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私がリイサ・アーツハルドさんにお聞きしたいことは二点です。一つ目どうしてあなたは名前を変えたのか。二つ目は今どのようなことをしているのか」
「分かりました。まず一つ目の質問からお答えします。私は魔族の国であるリードルフ皇国
が陥落した後、人間たちに捕縛されました。そして――」
「ちょっと待ってください」
アドリアーノはナイフとフォークを置き私に尋ねてきた。「あなたは捕縛などされていないはずです」
「……それは後でお話します。私は捕縛された後とある町の牢獄に囚人として収容されました。……様々な虐待や拷問を何年にも渡って受け続けました。そんなある時、二人の青年と一人の少年がそんな私を助け出してくれたのです。少年のほうとはあまり話す機会はありまえんでした。
ですが、青年の方と一緒に暮らすようになり、私は一方的に彼を好きになってしまいました。そんなとき青年は私に名前を変えるように勧められました。そこで私は彼に名前を付けて欲しいと頼みました。その名前がエミリア・シュレッターという名前です。以上私が名前を変えた理由です」
私は口の中を水で潤した。
「後先ほどの質問にお答えしますと、あなたはリードルフ皇国陥落後、私は捕縛されていないとのことですが、私にはそのような記憶がないのです。それに私には反乱軍の首魁となって戦った記憶というものがすっぽりと抜け落ちているのです」