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いつも通りの日常

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「おはよう母さん」


「おはよう渚、やっぱり昨日から変よ、エッチなお店でも行ったの?それなら正直に白状すれば、許してやらなくもないわよ?」


 何でだよ、俺はそんな生気がないように見えるか?


「大丈夫、行ってないから。母さんこそホスト通いやめた方がいいよ」


「私も行ってないわよー。具合悪いなら言いなさいよ?休ませはしないけど」


 言っても意味ないじゃないかそれ。


 別にいつも通りの朝だ。周りは朝からランニングしている人はいるし、落ち葉拾ってる年寄りもいるし、走って学校に行く小学生もいる。


 今日は恵ちゃん来ていないんだな、昨日のことで忙しいのかもしれない。


 昨日はひどい目にあった。でも、刺激的でいつもの日常が覆った。


 時計の針は八時を回る前、意外と早く学校に着きそうだ。


 学校に近づくにつれ、俺と同じ制服の人がちらほら見え始める。


 玄関を通る入口もいつも通り、席に着くまでもいつも通り独りだった。


 こんなにいつもを感じたことはない。ただの日常、それに価値を見出しているのが、俺の周りの彼らである。


 いつもは暇で、飽きている。昨日は楽しかったんだ。俺はあの人が殺されていた空間を楽しんでいた。


 なんだよ、俺はあんなに止めておいて、実は大して食べられていた人を悲しんだりはしていない。


 そんなものなのだ、俺はその程度にしか感じられない。


 でも大丈夫、俺にはスキルがある。スキルを成長させて、強くなろう。


 説明書さん、次のスキル取得に必要な条件は何?


『説明書さんというのをやめてください。シスとお呼びを』


 はーい。それで条件は?


『次は、女子が履いているパンティーを10分以内に三種類。ただし、全て違う女子でなければなりません』


 おぉい!ハードルが高すぎる!条件設定しなおせ!


『無理です、では頑張ってください』


 シスさん厳しい。


 こんな風に日常を感じていると、もう朝のホームルームになってしまった。


 教室には皆に人気の若い女教師、みぞれ先生が入ってきた。


「出席確認取るよー。今日の休みは、杉下さんと本堂くん?杉下さんは少し体が弱いし、本堂君また風邪ぶり返したのかな?」


 心配する素振りを見せるみぞれ先生。生徒思いなんだな。


 周りからは、あの二人なんかやってるんじゃないか?とか、あそこの二人カップルなのかもな?とかも聞こえた。


「じゃあ連絡するわよー」


 ✕✕✕


 昼ご飯はまたしても一人だ。


 もう一人が慣れてきた気がする。


「隣いい?」


「あ、はい。どうぞ」


 俺の隣の席に座ってきたのは、みぞれ先生だった。


「君、本堂君と仲良いよね?私新任だから、まだ皆のこと知らなくて。本堂君も結構体弱いのかな?」


 あいつのためにも、ここは話を合わせておくべきか?それとも俺はわからないと適当に流すか。


「そうですね、俺はあいつと長いですけど、ここまで風邪を引いたのは初めてかもしれません」


 あいつは一年の頃、ここまで休みを連続したりはしなかった。


「そうなのー?じゃあ渚君。君のこと教えて?君の趣味は何かな?」


 なんか距離が微妙に近い気がする。カレーついたら服汚れますよ?


 相手が先生だし、ここは無難に答えておくか。


「俺の趣味ですか?んー、読書とかですかねー」


「どんな本読むの?」


 そ、そこまで聞いてくる!?俺読むのなんてライトノベルぐらいしか読まないぞ!?


「えーと、さ、坂口安吾とかの小説をしばしば」


 とりあえず文豪の中でも少し外したところを言った!彼の作品何も読んだことないけど!


「嘘」


「え?」


「君嘘つきだね?そんなんじゃ社会に出て通用しないわよ?」


「あ、はい」


 うん、バレてた。もう正論すぎてぐうの音も出ない。


「あの、質問していいですか?」


「別にいいわよ」


「なんで俺が嘘ついたってわかるんですか?」


 ラーメンをズルズル吸っていた先生の手一瞬が止まった。


 その後綺麗に食べ、俺の方を見て歪んでいる笑顔を作った。


「それは、私が魔法少女だから?」


 っ!この人、俺が魔法少女と戦ったことをわかっているのか!?


 思わず体が硬直してしまった。食べ終わったからバレにくい、いやそう考えるのが間違えだな。


 もしこの人が魔法少女なら、この人の魔法かスキルは嘘がわかるか心を読む。


 ここで自分がいる魔法少女だとばらすメリットはなんだ?俺じゃあ思いつかない。


 でも、先生としてここに来ているんだ、目的は殺戮か?でもそれなら来てすぐでもいい。それに多分この思考すら読まれていると思って行動した方がいい。


 俺の考えが正しければ、ここで一方的に殺し始めるなんてことはしないはず。それなら先生になる必要がないんだ。一般の人も入ろうと思えば入れる。だから、ここで俺が戦闘態勢に入らなくても大丈夫。


 いや待てよ、あの二人がいない時を狙っているとしたら。いや、それでもこんな人がまばらに散っている昼休みにはやらない。授業中が一番やりやすいはずだ。


 最終的な意図はわからないけど、今日はとりあえず挨拶ってことですよね?みぞれ先生?


「・・・・・・そーなんですか!俺は信じますよ、魔法少女。でも先生が魔法少女ってなんかカッコイイですね」


「へぇ、この短時間で読みがいい線いってるわね。ありがと、いいお昼時間を過ごせたわ。また話をしましょう」


 やっぱり、俺の心を読んでいる。


 先生は食べ終わった食器を戻し、俺に手を振って帰っていった。


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