18話 巨大な肉
「すごい...お祭りだ...」
大きい噴水のある広場は子供からお年寄りまでたくさんの人で賑わっていた。
建物の窓と窓から幾つもの国旗が連なったロープがたくさん張られ、見渡すかぎり美味しそうな食べ物の売店で埋め尽くされている。
「いい?フィオネ、20時までには帰ること。あと知らない人に着いて行ったら絶対駄目よ。分かった?」
「え、ヘリンはその後どうするの?」
「ふっ。大人はね、門限はないのよ。じゃあねフィオネ、また明日」
ヘリンは得意げに大人の特権を主張し、さっさとどっかに行ってしまった。
いいなあ、大人は。まあそれはともかく、さっそくお祭りに来たんだからまずは...
私は周囲にある売店を見渡した。
すると目に入ったのは...巨大な肉。
どうやらこの肉を客の目の前で切り落として売っているようだ。
肉の前には数人の子供達が物珍しそうに目を輝かせて見ている。
すると子供の1人が店の男に話しかけた。
「すっげーなにこれ!おじさん、1つくれよ!」
「おう、ソースはどうする?ガーリックソースにチリソース、マスタードもあるぞ」
「えーと、じゃあガーリックソースで!」
子供は代金を支払い、木の皿に乗った分厚いステーキを店の男から受け取った。
「うわあ!すげえ。美味そう!」
「美味そう〜!おい、早く食ってみろよ!」
「じゅる...いただきます」
他の2人から見守られながらも子供はステーキを1口、口に放り込む。
もぐもぐ...
「...どうだ?」
「...美味しくないのか?」
1口食べてからの長い沈黙。不安そうに2人が顔を覗き込む。周りの大人達も少し緊張した面持ちで子供を見ている。
「う...う...」
「「う...?」」
「うめええええええ!!!」
子供はそう言い放った後、ステーキをものすごい勢いで食べ始めた。
「お、おじさん!俺にもステーキ1つ!チリソースで!」
「あいよ」
「お、お、俺にも1つくだせえ!マスタードで!」
「私にも2つちょうだい!」
「こっちにもステーキくれ!」
様子を見ていた周囲の人も子供がステーキを美味しそうに食べてるのを見て食欲が湧いたのかいつの間にかステーキの売店にはすぐに行列が出来ていた。
私も...食べたい!
私は急いで列に並ぶことにした。
わくわくしながら並ぶとあっという間に自分が注文する時が来た。
「お嬢ちゃん1人かい?1つでいいかな?」
「あっえっと1つ...あっやっぱ2つで!」
「あいよ!」
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20時の鐘が鳴る。その音で子供たちはゆっくりと広場から帰っていく。
「おっ!フィオネ帰るのか?ってすごい荷物だな。大丈夫か?」
「ライアンも来てたんだ。うん、平気。今から帰るから大丈夫だよ」
「帰り道は分かるよな?ここから広場を出て真っ直ぐだぞ?気をつけて帰れよ、おやすみ」
「うん、おやすみ」
私はライアンに手を振って広場を後にした。




