第三話「自己紹介①」
「へぇ、あれがリトル家のノアか」
隣にいるたいちゃんが思案顔をしながら呟いた。
「たいちゃん知ってるの?」
「まあ、ゆーてマスコミ情報だけど、歴代最強の能力者で現在のATLAS部隊内の序列1位のスペリカンをも越える逸材とメディアでは言われている」
「そんな凄い人が僕らの世代にいるなんて恐縮だねぇ」
本当に恐ろしいと思った。
重力操作に精神遊泳…この訓練所にいる人たちだけでひとつの軍隊を潰せるのではなかろうか。
「はい、次〜」
二ノ宮教官が催促すると例の金髪美少女が立ち上がった。
「こんにちは、一ノ瀬・リーリエ・G・ユートピアです。序列2位で固有能力は精神遊泳で、一般能力は光、闇の特殊属性以外の全属性使えます」
うわ、全属性ってハイスペックすぎない!?
「精神遊泳ということで危険視する方も多いでしょうが仲良くして下さると嬉しいです!これからよろしくお願いします」
パチパチパチ
ノアくんのときにはなかった拍手がなっている。さすが、皇女というだけあって人気が高いのかな?
リーリエさんが座ったと同時に先程気絶させられた入間川くんが立ち上がった。
「序列3位の入間川一人と申します。固有能力は完全なる壁と書いて完壁です。一般能力は土と風を少々扱えます。先程はお見苦しいところをお見せして大変失礼致しました。以上です」
入間川くんはひとこと謝罪をして座ろうとしたのだが、それを待たずしてアレンが立ち上がった。
「アレン・サイトルクスだ。序列は4!固有能力は穿つ槍、どこぞの完全な壁なんて屁でもねぇ、どんなものでも穿つ能力だからな!一般能力は火と雷だ」
そう言って、ドカン!っと勢いよく椅子に腰を下ろした。
相変わらず入間川くんを挑発している。
親でも殺されたのだろうか?
あ、入間川くん睨んでるっ!穏やかじゃないなぁ。
次に茶髪の少年が立ち上がった。
「序列5位、一ノ瀬・ドルトール・アトランテといいます。能力は気絶付与、先程はそこのおふたりを気絶させたことを謝罪致します。ですが、出来れば学校生活を円滑に進めるため先程のような事は控えていただきたい」
あ、この人だったのか。
てっきりリーリエさんの精神遊泳を使ったのかと思ったけど違ったのか。
名前に一ノ瀬がついてるし御家族かな?
弟?兄?まあどっちでもいいか。
「一般能力は火のみです。この度は生徒及びリーリエ様の護衛として在席します。どうぞよろしく」
ひえぇ…護衛かぁ…さすが金持ち。
「っち」
ん?今舌打ち聞こえたぞ?
あ、アレンくんだ。そうだよね気絶させられたからムカついてるのかな?
うわぁ貧乏ゆすりまでしてる。この人には関わらんとこ、殺される。
次に白髪ロングで化粧が地味に濃い人が立ち上がった。私服なのかドレスを着ている。
ピアスもおっきいなぁ…
「わたくしマリエット・スペリカンと申します。序列は6位でして固有能力は状態回復、一般能力は水と風ですわ。これでも世界三大回復能力者という肩書きを貰っておりますの、怪我や病気に困ったら気軽に声をおかけなさいな」
へぇ、三大回復能力者なんてあるんだ。
やっぱり特別生となると有名人が多いなぁ。
すげぇや。
次に少し不思議な少年が立った。
全身真っ白の服を着て手袋をして更に日傘をさしている少年────ここは室内だぞ。
「え、えっと、山田・ルクス・ウォルニアナっていいます……あっ、序列は7位で固有能力は未来予知。一般能力は特殊属性の闇しか使えません。訳あって日が当たると燃え死ぬのでおかしい格好ですがご容赦ください……」
日が当たると死ぬってどんな訳だよ……
まあかなり気弱な少年みたいだし冗談ではないのだろう。僕と性格近いし仲良くなれそう!
そして次は、
「ワイ、雪だるまっていいます。人外やけどよろしくな!」
「「「「「えっ?」」」」」
バッ!っと後ろを向くとそこには……
とっても立派な雪だるまが立っていた。