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「それは……記憶の書き換えとそれに消去ということでしょうか」
私は首を横に振った。
「分かりませんとしか答えることができないんです……」
私は目を伏せまっすぐに見つめてくる、アンドアーノから目をそらした。
「……。では二つ目の質問、あなたは今どのようなことをしているのですか」
「私は今、物語を作る仕事を請け負っています。依頼人の名前は伏せますが、かなり高額なお金です」
「物語を書く仕事、小説を書くということでしょうか」
「そうですね。ですが小説といっても事実を基にした時代背景でフィクションの物語を作るというものです。仕事の依頼者は私にこの国に現存している遺跡や史跡などを調べ見て回るようにとの指示です」
「なるほど。それで古い時代の名前で私に聞いてきたのですね」
「はい。ミッドランドシティの他にもあと二つほど滞在する予定となっています」
「なんともミステリアスな仕事ですね。でも楽しそうだ」
「トラブルばかりですけどね」
「アドリアーノお願いがあるんですけど。明日から数日間だけでいいんで、カルツォン城跡。ラウラ旧市庁舎前、エッセル教会について覚えていることをお教えくださいませんか」」
「ええ。大丈夫ですよ。お待ちしております」
「ありがとうございます」
私は軽く頭を下げた。