0.序章 「ダレカ」の記憶
初めまして、ゆるパンダです。
初投稿なので勝手が分からず読みづらい点も多々あるかもしれませんが、ご了承下さい!
――――私は。
――――生まれてから、全く良いことと呼べることが無かった。
――――お母さん、と呼んでいた人はお父さん曰く、病気で死んだらしい。まだ私が5歳の時だった。
――――そして、親族曰く。お父さんはついこの間、事故にあい死んだらしい。
――――あはは。踏んだり蹴ったりだなぁ、もう。
――――そんな私だけれど、神様は満足しなかったのか。今度は私を対象にいじめが起きた。
――――なんと、父は私のせいで死んだのだ、と。
――――なにそれ。
――――根拠の無い嘘も大概にしろっての。
――――そう強気でいられたのも、ほんの一ヶ月程度だった。
――――ある時は机に油性ペンで落書きをされ、ある時は黒板消しを頭上から落とされ粉まみれにされ、またある時は制服を脱がされ、殴られ蹴られ、スマホでその姿を撮られた。
――――どんどん私の心は疲弊し、体はボロボロになっていった。
――――お父さん、お母さん。
――――もう、いい加減、限界だよ。
――――でも。
――――またふと眠ると、朝は規則正しくやってくるのだ。
――――朝。カーテンの外から太陽の光が差し込む。
――――それとは対照的に、私の心は全く晴れない。
――――「行ってきます」我ながら機械的に呟く。
――――返ってくる言葉は、当然無い。
――――無駄なのに。分かってるのに。
――――辛い、なんて一言では済まないくらい、心は荒れ狂っていた。
――――でも。
――――泣こうとしても、涙なんて一粒も出ない。掠れた息が口から少し漏れるだけ。
――――そしてまたその足は、この世の「地獄」へと歩きだす。
――――それがいつものルーティンだった。
――――でも。
――――今日、その足は明確な目標の下、いつもより軽やかに動き出す。
「ギャハハはハハは」「いいザマだぜェ、まったくよぉ!ゲヘヘへへっ」「も〜う、やり過ぎだってェ、あははは!」
――――ふふふ。何も変わってないように見えるでしょ?
――――でも、今日はこの罵声すら心地良く聞こえる。
――――私の、最高の幸せへのカウントダウンは、刻一刻と減っているのだから。
――――そして昼休み、生徒たちが楽しく談笑する頃。
――――私は、校舎の屋上にいた。
――――ふと、深呼吸する。
――――久々だな、こんなにリラックスしたのは。
――――もうすぐいくから、待っててね―――。
――――そこに。
「ちょっと、ユウカさん?あ、あなた…何してるんです?――――フェンスに足なんか掛けて?」
――――雑音。でも、今は気分が良いから、BGMとしてなら許してあげますよ。
――――しっかし、本当に馬鹿みたい。
――――何も、知らないくせに。
――――こういうときは教師らしく生徒を止めようと。ほう?
――――そっちはいじめが横行してるのを知ってたのに許してたくせに?
――――まあ、もうどうでもいいけど。
――――久々にこっちは、お父さんとお母さんに会えますから。
――――「気分いいので」、許してあげますよ。
「ちょっと、聞いてるの、ユウカさ…!?」
――――そして私は、フェンスに両足を掛け。
「あ、ちょっ、ユ、ユウカさん!?キャーッ!!だだ、だっ、誰かー!!と、飛び降りよー!!とっ、飛び降り自殺ー!!あ、ああー!!」
――――近づく、灰色に舗装された無機質な地面。
――――でも、心は虹色に輝いていた。
――――だって、父親と母親に会えるんだもん。
――――遅くなって、ごめんね。
――――もう、迷いは無いよ。
――――今、いくからね―――。
――――あ。
――――お父さん、お母さん。
――――ひとつだけ、疑問があったよ。
――――どうして?
――――どうしてふたりとも
――――お葬式のとき 棺の中にいなかったの?
いかがだったでしょうか?
ぜひコメント等、ご記入頂ければと思います。