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第二話「序列1位」

校舎に入ると大きなロビーが広がっていた。

奥の真ん中には大きな両開きの扉があり、その扉の左右に階段があった。


2つの階段は同じ場所に行き着くようになっていて階段を登った先には大きな廊下が左右に伸びていた。


前には廊下も扉もなく壁に案内板があった。


「右は職員エリアで左が訓練エリア、1年の訓練所は左の廊下の突き当たりか…」


そう言ってたいちゃんはスタスタと左に進んで行った。僕も後を追う。


「2、3年の訓練所はどこなの?」


「俺たちの訓練所の隣だ、突き当たりから右に廊下が伸びてて学年順に訓練所が並んでる。」


「へぇ…」


後で聞いた話だがどうやらこの校舎は四角形に廊下が繋がっているらしい。


下が食堂エリア、左が訓練エリア、右が職員エリア、上が寮エリアという構図で案内板に書いてあったらしい。


校舎の中に寮があるのはだいぶ驚いた。

普通は外に別の建造物を建てたりするものではなかろうか…


「着いたぞ」


たいちゃんが歩みを止めてそう言った。


前にはスライド式の扉があり、扉の上には"特別1年生屋内訓練所"という名札があり、中から音は聞こえなかった。


「声がしないけど僕たちが一番乗りかな?」


僕が疑問をつぶやくとたいちゃんは扉の凹みに手を入れた。


「ばーか、防音室なんだよ、ほら」


たいちゃんはそう言って扉を開けた。


「てめぇふざけんじゃねぇぞ!」

「落ち着いてください2人とも!」


扉の先には修羅場が広がっていた。

訓練所には僕らを含めて12人いて、その中心で3人がなにやらもめていた。


どうやらガタイのいい赤髪の青年とメガネをかけていかにも優等生ぽい黒髪の青年が言い争っているらしい。


そしてその2人を鎮めようとしている仲介人、金髪美少女がそこにいた。


「リーリエ殿、失礼ながら私は極めて冷静です。最初に突っかかってきたのは彼です。ですから私のことはいいですので目の前のヤリチン一族の頭を冷やしてあげてください。」


「てめぇっっ!」


どうやら金髪美少女はリーリエという名前らしい。


「や、やり…とりあえず入間川くんもそんな挑発的な発言はやめてください!アレンくんも手を出すのはやめてください。」


あ、顔赤くなった。

照れてるのかな?可愛い。

どうやら黒髪優等生(仮)は入間川といい、赤髪マッチョはアレンというらしい。


「もう我慢の限界だ、そもそも入間川一族とはウマが合わねぇんだよ、俺の能力でぶっ潰す!」


「相変わらずアレン一族は野蛮ですね。ウマが合わないのは同意ですが、手荒な真似はよしましょう、周りに迷惑です」


「おいおい、ビビってんの?"鉄壁童貞"くん?」


ガタッーーー

入間川が無言で立ち上がった。


「ーーーーー殺す」


途端に訓練所内の空気が変わった。

仲介人のリーリエはおろおろしていた。


「てめぇの一族の完壁(かんへき)と俺の穿つ槍…まさに盾と矛の決着つけようかっ!!」


アレンが仕掛けた!


ーーーはずだったが、入間川とアレンの2人揃って地面にドサッと倒れた。

何が起きたのか分からなくて気づいたら僕は目をまん丸にしていた。


「お騒がせ致しました。最初からこうしていれば良かったですね」


僕が驚いていると仲介人…リーリエが口を開いた。


え?この金髪美少女が?男ふたりを!?

どうやってだろうか、やはり固有能力……


でも男ふたりも固有能力者だ、その2人同時に無力化するのってATLAS並の……


「噂は本当だったみたいだな」


隣で一部始終を一緒に見ていたたいちゃんが唐突に言い出した。


「噂って?」


「入間川って野郎が彼女のことをリーリエって言ってたろ?」


「…ああ」


それは俺も聞いていた。だけどそれがどうしたというのだろう?


「はぁ、クロはテレビとかあまり見ないもんな。俺は顔見た瞬間に誰か分かったけど、彼女、一ノ瀬・リーリエ・G・ユートピアは有名人だよ」


ユートピア?ユートピアってあのユートピア?大陸のユートピア?ってことは…


「もしかして:皇女?」


「ピンポーン♪」


まじか…

ん?ちょっと待てよ?


「それで結局あの男ふたりは誰に気絶させられてるの?」


「だから皇女だよ、まあ分からないよな。彼女の固有能力は精神遊泳らしい。俺も初めて見たけど、相手の精神を自由自在に操れるって噂だ」


「ひえぇこわぁ」


「今の見てたら事実ぽいな。ま、彼女自身性格いいだろうから悪用しないだろうけど、まぁ…怖いわな」


「身体を操れるってもう最強じゃん、誰も勝てないじゃん!」


「だな。序列1位は彼女で間違いないだろう」


「ふーん…」


チラッと彼女の方をみた。

どうやら倒れた2人を操って壁際に座らせていた。


「あっ…」


目があった。つい目を逸らしてしまった。

恥ずかしい、恥ずかしい。


金髪美少女の目はエメラルドグリーンの海色だった。綺麗だった。さすが皇女、さす皇。


「あの〜」


ーーーえっ?

気づいたら近くに彼女がいた。

透き通るような赤い唇、すらっと整った鼻、長く美しい曲線のまつげ、男なら誰でも好きになってしまう美少女だった。


「あの〜」


「あっはい!!」


しまった見とれて蒔田ワールドに入っていた。いけないイケナイ。


「あなたって記憶喪失とかしてます?」


「………はい?」


いきなり何言ってんのこの子。

天然ってやつ?それとも現代稀に見る電波少女ってやつ?訳分からん。


「あ、やっぱりなんでもないです!変なこと聞いてすみません!失礼します!」


「え、あ、はい…」


もうちょっと話したかったなぁ……


おいこら太陽くんニヤニヤしてるの見えてるよ、やめてください。


「相変わらずクロってコミュ力弱者だよな」


「仕方ないだろ、僕はたいちゃんとしかまともに話したことないんだから」


「まあ、これから鍛えていけばいいさ」


「だね」


目指せ友達100人!!


まあ特別生3学年全員含めても50人もいないけどね…



☆☆☆



しばらく訓練所で待っているとHRぴったりの時間に扉がガラッと開いた。

カッカッカッとハイヒールの音を鳴らしながら1人の女性が中に入ってきた。


おそらく教師……いや教官だろう。


「全員揃っているようだな。」


周りを見渡し人数を確認した。


「私の名前は二ノ宮アーデ、君たちの担任だ。よろしく。さてとりあえず君たち生徒たちに自己紹介をしてもらおう。そうだな…序列順で名前、序列、固有能力、一般能力を言って貰おう」


そう言って二ノ宮は1人の生徒に目配せするとその生徒が立ち上がった。


「名前はノア、ノア・リトル・ユートピア、序列1位、固有能力は重力操作、一般能力は光、以上」


えっ……


僕は驚いた。たったさっきまで序列1位だと思っていたリーリエよりも上がいた。


彼の名前にもユートピアが入っていた。

彼も皇子なのだろうか……


疑問が増える中、自己紹介が進んでいく。

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