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食堂と少し離れた所にイブと両親が住んでいる家がある。私はイブの母親に案内されて家の中に入った。
整理整頓がされている綺麗な家だった。かすかだがイブの声であろう鳴き声が階下にいる私たちの元まで聞超えてきていた。
イブの母親は申し訳なさそうに私に軽く頭を下げた。私は応えるように横に顔を左右させる。
二階に上がると、鳴き声はさらに大きく聞こえるようになった。イブの部屋の前でイブの母親はドアを二階ノックした。
「イブ。リイサさんが来たわよ」
するとイブの鳴き声が止んだ。
「ごめんねイブ。突然言ったりして驚いたよね。それで、もし明日あなたの体調が良かったら、一緒に街に行かない? 明日の十時にまたお店に来るから」
部屋の奥からパタパタという足音が聞こえると、度ドアが開いた。
「大丈夫。大丈夫だから! 明日行けます!」
私はイブのあまりに必死過ぎる表情とセリフに思わず抱きしめたくなった。
「でもお仕事大丈夫なの?」
イブは私を心配そうに見る。
「うん、まあ……それは、ね……。でも、今はイブと一緒にいられる時間を大事する方が大事だよね」
「ありがとうリイサさん!」
イブは私にギュッと抱きついてきてくれた。