きらわれもの
我は大魔王だ。
すべての元凶の大魔王。
悪さを生き甲斐とし、卑劣極まりない悪党。
圧倒的な力を誇り、数千万の魔物の頂点に立つ化け物。
人々に畏怖され、疎まれ、嫌われる存在。
そして、最後には勇者に殺される。
そんな存在であり、そういう運命だ。
代々、そういうものなのだ。
我の父親も、祖父も、その以前も、全員嫌われ、そして、全員勇者に殺されてきた。
我々は、ただ、生まれながらにして大いなる力を得ていた。
それだけで、人々に嫌われ、魔物に慕われ、そして、無慈悲に殺されるのだ。
何もかも、意図しない内に回りの状況が確立され、大魔王となる。
そして、当然のように大魔王には、勇者は付き物である。
やつらは、正義という名の麻薬にどっぷり浸かっている殺戮者だ。
そこら中の魔物を殺し回っている。
そして、その殺しは人を助けていると感謝されれば、もう手の付けようが無い。
人を助ける事を正義と真顔で言いふらす連中だ。
我が怖いという理由だけで、全力で殺しに来る人間の手助けをすることが正義だという。
そして、その正義で我の父親も祖父も殺された。
今でも覚えている、父の最後の言葉。
――――「覚悟しておけ。未来は変えられない」
きっと、我も勇者に殺される。
この運命からは逃れられない。
そう伝えたかったのだろう。
しかし、そんなことはもうとっくにわかっていた。
巨大な山を吹き飛ばせる力を自覚したあの日から、我はもう覚悟はできていたのだ。
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月明かりが綺麗に輝く今宵は満月。
我は、城でただ勇者を待つのを飽き、ふと外の森で散歩をすることにした。
草花をに足跡を付け、鈴虫の音色が耳に心地よく響く。
「なんとも、静かな夜ではないか」
そう呟かずにはいられなかった。
我は大きな岩を見つけ、そこに座ることにした。
夜の風を肌で感じながら、我のこころは自然と穏やかになっていった。
自然と一体化するのは、こう言うことだろうか。
こんな良い気分は久しぶりだ。
毎日あの城で孤独にただ我を殺しに来る勇者を待ち続けなければならない日々を一瞬だが忘れられそうだ。
「今がずっと続けばよいのにな」
しかし、穏やかな気持ちを隠しきれないでいると、
突然風の音とは別に草むらの方角から草のぶつかり合う音が聞こえた。
「獣なのか…?」
それとも、もう勇者が現れたのではないのだろうか。
その方角へ慎重に歩を進めるとしよう。
―――「ねえ!何してるの!?」
「う、うおぉ!!!」
突然その草むらの中から一人の少女が姿を表した。
「だ、誰だ貴様は?」
こんなところに人間が易々来るはずがないのだがな。
こいつは、何者だ。
「あー!質問を質問で返しちゃいけないんだよ?ママがね、そう言ってた」
「………」
何だこやつは。
なぜ大魔王の我を見てもこんなに物怖じしていないのだ。
ま、まさか、こやつが勇者ではあるまいな!
「き、貴様、答えろ!何者だ!」
そう言うと、我は素早く立ち上がり、そして、三歩後ろへ下がった。
「もう、しょうがないな!わかったよ。私から質問に答えるね!私は七菜子!5歳何だよ?」
「な、ななこ…?」
「そう!おうちはあっちなの!」
そう言うと、小娘は我が城の北の方角を指さした。
家のありかなんぞ聞いていないが、
だが、たしかあそこならユーラ町という魔物の影響が大きい所だ。
「ユーラ町の出身か。しかし、こんな時間に、ここでなにをしている?」
我がそう質問すると、その小娘はあからさまに不機嫌になり、頬を膨らませた。
「ずるーい!私の質問にも答えてよ!」
「小娘勘違いするな。我はお前とおしゃべりをしているわけではない。これから、お前を殺すか否か、それを確かめているのだ。死にたくなければ、答えろ!!!」
我の叫び声が、静かな森に響き渡った。
常人なら泣いて逃げ回る叫びであったが、なぜかその小娘はじっと下を向き、一歩も動かずにいる。
やはり、物怖じしない。
「私は死なないよ?」
「な、なんだと?」
「だって、おじさん人殺しの目してないもん」
人殺しの目?
「本当に人を殺そうとする目は、そんなんじゃないもん…」
少女の口からは到底聞けるはずもない言葉が発せられていた。
五歳の娘がどのような人生を送れば人殺しの目を判別できると言うのか。
しかし、その判別方法はあまりあてになっていないらしいな。
「人殺しの目をしていないだと?笑わせるな。我は大魔王!すべての悪の根元大魔王だ!小娘が知ったような事を言うな!」
「でも、おじさんの目は寂しそうだけど、ちょっと優しいよ?」
な…
何を言っているのだ、こやつは!?
