表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

1-2 聖戦の始まり

どうも、ゆるパンダです。

気づくと前回の投稿から一ヶ月ほど立ってしまいました…お待たせしました、今回はバトル要素多めです。

読みづらい点が多々あるかもしれませんがぜひ最後までご覧ください。

1.

深い森の中。「あの…どこに向かってるんですか、これ」霧がどんどん濃く出てきて、段々と周りが見えなくなっていく。「もう少しだから我慢してね~」亮さんが微笑みながら言った。

気のせいだろうか。どんどん傾斜がきつくなっているような。息が上がる。

「ハァ、ハァ」「へばるな、こんな程度の傾斜ごときで」「将!この子は一般人なんだぞ、彼女のペースに合わせて歩けよ」「はいはい、レディファーストってやつですか?」亮さんの声も段々ときつくなる。

「おい将?これ以上言うなら『プログラ厶』してやるか?」「ハッ、勝手に言ってろ」


プログラ厶?


少し疑問を持ちつつも、思わず静止しようとしたその時。

「着いたぞ、喧嘩は終わりだ」諸星さんの声。刹那。

ブワッ!!「うわっ!?」

急に辺りが明るくなったかと思うと。

「え!?」「ここが我々のアジトだ」目の前には、巨大なビル。いつの間に現れたんだろうか。

「お疲れ様~結構な傾斜でしょ?ごめんね、うちの将、体力ないやつには厳しくて…」

将さんは仏頂面で、わたしに目を背け無言で歩き出してしまった。

「おい一ノ瀬、行くぞ。そいつを連れて来い」「了解しました。んじゃ、こっち」

わたしは亮さんに案内され、ビルの中へ入っていった。


2.「ここがアジトの中央棟、全ての施設に繋がっている」「ひ、広い……」「あはは、やっぱり初めてだとビビるよね」広々としたホールのような空間。床は一点の曇りもなく、ピカピカとしていた。わたしは思わず足が止まる。「これも専属チームが異能力で綺麗にしてくれているんだ」諸星さんはどこか嬉しそうに話す。

「相変わらず大層な綺麗さだこと」将さんがボソッと嫌味ったらしく呟く。さっきのことでまだ不機嫌そうだ。「こら、いい加減にしろ」亮さんがまたきつく将さんを睨む。「いい加減にしろ、早く行くぞ」

諸星さんは慣れているのか、スタスタと歩いて行ってしまう。「ま、待ってください!」わたしは慌ててついていった。


レーンに足を乗せると、足が滑っていく。

「うわ!速い!?」「動かない方がいい。滑って怪我するぞ」

ふとレーンがゆっくりと止まった。と、目の前。

目を引く背の高さ、金色のポニーテール、シックな黒いスーツ。

「お帰りなさい、リーダー、天星のお二人……と、新人さん?」「あの、この人は…?」思わず本人を前に尋ねる。

「愛南ミシェル。この天空寮の管理人だ」「ところでリーダー、この子は新人の天星さん?」「いや、違います。わたしは、諸星さんに連れられて―――」「ちょっ!ストップストップスト―――――」諸星さんが止めようとしたが。

「リ・ー・ダ・ー?」わたしは言ってからふと、諸星さんの顔が真っ青になっていることに気づいた。対照的に、ミシェルさんの顔が赤くなっていっていることにも。「あなたは何回、一般人を戦いに巻き込めば気が済むのですか?」「ち、違う違う、そうじゃ、そうじゃない!!本人からも了承を得ててだな……っておい、ミシェル!私の話を聞」しかし。ミシェルさんの拳は、『輝きを』増していた。と。

「もう結構です」静かに呟く。その声は途轍もない威圧感を持っていた。

「この拳で。ワタシの怒りを思い知って貰いますよ」「ミ、ミシェル……人の話を聞」そこからは、一瞬の出来事だった。

「異能力『秘孔拳』――――――」「ミ、ミシェル、ストップスト―――」

「鉄・拳・制・裁!!!」

その瞬間。ミシェルさんの『光る』拳が、諸星さんの腹に思いっきり突き刺さった。

ミシェル、会心の一撃!!

