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「リイサさん、どうして彼に告白しなかったの」
イブは首を傾げながら尋ねる。
「私じゃなくて、友人だからね。彼女は――普通と違ったの……。だから……って言ってたわ」
「普通じゃないって?」
「それは……彼女はエルフと魔族のハーフだったの。それでたくさん嫌な目にもあってきた」
「私だったら、告白しちゃうかも」
「どうして」
「私、身体弱いからいつどうなるか分からないの。だから動けなくなったとき後悔しないようにって」
イブは何かを悟っているかのようなさびしい笑顔を私に向けてくる。
「……そっか。イブは強いね」
イブを抱き寄せる。ふわっと茶色のロングヘアーから甘い匂いがしてくる。
身体が弱い。
そんな風には思えなかった。顔色は良いし。どこが悪いのだろう。
「ねぇ……リイサさん」
「なに」
「リイサさんの友達に伝えておいて欲しいな。『頑張ってって』
「うん……。伝えておくね……」