寂しい?
優しい?
ふざけるなぁ!
「寂しいだけなら、七菜子と一緒だね…」
そう言うと、小娘は悲しみに帯びた顔で左腕をさすり始めた。
…ったく、仕方がない。
「我はここに散歩をしに来たのだ。満月が綺麗だからな。それだけだ」
そう言い残すと、我は城へ帰ることにした。
これ以上もう、付き合っていられん。
そして、再び草花を踏みながら、城を目指した。
ここに来る時と同じ音が耳に入る。
ただ違うのは、その音が二重に聞こえることだ。
「何をしている?」
「私もお城に行きたーい!」
「駄目だ!帰れ!」
「やっぱり、白馬の王子様いるの?」
「は、白馬?」
「ガラスの靴もあるかも知れないね!」
「ガラスの靴?」
こやつは一体何を言っているのだ?
訳がわからない。
ただ分かるのは、この小娘が嬉しそうと言うことだ。
そして、我は人間が嬉しそうな姿は大嫌いだ。
「そんなものはない!我が城には、魔物と人間の屍しかないわ!わっははははは」
「あっ!おじさん笑った!」
「わっははは…、はぁ?」
「七菜子も笑うー!わっはははははははは!わっはは!」
そう言って、小娘は我の真似をしながら、笑っている。
「き、貴様!我の真似をするでない!」
「わっはははは!良いだろう!真似をやめてやる!」
そして、ついには我のしゃべり方まで真似し始めた。
馬鹿馬鹿しい。
「ふん」
我は鼻息を立てると、再び城へ歩みを進めた。
そして、当たり前のように小娘もついて来る。
「なぜくるのだ!帰れ!」
「だ、だって…」
「なんだ!」
「七菜子帰るとこ無いもん」
なんだと。
そんな馬鹿な。
「たった5歳の小娘が帰るところがない訳ないだろうが!貴様の親はどうした!?」
「七菜子を捨てたの」
「捨てただと?」
「あのね…」
そう言って、小娘は左腕の袖をめくる。
「このアザがね、危ないんだって。だから、捨てられたの」
小娘の左腕を見て納得した。
なるほど。
「魔物病か」
「まものびょー?」
「貴様のその腕のアザ、魔物病の症状に良く似ている」
「まものびょーってなあに?」
「死に至る病気だな。とある方法以外では絶対に治しようのない病で、感染率は非常に高く、村一つ崩壊させるほどだ」
「えっ、七菜子死ぬの?」
「そう言うことになるな」
「そうなんだー」
何だその反応は?
「怖くはないのか?」
「怖くないよ」
そんな馬鹿な!
「死が怖くない人間などいるものか!」
「魔ーちゃんも怖いの?」
「ああ、怖いに決まっ……、魔ーちゃん?魔ーちゃんとはなんだ?」
「あだ名だよ!大魔王の魔ーちゃん!」
ふ、ふざけたことを!
「その呼び方はやめろ!」
「えー、魔ーちゃん可愛いのに」
「可愛くなど無い!」
「可愛いよー!魔ーちゃん!」
「く、くっ!もういい!貴様といると疲れるわ!」
「あっ、待って!魔ーちゃん」
「魔ーちゃんではない!」
ったく、ふざけた娘だ。
我はしばらく歩くと城にたどり着いた。
扉を開け、中に入る。
「うわー、ひろーい!豪華だね!」
そして、小娘も勝手に入ってきた。
もう、相手にするのも面倒臭い。
放っておこう。
あの左腕では、どうせ長く生きられまい。
「ねーねー、チッキンどこー?」
「………」
もう、相手にしたくないから無視しておこう。
「ねーねー!どこなのー?」
「……」
「ねーねーねーねーねーねー!!!」
「ああ!うるさい!」
「チッキンどこお?」
「何だチッキンとは!?」
「知らないのー?」
そう言って小娘は得意げな顔をする。
「しょうがない、教えてあげる」
無償に腹が立ってきた。
「チッキンはね、ご飯を作るところなんだよ」
飯を作るところ?