「ぬわーーーーーーーーーっ!!」

ドン、と地面に倒れ伏した諸星さん。

「ああっ、大丈夫ですか!?」「ふぅ、この人にはこのくらいしなきゃ伝わらないわ。大丈夫、死なないから、この人」

倒れ伏す諸星さんの顔は、どこか安らかな微笑みをたたえている…気がした。


3.「さて、君のこれからについて説明しようと思う」

ミシェルさんの鉄拳制裁からわずか十分ほど。諸星さんは完全復活し、わたしに説明を始めた。正直脳みそが追いついていない(目覚めてから今までずっとだが)が、説明を聴く。

「まず、君には少しテストを受けてもらう」「テスト……」「答えたらどのくらいの異能力を持っているかが大体わかるテストだ。外れたことは無い。一度もだ。恐らく数分で終わるが、始めるか?」「はい、お願いします」

質問が始まった。最初はわたしの記憶についてや自分の今後はどう考えているかなどについて聞かれた。すると突然。

「あ~、初めましての子発見!」「あ、ほんとだ!見ない子だね!」「はしゃぐな、騒がしい」「本田、森川、赤城寺、ちょうどいいところに」「だ、誰ですか?」

突然現れた三人組に、わたしはつい驚いてしまった。

「初めまして、ワタシ、本田麻。「あさ」って気軽に読んでもらっていいよー」「僕は森川健。たけちゃんって呼んでって他の人たちにも言ってるんだけど…なんでか呼ばれないんだよね……悲しい」

……少しハードルが高いかもしれない。たけるさん、でいいかな。

「……………」「あ、あの…あ、あなたはどうやって呼べば……?」と、静かに話し出した。

「…赤城寺紅だ。好き勝手に呼べばいい」と、踵を返し、スタスタと歩いて行ってしまった。「あ、あの!?」「悪い、赤城寺、少し付き合ってくれ」「……時間は」「数分だ。少しはゆっくりしろよもう…せっかちだなぁ」亮さんが呆れ顔でため息をつく。「時間を無駄にしたくないだけだ」「いつもリーダーには時間使えるんだろ?数分程度、付き合えんだろ?あぁ?」将さんが紅さんを睨み付ける。「やかましい。そこが嫌いだと言っているんだ」「はぁ?もう一度言ってみろよ、あぁ?」と。


バァン!!!!!!!!!!  「!!」


諸星さんが、『手を叩いた』音だった。

まるで銃声のような音で、一瞬音の出どころが理解できなかった。

「………………チッ」「……命拾いしたな。お咎めは無しなんですかリーダー?」「こんな時に争っても意味は無いというだけだ。本来なら二人ともグラウンド50週の刑だ。感謝しろ」

ふぅ、と息をついた。そして改めてわたしに向き直し。

「全員、こいつに一度に喋れ。」

と、そこから怒涛のしゃべりが始まる!!

「今日の『覆面ライダーミクロン』見た!?凄い面白かったんだよ!見てなかったらぜひ見てみて!!!」「寿限無寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚の(以下略)」「メロスは激怒した、彼の邪智暴虐の王を除かんと決意した、メロスには政治がわから(これもまた以下略)」「こーのーまーまーきっみーをつーれていくっとー♪ていーねていねていねーに(以下r)」「おーもいでずっとずっとわっすれないーそらふったりがはっなれていーても(以k)」

「よし、終わりだ」

…………え?

