1-3 『本当の戦い』の始まり
約3ヶ月ぶりの投稿です。
リアルが大変忙しく投稿が遅くなってしまいました。本当に申し訳ありません。
今後もかなり間が開くことがあるのでどうかご容赦ください。
今回は『悪』の中枢部が少し解明します。読みづらい点も多々あるかもしれませんがご了承ください!
1.
「……………こ、こは」「お、起きたか。
―――――戦いのことは覚えているか?」「はい、覚えて…ます」「あれからもうかれこれ3日過ぎた」「み、3日!?」思わずわたしはガバッと勢いよく起きてしまったと同時に、「痛っ!!」体中に激痛が走る。
「あまり動くな。うちの治療担当によれば……『生きているのが不思議なくらい、闇のオーラに体を侵されていた。もう少し遅かったら死んでいたかもしれない。一ノ瀬さんに感謝してくださいね♡』………とのことだ」
口は笑っていながらも、目付きの鋭い諸星さんに少し睨まれてしまった。
「……動かないでおきます」わたしは思わず目を逸らした。
実は、自分が闇に冒されていたことははっきりとわかっている。
でも。
自分の語彙力で説明ができないほど、ソレは恐ろしいものだった。
どんどんと自分の人格が蝕まれていった恐怖。
最初にもらった「ホーリーエンジェル」というらしき能力は、一切出てこなかった。おそらく表に出ていたのは、あの「黒い」チカラのほうだった。
あの誰かさんは、嘘をついていたのか。わたしがつい物思いにふけっていると。
「おー、起きたねぇ新人ちゃん!」「うわあーーーん!!心配だったんだよ、戦ってたらいきなりすごい黒ーいオーラの柱が山の方で見えたから、君が何かに巻き込まれたんじゃないかって!!」「………命拾いしたな、一人だったら確実に死んでいたぞ」
「…………」部屋に将さん、麻さん、健さん、紅さんがやってきた。
「全員揃ったな。それでは少し話をさせてもらう。
―――――とその前に、まず君に名前をつけようと思う」そういうと諸星さんはわたしの正面に向いた。そして、少し考え始めた。「名前?」「お、久々の名付けタイム!」「名付け…タイム?」聞き慣れない言葉に思わず首を傾げる。
「ここにいる人達、ほぼ全員記憶を何かしら失ってるんだ」「え……皆さんも、わたしと同じく……」「そ。だから、リーダーが仮の名前を付けてくれるっていう。」「そう…なんですか」「……ルリカ」「ルリカ?」「ようし、今日から君はルリカ!ルリカって呼ぼうね、皆~」「いい名前ですね」「ふん、どうでもいいだろ、名前なんて」「将さん、酷いですよ!いくら仮名だって言ったって名前は大切につけないと!その将、だって諸星さんによって付けられたじゃないですか!」「……私は、リーダーの御心のままに」
こうしてわたしは仮名として、ルリカ、と名乗ることになったのだった。
「では、本題に移る。―――――まず。ルリカの異能力は『戦闘特化』……ということにしておく」「歯切れが悪いですね」麻さんがすかさず指摘する。「ルリカを測定器に掛けたんだがな………何一つ、情報が得られなかった」『何一つ!?』「……こんなことは……久しぶりだな、赤城寺以来だ」「……そう、ですか」「唯一その時の状況を知っている一ノ瀬の意見を採用した」「ルリカ、の体を借りていたモノは、『ダークフェンサー』と言っていました」
あの闇のチカラは、ダークフェンサー、というのか。
「そのチカラで、ルリカは確実にイルシオ・クラストを消滅させたのか?」「はい、この目で確かに見届けました」「……本当に、わたしが消滅させたんですか?」「…まあ、君が意識してやったわけではなさそうだから、君自身が、って言うのも少し違うかもしれないけど。」そうふと呟くと。「そしてもう一つ。」諸星さんはわたしに正面に向き。
「―――――これから君には、我々と、最前線で戦ってもらう」「………」
「ええええええええええ!!??」
アジト内に、ルリカの叫びがこだましたのだった。
2.――――――同時刻。
「……ありゃー」「……死んだか」
――――――『悪』。
人間の闇、負の感情を糧とする存在であり、流星軍と戦いを続けている。
ここは、彼らの本拠地『バベルの塔』と呼ばれている。そこに今日、悪の精鋭とも呼ばれる『悪ノ騎士』が全員集っていた。
「いやー、案外あっさりやられましたねー!アイツ」「……まあ所詮、『すぐに』、死ぬ運命でしたよ」「最近ただでさえも強い後輩いないのにまーた仲間いなくなるんですか」「イルシオ・クラスト…月…日…時…分に…死亡…ふう、メモメモーっと」「……うるさい」「皆様相変わらずでなによりですねぇ……いろいろと(ボソッ)」「(コクコク)」「どいつもこいつもほんっとーに狂ってんな、あははははっ!!」