それって…
「キッチンではないのか?」
「そうそう、チッキン!」
「いや、キッチンだ」
「うん、チッキン!」
もういい。
「右手にあるその扉がキッチンの入り口だ。もう好きにしていいから、我の邪魔はもうするな」
「わかった!」
そして、小娘は元気良くキッチンへ向かった。
まったく、とんだ散歩になったものだ。
しばらく、休養が必要のようだ。
そう思った我は自室へ向かった。
部屋に入り、ベッドに身を委ねた。
そして、目を閉じ、疲労もあってすぐに眠りについた。
そして我は夢を見る。
見る夢は大抵一つだけだ。
勇者に殺される夢。
我は目を開けていても、閉じていても、死の恐怖から逃れることができぬ。
夢を見ながらでも分かる。
今の我は間違いなく全身に汗をかきながら、うなされていると。
いつものことだ。
いつものことなのだ。
だが…、しかし、今日は何時もと違う事が一つ起きている。
なぜかは知らない。
だが、手のひらに妙な温もりを感じる。
今まで生きてきて、一度も感じたことの無い、安らぎを与える温かさだった。
小さいが確かな温もりがそこにはあった。
その正体を知るべく、目を開けた。
そして、その正体がすぐにわかった。
「何をしている?」
「あっ、魔ーちゃん起きた!おはよ!」
小娘が、我の手を握っていたのだ。
「あのね、魔ーちゃんが怖がってたから手を握ったの!ママがね、七菜子によくしてくれたんだよ!」
「ああ、そうか。取りあえず放せ」
「だめだよ」
「なんだと?」
小娘の手を握る力が少し増した。
「魔ーちゃんがまだ怖がってるから」
こ、こやつ…。
なぜだ?
なぜ、こやつは…
「なぜ貴様は、我を気づかう!?貴様ら人間は我を殺したくてしかたがないのだろう!?なのに、なぜ貴様は…、なぜ…!」
「だって、魔ーちゃんは良い人だから」
「良い…人…?」
何を言っているんだこいつは。
「だって、七菜子の左腕を見て、七菜子を殺そうとしなかったのは魔ーちゃんだけだもん」
「そ、それは我がそんな病などかかることはないからだ!恐れる理由がないから貴様を殺さないだけだ!」
「だったら、七菜子達、友達になれるね!」
「何でそうなる!?」
「それより、ご飯作ったの!食べて!」
何なんだこいつは!
訳がわからん!
理解不能だ!
「食わん!さっさとこの部屋から出ていけ!」
「た、食べないの?七菜子一生懸命作ったんだよ?」
小娘が、泣きそうな顔で見つめてくる。
「いいから、出ていくのだ!」
「う~、ふん!魔ーちゃんのばーか!」
そう叫び、小娘は部屋から出ていった。
何なのだ!
くそっ!
人間は我を殺したいのではないのか!?
そのせいで、我の父達が殺されたのではないのか!?
訳がわからぬ。
あの小娘訳がわからぬ。
「くそっ…」
我は再び、眠りにつくことにした。
したのだが…
「ちっ」
テーブルまで、足を運んだ。
「何だこの物体は…」
みどりだか、紫だかわからぬ固形物が置かれてあった。
だが、食材は無駄にはできん。
口に放り込み、今度こそベッドで眠りについた。
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
「おっはよー!」
眠りから目覚める声が鳴り響いた。
我は驚き、声のした方へ目をやった。
「あっ!魔ーちゃんおはよー!良い朝だね!」
そして、やはり小娘の仕業だった。
このまま、小娘にこの城に居座られては、安眠も叶わぬということが身に染みてきた。
「何だこんな朝早くから」
「うん、これ!」
そう言って小娘は花で作られた指輪を手渡してきた。
「何だこれは?」
「それはね!」
小娘の顔が笑顔に変わる。
「友達の証なの!」
「友の証?」
「そう!さっき作ったの」
「なぜこれを我に?」
「だって、友達だもん!」
本当に訳のわからぬ小娘だ。
「昨日は我を馬鹿だの言っていたのではないのか?」
「あれはなし!」
「無し?」
「だって、やっぱり魔ーちゃんはいい人だったから!だから、七菜子もう怒ってないよ?」
「はぁ…」
もうさすがに、反論も出ぬわ。
「そんなことより、一緒に朝ごはん作ろ?七菜子ね、いつもママのお手伝いしてたんだよ?」
そう言いながら、我の手を引っ張っている。
「ねーねー!」
「はぁ。もう、面倒な小娘だ」
「行こっ!」
屈託の無い笑顔。
親に捨てられ、もうじき死が訪れているのに、なぜこのような顔ができる。
我は、理解に苦しみながら、そして、この小娘の強さに嫉妬していた。
我にはない、運命を受け入れる強さに。
我は嫉妬していたのだが、しかし、何より、無自覚に惹かれていたのだ。
だからこそ、我はこの小娘を真に拒む事ができずにいるのだろう。
「今日はね、ハンバーグを作りましょ!」
「朝からハンバーグは堪えるな…」