「では問題。『彼らは今それぞれ何を言っていた』?」

……なんとか聞き取れはしたので、一人ひとりの発言について、少し解説し始める。

「まず、亮さんが走れメロスの冒頭の暗唱ですね。将さんは寿限無の暗唱、健さんは『覆面ライダーミクロン』……?でしたっけ、それに麻さんは新宝島、紅さんはLove so sweetを歌ってらっしゃいました?どうでもいいですが紅さん、音域低いですね」


一瞬の静寂の後。


「……マジか」将さんが呟いた。「これは…すごいな」亮さんが感嘆の声を漏らす。「ふふっ、やるじゃん」どこか声が弾んでいる麻さん。「すごいなぁ、合ってるよ」楽しげな声の健さん。「………」目を見開き黙っている紅さん。

「………文句なしの、合格だ。驚いた、こんなにも的確に内容を把握したのか…あの一瞬で」「あの…そんなにおかしいんですか?」

「ああ、普通ではない」諸星さんに少し前のめりに返された。

「一般人なら一言も聞き取れないか、聞き取れて一つくらいだ。恐らく君は…」とその時!

ウィーンウィーン!!『!!』警報のような音が、辺りに鳴り響いた!

「施設内の総員に連絡いたします。只今、桜町5丁目付近に『悪』の出現が確認されました。その内一体は『悪ノ騎士イーヴィルナイト)』であることが確認されました。天星の皆様は早急に出動の準備をお願いします。」

「タイミングが悪いですね」「完全覚醒を待つ暇はない。君にはここで待機してもらいたい」と、亮さんが口を開いた。

「戦場に出させるのはいかがでしょうか」『!?』

戦場へ出る!?わたしが!?いや無理無理、と言う前に、亮さんが更に口を開く。

「今まで、私たちは全員戦場に赴き、その場所で異能力の完全覚醒を達成しました。もしかしたら、彼女も凄まじい能力の持ち主かもしれません。どうか…彼女にチャンスをくださいませんか?」

だが、すぐに反対の猛抗議が出た。声の主は、紅さんだった。

「貴様…とうとう頭が狂ったか!!」「赤城寺、落ち着け」「落ち着いてられるものですか!!」凄まじい怒号に、思わず全身がビリビリと震えた。

「――――いくら異能力の素質があると仮定しても、奴は戦場の経験など一切ない、ただの足手まといだ!一ノ瀬、どういう考えをすればそうなった!?一般人を守るための我々が!一般人を殺す気か!!」

亮さんは紅さんに胸ぐらを掴まれながらも反論する。

「……今まで新しく異能力が発動した人は、もれなく、戦場である程度の危機的状況に陥ったときに覚醒しているんだ。頼む、理解、してくれ」「意味がわからない。なぜ私が理解できると貴様は思う?………まあ、もう良い。これ以上の議論は時間の無駄だ。

――――分かっているとは思うが、私は責任は一切取らない。私の意志はリーダーのご意志。リーダーが認められるならば貴様は勝手にするがいい」「………赤城寺」紅さんは一人、立ち去ってしまった。

「済まない、奴は人一倍、人を大切にしている。それが故のあの言葉なんだ」「……」

静まり返る室内。その中諸星さんは、わたしに向き口を開いた。

「君に、任務に赴く許可をあげよう。責任者は一ノ瀬亮」「はい、お任せください」ひざまづく亮さん。

「亮さん、よろしくお願いします」「君は僕が守るよ」

「総員、すぐに出動だ!『転移拠点ワープポータル)』へ急げ!」『YES、リーダー!!』


4.ザッザッザッザッ。規則正しく響く足音が、重苦しい空気を演出する。

「あの、ワープポータルって?」「指定の場所へ、一瞬で転移できる代物だよ。これなら即座に戦地へ向かえる。……っと着いたよ」目の前に大きな機械が現れた。亮さんとその中に入っていく。

「目眩むかもしれないから、目は閉じたほうがいいよ。さて、準備はいいね?

