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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ホッチキス

作者: 粂月 壱朔

超短編ですが、地味でリアルな痛い描写が含まれています。

苦手な方はお気を付けください。

「はぁ…」

溜息を吐きながら、僕はまた十数枚ある書類の角にホチキスを留めた。

もうかれこれ2時間以上この作業をやっているが、一向に終わる気配はない。

「今晩は社泊だな」

なんだってこの量の会議資料のホチキス止めをあの時間から、しかも1人でやらされなければならないんだ。

おまけに誰一人手伝おうかという優しい声かけすらなかった。

もういっそこのまま残して帰ってしまおうか、残りの資料を捨ててこれだけだったことにすれば意外といけるのではないか?そんなバカなことをボーッと考えながらまたホチキスを留めようとしたときだった。

(しまったっ!)

気づいたときにはもう遅い、その安っぽいプラスチックの間にあったのはツラツラと文章が書かれた紙切れの束と、僕の指だった。

人間まずいと思ったときはスローモーションになるのは本当らしい。

バイク乗りが事故にあったときは、吹っ飛んでいるときはスローモーションらしいと聞いたことがある。

僕の指が紙切れと一緒にプラスチックに挟まれ、その中のヒヤリとした金属を感じた。

手を放そうと思ったがもう遅い、ゆっくりに感じてはいるが手を放すほどの時間はないのだ。

僕はなすすべもなく、スチールの針の射出を待った。

右手にカコンという針を押し出す感触があったかと思うと、指先の2か所に鋭利な物が押し当てられ、プッという感触と共にスチールの針が突き刺さった。



「っ!…またか」

これが3回目の僕は何事もなかったかのように針を抜き、もう何十冊目かの紙切れの角を握った。

おかげで少しは眠気が覚めた。

そんなもんで眠気が覚めるわけもなく…

この後このサラリーマンがどうしたかはご自由にご想像ください。

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