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ブービートラップハミング

作者: さくら

会社帰りに、明らかに、真面目な人種とは異なる者達に囲まれた。


いきなりだ。私何かしましたか?


暗く、繁華街から道一本隔てた町の中。


向こうは明るいネオンが光ってるのに。

なんでやねん。

会社からの帰り道、疲れきって、とぼとぼ歩いていたら、いきなりや。

不幸だ。

ところで君たちの服って、直ぐに、暴力的な人だと分かるよね。

何処に売ってるの?


疲れ過ぎて、とりとめのない事柄が頭に浮かぶ。

私疲れたよ。仕事に疲れた、人生に疲れた。

自宅に帰っても皆寝てるよ。


明日も仕事だよ。どうなってるの世の中おかしいよ。

政治が悪いのか、私が悪いのか、それともウズベキスタンが悪いのか?

身体が重いんだ。


パトラッシュ、僕もう疲れちまったよ。


「おい、財布渡しな。」

リーゼントの頭悪そーな若い男が、ドスを効かせたよーな声で、声を出す。

ヘラヘラと、笑顔の男達


来たー、恐喝だよ、少年時代ぶりだよ、今どきまだあるんだな。

それにつけても、何故私?


こんなに働いてるのに、この仕打ちですか?神様。

そりゃ無いだろ、私よりお金持ち沢山いるよ、悪いことして因果応報待ちしてる人も沢山いるよ。

この人達も、私より良い服着てるよセンス悪いけど。


神は○んだ。


「おら、だせよ。」私の胸ぐらを掴むリーゼント。


ぼ、ぼ、暴力反対だす。膝が笑いだす。怖い、勝ち目ないだすよ。

ひー

怖い、眠い、疲れた。怖い、眠い、疲れた。


腰がくだけ、立ってられず、下げた頭がリーゼントの鼻に当たる。

「ぎゃう、」悲鳴を上げ、鼻血を出して、後ろにたたらを踏みリーゼント。

痛い、眠い、疲れた。眠い、疲れた、頭痛ひ。


騒然となる周りの男達。

「やるのか!」「このヤロっ!」


そう言えば、今日忙しくて、昼飯食べてない。

自販機で、バナナジュース一本を急いで飲んだだけだ。

こんなに、毎日働いて、働いて、働いて、

賃貸、税金、保険、抜いたら雀の涙よ


それなのに、その雀の涙さへ、搾取すると言うのか?


逃げようにも、疲労し過ぎて、足が動かない。


殴りかかって来る来る男達。


ハラヘリヘリハラ、フラフラ


空を切る、男達の拳。


フラフラフラフラフラダンス。


腹減り過ぎて、まるで力が出ない。


「おうりゃ。」「舐めてんのかぁ。」「囲め!袋叩きだ」


私は明日も仕事だ。

なんでだよ、こんな葛どもが自由に生きてるに、何故私だけが。


疲労とやるせなさが身体を廻る。廻る。

熱きものがヒート!飲みたいぜビール!


身体が軽い。食べてないからね。


繁華街の方から、焼肉の匂いが流れてくる。


この匂いはステーキだ。

私の給料では、そうそう食べれない。

何故だ!チクショーめ。


何故こんなに働いてるのに、私食べれないのに食べてる人いるか?キットワルイコトシテルニキマッテルヨ。


私は、こんな処で阿呆に囲まれているのに。

どう考えてもおかしーだろーが!


そないなことを考えてたら、リーゼント達に囲まれ殴り掛かってきた。


殴り掛かってくる奴らのアホヅラがやけにクリアに見えるな。


動きがゆっくり見える。


ヒロウフラフラ避けまくる。


カラダクルクル、あ、裏拳がアタッチメント


「ひぶー。」吹っ飛ぶリーゼント。


「ぶふー、捕まえてたぞ。」直後、ゴリラに後ろから抱きつかれる。

ゴリラよ、それはセクハラだ。


身体中の力を抜く過程で、手指に全力を込めて、ゴリラの手を優しく握る。全力で。


ボキボキ 


「ぎゃー!」握手に嬉し涙を流し悲鳴を上げ、離れるゴリラマン。


いざというときの為に鍛えた握力120は伊達ではない。

セクハラは許さん。

ハラハラも許さん。


呼吸を整え、少し落ち着く。


しかしながらだ。

しかしながら、考えてみれば、働けない人もいる中で、働けるだけでありがたいのだよ。


私達が世の中を支えるのだ。


うおー、勤労感謝の舞(前々日から休み無し泊まり付き)ー!


吹っ飛ぶリーゼント達。


ふ、また、つまらぬ物をきってしまった。



おそまつ!



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