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近隣に住むのであろう、犬を連れた老婆と横切った。そしてこれから勤めに向かうであろう、男女が十字路を渡り、店の開店準備に取り掛かろうとしている、店主の姿が道路を挟んだところから見えた。
少しずつ人の数が多くなり、街が少しずつ街に活気が帯び始めようとしている。
気づけば宿を出たときよりも日は高くなっていて、まぶしい。朝の澄んだ空気はたちどころに消え気温も上昇し始めていた。今日が快晴だということを予感させる。
時間を確認すると駅に向かう時間になりつつあった。
もう少し周辺を調べたかったが、私は踵を返し駅に向かう。
駅に向かって歩いていると、ぞろぞろと県庁の職員の姿が見られるようになってきた。
皆一定の動き、一定のスピードと歩幅で県庁を目指しているようにみえた。
クレージュ駅の出入り口から、紺色の制服を身にまとった男女が無表情で大量に出てくる様は、ある種滑稽すら思えた。何人か制服を着ていない人もいるが、それは稀だった。
逆に駅の構内に入っていく人は出ていく人に比べると少ない。三分の一にほどであろうか。
私は駅の改札を通り、売店で軽い朝食を購入しミッドランドシティ行きの列車に向かった。