――――よし。『転移拠点』……起動!!」

キーーーーーン……

……………………………。

「………………着いたよ」

「………………嘘、だ」

―――――辺りには、『血のような』赤や『黒』が溢れていた。

「え…こ…れ…」「うわあ、思ったより早いし…派手に戦ったなぁ。今回は相手側も徹底抗戦、妥協なし、かな。死者もそれなりに出るかもなぁ、手間かかるなぁ、もう」

―――――当たり前のように淡々と話す亮さんに、頭が全くついて行けない。

脳が、理解を拒んでいた。

目の前の現実を、認めようとしなかった。

あの『赤』は何なのか。ここは戦地であることを考えれば、想像はついてしまった。

しかし。

『黒』は何なのか。

しかし、わたしに思考する時間はなかった。絶望で頭が回っていなかった、刹那。

「危ないっ!!!」

キィィィンッ!!ズギャン!!!

「え……!?」ふと音の方向へ振り向くと。


わたしのすぐ横に、巨大な鎌が、突き刺さっていた。「あーあ、もう少しでその子の体、一直線に突き刺せたのにィ」

嫌なくらいの陽気な声の主は。

「イルシオ……この野郎………!」「いやぁ、久しぶりだねぇリョウ・イチノセえーーーん!会いたかったよぉ本当にぃ!ボクずっと待ってたんだよぉ、君のことぉ♡」

人形のように白く透き通った肌、真っ赤な瞳、邪悪な笑み。手元にはいつの間にか鎌が戻っていた。

「はじめましてぇ、こんにちはぁ~。ボクは『悪ノ騎士』のイルシオ・クラストっていうんだぁ、よろしくぅ。まぁ、もう少しで死ぬんだけどね、キミ。アハハハッッッ!!」

『悪ノ騎士』。

その言葉を聞いた瞬間、わたしは頭が真っ白になってしまった。

「何故彼女を狙った!俺が目当てなら俺を狙えばいいだろうが!!」「えええ~、だってその子邪魔なんだもん!ボクとリョウの2人きりがいいんだも~ん!」

と、ギロリとわたしを睨みつけた。空気が一瞬で凍りつく。

「ボクの最高の時間、邪魔させてたまるか。キミはボクが直々にブチ殺してやる。大人しくしてろ」「イルシオォォォォォオ!!やめろおおおおおおっ!!!」

亮さんが必死に止めに走る。しかし!

「この子がどうなっても良いんだったらぁ、ボクを殺してみなよ?」「!!」

わたしはイルシオに捕まり、首筋に鎌を当てられる。もう少し手前に引かれれば、私の首は切れてしまうかもしれない。そう思うと体中の震えが止まらなかった。

「クソーーーッッッ!やめろ、この野郎!!」「あー、やーっと本気でボクに相手してくれたぁ!うれし~!!ずっと夢見てたよ、この時を!!君が絶望に歪むこの時を!!アハハハハハハハハハハハハ!!!」

目が吊り上がった、とてつもなく邪悪な笑み。「……生きては帰さないぞこの野郎」亮さんがギロリと睨み付ける。場は凍りついていた。


とエルシオは、唐突に笑うのをやめ。


「あー、もうこの際どうでもいいやぁ。目的はリョウ・イチノセ、君だけだったわけだし

―――――この子、殺しちゃお☆」


ブツン、と。


ワタシのナニかガ、きれタ。


「うわああああぁぁぁ!!このやろぉおおおおおおお!!!!!」


その瞬間、亮さんの叫びが段々とチイサクナリ、わタしノ意識ハクズレ、不快病みの中へキエテぃっタタタタタタタタ





5.

――――――――――――。

「おい、目覚めたか。」「………!?」

思わず飛び起きるわたし。

しかし、辺りは真っ暗で何も見えない。

「起きたな。………しかし、やっと会えた。お前にとっては一日の出来事だが、オレにとっては永遠のような時間だった。」「あ、あの、誰ですか?」暗闇へ向かい問うが。

「どうせ言ったところで分からないだろう。ーーーましてや、お前には時間がない。死にかけの、お前にはな。」「し、死にかけ!?」わたしは意味が分からず、叫んでしまった。そんなわたしに、ダレカさん、は説明し始める。「まず、お前は分かっているとは思うが記憶喪失だ。そして、その理由はお前自身にある」「自分自身……」「記憶を取り戻したいと思うなら、お前が『心から』記憶を取り戻したいと思わないとならない。」


『心から』?