――――ここは今、文字通りの混沌と化していた。と、そこに。
『!!』
ビリッ、と緊張が走る。
「諸君、集まってるわね?これから臨時会議を始めるわ」「はぁ、やっとですか」「(コクコクコク)」「おお、ラピシス総長!お待ちしておりました」「(私、統率力ないのかしら本当に…不安になるわね)…コホン、それでは臨時会議を始めるわ。…あの映像、見たわね」「ハッハッハ、いきなり本題ですか」「建前作ったところでしょうがないわ、デリー。……まず、あのチカラ。あれはかなり異質よ。イルシオは『1番』下の強さとは言っても、あんなぽっと出の人間には負けないわ。」「敵方の彼女?はかなりの逸材…ということですね?」「デリー、物分かりが良くて助かるわ」「恐縮です(ペコリ)」「……ということで、彼女を「要注意対象リスト」に追加するわ。懸賞金は1000万」辺りがどよめく。
「1000万!?たかがあんなぽっと出に!?」「やだぁいい仕事じゃーん!!」「コラ、先に殺さないでくれよ?彼女、興味深いし実験したいし」「うわ~、マッドサイエンティスト、また出てるよぉ」「ほう、これはこれは…」「静かに!……賞金は証拠提示後1週間以内に確実に送金するわ。では以上、臨時会議を終了するわ。」
ラピシスが立ち去り嵐のような会議が終わると、残った者達が口々に。
「1000万とは…思い切りましたな、本部も」興味深そうに呟く、『破壊』のデリー・タイラント。「金に興味はない。大切なのは結果だ」冷静に言い放つ『冷徹』のラルナイシア・イムリス。「俺も金はどうでもいいけど、殺すのは勘弁してくれよ?彼女は興味深い。実験材料にしたいからな」「出たぁ、マッドサイエンティスト!」「その呼び方をやめろ、メランチェ…あくまでも俺のモノにしたいだけだ」「それがキモいっつってんの!まぁ楽しそーだしアタシも協力してあげるよ☆」「別にいらない」「冷たっ!もー、意地でもついて行ってやるー!」内容は物騒だがなんだかんだ仲よさげに談笑する『暴虐』のウェスティン・カラクルイム、『快楽』のメランチェ・イマーノ。「相変わらず本当にゲスい人たちだなぁ(ボソッ)」「(コクコク)」そんな彼らを蔑むような目で見ている『双剣』、ジレン・ルード、アレン・ルードのルード兄弟。「ひーっ、これからますます私を忙しくさせるんですか!?あー、大変ですー!!」慌てる様子の『叡智』のミリー・エルシス。「……どうでもいい」けだるげに呟く、『静寂』のルーヴァン・イグノラ。「楽しみな人間が現れたなぁ…ヒヒヒッ」どこか嬉しそうな様子で舌なめずりする『狂気』のカルト・クロノアと、全てが、異質であった。
――――ここバベルの塔では、世界を裏から牛耳る悪の精鋭『悪ノ騎士』たちのいくつもの思惑が、ルリカを巡り交差していた。
3.「ははっ、楽しみだな、今後の彼らの行方が」「これは楽しむ話ではないでしょう」
同時刻、とある館では、フードの付いたローブを身にまとった者たちが、水晶玉に映った「悪」達を見て会話を交わしていた。
「1000万は確実に余計な判断です。早急な取消を要求します」黒にピンクのラインの入ったローブの女が提言すると、「ワタシは…どうでもいいですけど」黒に黄色のラインの入ったローブの女が呟く。「…ふ、なぜだ?「悪ノ騎士」のイルシオが倒されたのだ。これほど楽しいことはない」黒に赤のラインの入ったローブの男がニヤリとしながら返す。「だーかーらー、楽しむことじゃねぇだろっつってんだよ!」バンッ、黒に青のラインの 入ったローブの男が苛立たしそうに机を叩き。「これは前代未聞の危機だ!悠長に構えてんじゃ…」「私とて策がないわけではない」『……』
赤のラインのローブの男が一転、冷たく低い声で制する。「我々の障害は、徹底的に叩き潰す。完膚なきまでに。」4人は立ち上がり。
「我らの悲願を成し遂げるため」「偉大なるあの方を蘇らせ、『この世界も』我々のものとするため」「新たなる永久の秩序を創り上げ、我らを永遠のものとするために」4人は各々の剣を中央に掲げ、赤ローブの男は高らかに。
「我ら、『悪ノ王家』なり!」
キャラクター紹介No.Ⅱ 一ノ瀬亮
異能力名:『強制命令』
身長:175cm 好きなもの:ラーメン(主に塩)、素数
体重:63㎏ 嫌いなもの:きのこ類全般
特技:円周率を100桁まで言う事
特徴:癖っ毛かな。どれだけストレートパーマしても次の日にはどこかハネてるんだよなぁ(by本人)
今回もお読みいただきありがとうございました。次回を(いつになるかはっきりとは言えませんが)お楽しみに!m(__)m