表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/66

13

「大きい……」

 私は嘆息を混じらせながら呟いた。屋敷内は日の光が当たっていないからか、薄暗い。金持ちにありがちな、甲冑と巨大な絵画が飾られてあった。床には絨毯が敷かれてあって、一歩踏み出すと、飲み込まれてしまいそうな感覚に陥る。


 するとパタパタと一人のメイドがラーラに近づき。耳打ちをした。「ちょっと用ができたわ。ロミルダ。ご主人様の元までお連れして」

「はい……」

 ラーラはメイド長に軽く頭を下げた。

「申し訳ありませんが私は失礼させて頂きます。案内はロミルダに任せますので、これで失礼致します」

 ラーラ―は深くお辞儀して素早く去って行った。

「……あの……、覚えておられませんか?」

「え?」

「いえ……。なんでも、ありません。ご主人様の元までお連れ致します」

 ロミルダは一瞬目を伏せ、踵を返した。

「う、うん……」

 私は首を傾げた。

 

 もしかしてロミルダは私のことを知っているの?

 人違いだろうか。だが、私が聞き返したとき一瞬ラーラの表情は暗い表情に変わった。

 メイド服に袖を通した魔族の背中はどこか寂しそうに思えてならなかった。

「ロミルダ、さん。この屋敷はいくつくらいあるの」

「ロミルダで大丈夫です。調理室や寝室等を含めますと五十ほどかと」

「ここの屋敷内には魔族と妖精族、合計百二十人が済んでいるって聞いたけど、みんなどこに住んでいるの?」

「皆さん、屋敷内に住んでいる方もいらっしゃいますし。外で自分の家を建てて住んでいる方もいらっしゃいます」


 ――とロミルダは一つの部屋の前で歩みを止めた。

 ロミルダはノックを数回してから、お客を連れてきたことを告げる。

「こちらにご主人様はいらっしゃいます」

「分かった」

 私がドアを開けようとしたとき、「エミリア様」ロミルダはどこか意を決したかのように私に声をかけてきた。


「エミリアはもう昔の名前なの。その名前で呼ばないで」そう言おうとしたとき「あの……私は……どんなことがあってもあなたについてきます」

 と深々と頭を下げ走り去ってしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