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どういう意味か分からなかったが、メモ帳を開いた後、全て理解できた。メモ帳は全て私では読むことのできない言語だったからだ
少なくとも魔族ではないこと。そしてエルフの言葉でもないことは分かった。そうなると、竜人の言葉か――。もしくは人間の言葉の可能性だけど……かなり低いよね。
「これは……どこの民族の言語なんですか?」
「おそらく竜人の言葉でしょう。それもかなり古いものだと思われます。最後の部分を翻訳してみましょう」
私は初老の男性にメモ帳を返却すると、後半の部分をめくり読み上げた。
『レイモンドは私たち、民族を根絶やしにするつもりだ。いや。私たち竜人だけではない、魔族もだ。エルフは何とか守られてはいるだろうが、必ず浄化されることだろう。そしてレイモンドが我々人間以外の民族に対してどのようなことをしたのを残さないといけない。おそらく私も処刑されるだろう……。私が戦争犯罪人として罰せられるのは致し方ない。だが、私の家族や友人、私に周りの人まで処刑とはどういうことだ。すまないビアンカ。君を守り切れなくて……。ああ……すぐそこまで警官隊がやってきているようだ……。
最後にこのメモ帳が後世まで残されること。そして正しい歴史が世の中に広まることを望む。アドリアーノ = バルディーニ』