とんでもない。わたしはすぐに反論した。「そんなの…取り戻したいと思ってますよ!当たり前じゃないですか!これ以上皆さんに迷惑もかけられないのに」「違うな。」言葉を遮られ、わたしは怒りがどんどん込み上げてくる。「は……?なんで!なんであなたにそんなことを言われなきゃならないんですか!!記憶を取り戻したいって言ってるんです!!あなたに何がわかるんですか!!」

ーーー短い間。

その後、声が返ってきた。

「お前の過去を言えば、すぐ分かることだ。しかし、オレ自身の口からは語れない。

だが、これだけは言っておこう。

ーーーお前は、お前自身で記憶を封じた。」「………自分、自身が……記憶を…封じた?」思わぬ言葉に、思考が止まる。

その言葉が、本当なら。

わたし自身が、わたしの過去が戻ることを拒んでいるということになる。

「……理由を知りたいか?」「……」

「現実を、知りたいか」「……知りたい」

思いが、込み上げて止まらなくなる。

「『悪』と戦いたい!戦って、記憶を取り戻せるなら!わたしに、チカラを…ください!!!」「……その言葉、確かに聞いた。ーーー覚悟は、もうできているな。」

迷いは、もう無い。わたしは、大きくうなずく。

「お前にやろう、このチカラを。」

その瞬間、わたしの体から光が溢れ出した!「うわぁ……きれい!」と、誰かは一拍おき。

「……そしてやろう、もう1つ。」

今度は対照的に、黒いオーラがわたしの体から溢れ出すーーー!!

「うわあ!?」「……あまりのピンチにどうしようもなくなったとき。そのチカラは本領を発揮する。

ーーーだが、お前にこのチカラを完璧に扱えはしない。絶対だ。」「………なんで、そんなものまで」「さあ、時間だ。そのチカラを使い、『お前の思う』、悪を消し去れ。」

途中でわたしの言葉は遮られてしまった。

しかし。

わたしにもう時間はなかった。

「……行ってきます」

突如見えた光の道へ。

わたしは、行くーーーーーー。





「リョウ・イチノセ、そこをどいてくれ!ボク達2人の世界を邪魔するやつなんだぞ!!」「ふざけるな!いい加減にしろ!!彼女だけは守る!!」「………ひどいよ、リョウ・イチノセ!!キミだけは……ボクと一緒にいてくれると思ったのにいいいいーーー!!うわああああんっ!!」決して亮を傷付けようとしなかったイルシオ。しかし、半狂乱になり、鎌を持ち亮に突進した。


