、貴方はこれを殺す勇気はあるかしら?」

「そんなのあるに決まってるさ!」

 イノシシの魔物を殴り飛ばす。僕より三回りぐらい大きいけれど、鈍い音を立てて、ノックバックする。力だけは…なんだかあるようなのでね。ボコボコと軽快に殴っていく。さぁ…仕上げに渾身の一撃を叩きこんであげようじゃないか!僕はメイスを振りかぶって、大振りした。

「ふぅ…これで試練は終了かい?」

「まだ始まっていないわよ?何で終わった事になるのかしら?」

「…?どういう事だい?」

 イノシシの化け物は倒し終わったのに、まだ始まってない?どういう事なんだい?

 何やらそこら辺でうめき声がするような…?僕はそのまま獣道を突っ切って声の主を確認する。

「んな?!健一君?!なんで…君は街に残っていたじゃないか!」

 それにしても…なんで血だらけなんだい?!あんなに強い健一君が…弱っているって…どんな相手と戦ったと言うんだい?!違う、そんな事を考えている場合じゃない!ヒール…ヒール!!

「な、なんで?!」

「……。」

 どうして?!ヒールが効かない事なんて今まで無かったのに…。後ろから何やらうめき声が聞こえる。後ろを振り返ればそこにはメェル君やミヤビ君やマルカ君も居る。なんで?!いつの間に…どうして?!君たちはどんな敵と戦ったんだい?!

「ヒールが…間に合わない!!!」

 焦る…焦る……。僕の手からはヒールが出ているはずなのに!!!皆を…救えない…僕は、慢心していたのか……。だけど、ここで僕が諦める訳には行かないんだ!!!ヒールに込める思いを強くする。それでも傷は癒えていかない。なんでなんだ…なんでなんだ…!!

「分からない……分からない!!!」

「ふふ、落ち着いて考えて見なさい?」

「死にかけた仲間を前に落ち着いていられるのかい?!!!!」

「なんで私がこんな初歩的な事まで教えなくてはならないのかしら?」

「なんでもくそもあるのかい?!人が死にかけているじゃないか!!」

「あはは、やっとあなたの本心が見られたわ?気持ちがいいじゃない、さっぱりしていて!」

 メイスから伝わってくる。ヒールの力の源は、精霊では無くその人がどれだけ相手を思う事が出来るか、それと、願い。回復した後にその人がどうなっていて欲しいか願う。それに伴った回復を授けられる。落ち着いて冷静に…きっと思いは伝わっているんだ、願い…願い。

 強く願う、僕はこの後皆でまた冒険を出来るようになりたいんだ。だからだから…ね。お願いだ、君たちは最高の仲間なんだ、失う訳にはいかない。僕の願い…聞き入れてもらえるだろうか。

 僕の周りが強く光り輝く。これはきっと成功したんだろうね。仲間が全員立ち上がって消えて行った。唖然としてそのまま立ち尽くしてしまった。なんで消えたんだろうね?僕は…何か間違ってしまったのだろうか?

「すごいわね、グラウンドヒールなんて使える人は見た事無いわよ」

「そうかい?それで、皆は無事なのかい?」

「あれは私が見せた幻想よ?それにしても、貴方は私に相応しいわね!」

「そう…だったのかい…。」

 僕はドカッとその場に座り込む。本当に疲れた気がするよ。こんなに精神をすり減らすなんて思ってもみなかった。そもそも…皆がこんなに重傷を負う事すら、頭に無かった。

「私はカイキよ?貴方の武器として仕えましょう、ご主人様?」

 カイキはそう告げて、試練が終わった。終わったのなら皆の元に戻って、元気な姿を見ないとね。僕らはそのまま、皆と合流をするために戻って行った。

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