「好き嫌い言っちゃいけません!」
「はぁ、ったく…」
我は手に持つ、指輪に目をやった。
「友か…」
まさか、生まれてきてから誰かにこの城で友と呼ばれる日が来るとは思ってもみなかった。
「そう!七菜子達は友達なの!」
「ふ、自惚れるなよ」
「え…?」
「ハンバーグもまともに作れんようなやつを友にする気はない」
「う~、絶対美味しいの作るもん!」
「口ではなんとも言える」
「絶対だもん!」
「ふっ」
そして、我も無意識に笑い声をあげた。
相手を蔑むための笑みではなく、心からの笑顔。
「そしたらね…」
小娘に目をやった。
「一緒に食べよっ!」
良い笑顔だ。
「ああ、そうだな」
「うん!」
そして、我と小娘…否、七菜子は共に過ごした。
七菜子は寂しさを、我は運命を受け入れぬ弱さを、互いに埋め合っていきながら、日々を送った。
時には、喧嘩もし合ったが、しかし、なりより笑顔の絶えぬ楽しい毎日だった。
楽しいという言葉を使うことは一生無いだろうとは思っていたが、どうやら、間違っていたらしい。
七菜子の屈託の無い笑顔が、我のこころの穴を埋めていく。
しかし、始まりがあれば、当然終わりも存在する。
そして、楽しい時間ほどあっという間に過ぎるという言葉の意味を初めて知ることになった。
事態は一瞬にして起こった。
ある日、七菜子と森を散歩していたら突然、七菜子が倒れた。
我はすぐに七菜子を抱き抱え、自室へ走りベッドで寝かせた。
「ついに来たか…」
忘れていたわけではない。
しかし、やはり、この時のことは考えたくはなかった。
「七菜子もう死んじゃうの?」
目を覚ました七菜子が最初に言った一言だ。
「そうだろうな……」
「そうなんだ…」
そして、再び目を閉じた。
「怖くはないのか?」
「前は怖くなかったよ…」
力の無い声が、微かに耳に入る。
「前は?」
「うん。だって、今は魔ーちゃんがいてすごく楽しいもん…。死にたくないよ…」
「七菜子…」
そうか…
やはり、
我のせいか…
大魔王である我は七菜子の持つ強さ までを、奪ってしまったようだ…。
「すまない…」
「何で謝るの?」
「だ、だって…、我は…」
涙が次から次へと流れ落ちる。
結局我は、大魔王。
唯一の友さえも苦しめてしまう。
大魔王なのだ…。
――――「七菜子は嬉しいよ?」
う、嬉しいだと?
そんな馬鹿な…
「七菜子ね、今すごく幸せなの。魔ーちゃんと毎日ご飯作って、遊んで、ケンカして…」
こんな状況でさえ、七菜子は屈託の無い笑顔を見せている。
「そ…れで、仲なお…りする…の……」
そして、笑顔のままゆっくりと力を無くしていき、最後には吐息しか聞き取れなかった。
「七菜子ー!!!」
我はすぐに七菜子の左手を握った。
そして、徐々に温かさが冷めていくのを感じた。
あの手の温もりが消えていく。
我の恐怖を打ち消してくれる温もりが。
「さすがに、もう良いだろう…」
我はそっとそう呟いた。
そう、さすがにもう良いのだ。
もう、充分七菜子から勇気を与えてもらった。
愛情を与えてもらったのだ。
――――だから、もう、我に迷いはない。
「七菜子、初めて会ったあの夜に我が言ったことを覚えているか?」
満月が、輝くあの夜に。
七菜子と初めて会ったあの夜。
我はこう言ったのだ。
「魔物病は、とある方法以外では治しようのない病」
その方法とは、我の死だ。
我の全生命力を捧げさえすれば、魔物病の菌を抹殺できる。
この世で最も大きな力をもって生まれた大魔王の我でなければ治せない病なのだ。
本当はもっと早くに治してやりたかったのだが、我はどうしても、死ぬのが怖かった。
友の苦しむ姿を目の前にして、我はどうしても、死と立ち向かう強さがなかった。
「しかし、今なら立ち向かえれる。七菜子から与えられたこの強さを持つして、立ち向かえないものなど、この世にはもう存在しないのだ!」
我は七菜子の左手を握り、己の全生命力を注いでいく。
『覚悟しておけ。未来は変えられない』
ふと父の最後の言葉を思い出した。
これが走馬灯というものか。
しかし、父は間違っていたらしい。
全ての人に嫌われながら、勇者に殺される。
その未来は変えられない。
我も本気でそう信じていた。
しかし、違っていたようだ。
確かに我はまだ、未だ全ての人から恐れられ、嫌われている。
しかし…
我は花の指輪に目をやった。
一人だけ違ったみたいだ。
そして、我は殺されるのではない。
友を救うのだ。
「怖いか?
大丈夫だ。
―――――我が七菜子の手を握っておいてやる」
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数ヶ月後のとある満月の夜。
大魔王の城の前でその綺麗な満月の光にあてられて、2つの影ができていた。