その時だった。


亮の背後で。


ソレは、『覚醒める』。


「はぁ…?誰だ、ボクの邪魔をするのは!」「……まさか、完全覚醒したか!!」

「☓☓☓☓☓☓☓☓」

ソレが、何かを、口にした瞬間。大きな音とともに、地面が大きく割れる。

そして。


その天災とも呼べる存在は、ゆっくりと覚醒め、口を開いた。


「やっと、ダ。ヤット、覚醒められた。ドレくらい、この時を待ちワびただロウカ。」

先程までただの少女だったはずのソレは、どす黒いオーラを空気中に溢れさせる。

「あ………な、なんだ貴様ぁ!!俺様の邪魔をするなあああ!!!」イルシオは咄嗟にソレに向かい目にも止まらぬ早さで鎌を投げた。

しかし。

「ア?邪魔だト?」

イルシオの投げた鎌はソレに触れた瞬間、ドロドロになり溶け、消えた。「は……!?な、なんで!?なんで、ボクの愛用品が………!?」

ソレは続けて言う。

「邪魔なのは貴様のほうダ、コノ身の程知らずガ」

ソレは、イルシオを即座に捉える。

一瞬でイルシオの背後へ移動し、イルシオは

首を締められ拘束される。「ガハッッッ!は、離せぇ、コノヤロー!!」「黙ッて死ぬことも出来ないノカ、キサマは?」

ソレは、何度も、何度も、何度も、イルシオを地面へ殴りつけ叩きつける。

「グハッカハッアグっ」

ただ、ソレは無言で。

なんの躊躇もなく機械的に行う。

「(何だ……アレは?異能力…なのはイルシオにダメージを与えられているという点からはっきりしている。

ーーーだが、あまりにも異質過ぎる。強さも正直桁違いだ。僕の最初の頃はあんな悪ノ騎士を完封することなんて出来なかった…というより悪ノ騎士を完封することがまず普通ではないし……!?)」「そろそろ楽にさせテヤル。動くナ」「そ…んな…馬鹿…な…貴様…いったい何者なんだ…?」

ソレは上空に飛び上がり、懐から先程まで無かったはずの黒い光の剣を取り出す。

「『暗黒剣士(ダークフェンサー』発動。

――――『殲滅ノ剣(カタストロフィ・ソード』」

ソレは剣を持ち垂直に落ちていき、持っている漆黒の剣は、全く動けていないイルシオの心臓部に、正確に、深々と突き刺さった。「グ……ハ」

イルシオは黒い粒子となり、空気中へ消えていった。

と、その時。

「グッ……時間、か……」ソレはいきなり、地面に倒れてしまった。「君、君!?大丈夫か!?おい!?

……クソっ、早くアジトへ戻らないと!!」亮はすっかりオーラの消えた『彼女』を抱え、アジトへと転移した。


アジトの救護室にて。

一ノ瀬亮と諸星創はテーブルを挟み向かい合っていた。

そして、その空気は、あまりにも重苦しかった。

「彼女が、完全覚醒、しました」「……」「想定より、ずっと早かったです」「それだけか?」「……その、異能力が、あまりにも異質過ぎる、という点以外は、順調」「そこが問題なんだよ!」諸星は思わず声を大にして叫ぶ。亮の体が少し震える。

「です……よね」「どうなってるんだ、この数値は?」

すう、と一呼吸し。

「異能力適合率測定不能、異能力脅威率測定不能、異能力カテゴリ分類不能って!!なんなんだこれは!!??」「分かりかねます!!」

思わず荒い息になる二人のもとに。

「「「お疲れ様です、リーダー」」」

「……リーダー、そいつは」「か、片山、本田、森川、赤城寺か。任務ご苦労だった……ぜえ、ぜえ」「リーダー、随分息荒いですね…?」

諸星は、事の顛末を四人に話した。段々と四人の顔が青くなっていく。

「ええええええ!!!」「しーっ、怪我人さんがいるんだよ、静かにして!」「……そんな、ことが」「……ありえませんよね、そんなこと」「いや、測定器は壊れていない。何回も測定をし直したが、同じ結果だった」「……まるで、私みたい」赤城寺がポツリと呟いた。「ええっ、紅ちゃんも!?」「だから、しーっ!」森川が再び静止する。「ああ、ごめん」「………今は私のことなど関係ない。とにかく、彼女が目覚め次第事情を聴き、一つでも多く分かることを聞き出す…ですよね、リーダー」「ああ、それまで各々自室で待機していてくれ」『Yes、リーダー』

諸星以外の全員がいなくなった後。

「この戦い…荒れそうだな…」

諸星は、思わず深いため息をついた。

キャラクター紹介No.Ⅰ ルリカ

今作の主人公。記憶をほとんど無くしている。

身長:160㎝ 好きなもの:甘いもの、魚料理全般

体重:秘密 嫌いなもの:辛い・苦いもの、絶叫マシン

特技:1度にたくさんの人の話を聞いて的確に内容を話す

特徴:ストレートの髪…だと思います(by本人談)


今後もこんなふうに毎回やっていこうと思います。

次回もお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