26
側に置いてあるソファーに腰を下ろした。職員の方が一度調べてくれたが念のため、もう一度、目次を開き調べてみることにした。
やっぱりないか……。
目次だけをみても、昨日ガイドブックで調べていないものも多い。
「一軒一軒見ていくしかないか……」
私はバックからメモ帳を取り出し、ページをめくった。
ちょこちょこ休憩を取りながら、全てページに目を通し終わった頃には、庁舎内がざわついていた。
なんだろうと思い周囲を見渡すと、どうやらお昼の時間のようだった。チャイムが鳴り一斉に多くの職員が一定方向に向かっていく。
「お昼か。どうしようかな。もう少ししたらどこかで食べればいいか」
私はニ十件ほど記載したメモ帳を眺めた。
あの職員の人は古いっていっていたけど、特別古い歴史って多くなかったような気がするんだよなあ……。
そういえば一番古いところってどこなんだろう。私はもう一度ファイルを開き、探してみることにした。
ミッドランドシティと県が管轄している、市内八十五件ある公共物の中で最も古い建物は、三百年ほど前のコンペルスタ寺院った。次が二百五十年前のインベスタ聖跡。そして二百三十年前のコペル洞穴。
以外にも建立されて三百年が一軒と二百年台前後が二件しかない。
これはどういうことだろう?
私と話した女性は机の上でお弁当を食べていた。少しためらったが女性の私への対応は非常に丁寧だった。
「三百年前ほど前、大規模な天災があったと聞いています。それで多くの古い歴史的建造物
や歴史的に価値があるとされるものが無くなってしまったようです」
「そうですか……」
カルツォン城跡。ラウラ旧市庁舎前、エッセル教会この三か所の遺跡はみつかるのであろうか。私は急に不安にかられてしまった。
「あと、数十年前にミッドランドシティが合併して消えてしまった地名と新しくできた地名などを教えてくれませんか」
分かりました。少々お待ちください。そう言い残し、女性は再び奥の部屋へと消えていった。