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33話 600年前

「僕は...」


シウォンが口を開く。


「平和協定に入るほうが良いと思います」


「なんだと...?」


「私もそれには賛成だな」


「皇弟まで...どういうつもりだ?」


ジークの殺気が強くなる。


「兄上が僕のことをよく思っていないのは知っています。しかし、トーユ国の海上貿易が無ければこの国は成り立ちません。今この瞬間にも、貧しい思いをしている人は増えています」


「そうだな。値上げによって街の治安も悪くなっている。民のことを考えれば自ずと選択肢は限られてくる。そうではないか?ジーク」


スワムもシウォンに意見に同調する。

つまり、この場に居る者の中で反対意見を述べているのはジークだけということだ。


「黙れ!俺に指図するな」


その瞬間、ジークの怒号が鳴り響いた。

辺りが静まり返る。


「...ジーク、1つ良いかな?君がそこまでユジの鉱山に執着する理由はなんだ?」


「...それは、私も気になっていました」


スワムの問いかけにミッジがポツリと疑問をこぼした。

先程から話を聞いている限り、確かに鉱山に何かあることは間違いない。

長い沈黙の末、ようやくジークが口を開いた。


「...聖女だ」


「「「「「せいじょ...?」」」」」


思わぬ言葉が飛び出したので私達は固まった。

聖女とはまさか、私のこと...?


「まさか兄上、あの伝説のことを言っているのですか?」


「伝説...?なんでしょうそれは...」


「...話してやれ」


「しかし兄上...分かりました。この伝説を知っているのは数少ない王族のみですが今から600年前、この国が戦争でとても荒れていた時、1人の救世主が現れました。それが聖女です」


「それは...初めて聞きました。それで、その聖女とやらが鉱山と何の関係が?」


不思議そうにミッジが尋ねる。


「月石...のことは知っていますよね?」


「はあ...もちろん。我が国で最も採取率が低い鉱石です。それがどうしたんでしょう?」


「聖女はかつて太陽石というものを持っていました。それが彼女の力の源だからです。そしてもう1つ、その石と対になる石があります。それがあれば聖女は完全に力を出すことが出来るのです」


「もしかして...それが月石?」


「正解です。ですが600年前の戦争では月石が聖女の手元に無く、聖女は戦争で力を使い切って亡くなりました」


「ちょっと待ってください。聖女はその600年前の戦いで亡くなったんですよね?それなのに何故ジーク様は月石を欲しがっているのですか?それで一体何をするつもりなのですか?」


「......」


「答えてください!」


ミッジはもう限界そうだった。ミッジだけでは無い、ヘンゼルもジークの理解できない態度に苛ついていた。


「ふ...ふははははっははははは!」


その瞬間、狂ったようなけたたましい笑い声がその場に響いた。














いきなり設定多くなって読みにくいと思いますがクライマックスなので頑張って読んでください(ㆆᴗㆆ)♡

置いてけぼりになっている主人公、32話で出てきます。


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