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いつもの朝です

蜜柑姉さんに電話したあと、明日は月曜日かぁ。また授業かと憂鬱になりながら、淳にぃのこともあったと思い出し、余計憂鬱になりながらベッドにダイブして寝た。



今日のことに色々不安であまり眠れずに時間が来たから起きてリビングに行かずに洗面所に行き、顔を洗って拭いていたタオルから離して鏡を見ると寝癖がヒドイ淳にぃがあくびしながら立っていた。相変わらずスゴイ寝癖である。

いつもは黒に青が少し入ってる藍色の黒多めの髪をワックスか何かでカッコよくハネさしたりしているのだが、今は爆発状態である。だが、さすが本人曰く、攻略対象者になるほどのイケメンであるからしその状態でもイケメンである。



「おはよう、淳にぃ」

「んー・・・はよう」



なんともやる気がない淳にぃである。こっちが昨日色々言われて少し不安であまり眠れなかったのにどうやらそれの元凶はぐっすり眠れたらしい。

私は少し・・・だいぶ腹が立ったので淳にぃの足を踏んづけて洗面所から出た。後ろで淳にぃの痛そうな声が聞こえたが私は朝ごはんのいい匂いに誘われて聴覚よりも嗅覚を優先した。



リビングのドアを開けるとお父さんが新聞を広げながらイスに座って机の上に朝ごはんができるのを待っていた。お母さんは朝からご機嫌なことで鼻歌交じりで作っている。



「お父さん、こんなところで新聞読まないでって言ってるでしょ」

「ああ、すまんな」



お父さんはそう言うとおとなしく新聞をたたんでソファへと放り投げた。我が父ながらめんどくさがりである。それにお母さんが「あらあら、だめよ~」と優しく言いながら荒々しくお父さんのパンをのせた皿を置いた。毎朝こんな感じだから慣れた。

私がお父さんの斜め前のイスに座ると同時にまたリビングのドアが開き、その人は私の隣へと座る。全ての朝ごはんが机の上に置かれたあと、お母さんが私の向かいに座る。



それでは手を合わせて


「「「「いただきます」」」」



我が家の朝ごはんはお母さんの気まぐれでパンの時もあれば米の時もある。今日はどうやらパンらしい。



「そうそう、柚月。高校はどう?楽しい?」

「楽しい楽しい」

「あら、そう。良かったわよね淳也くんに進められて今の高校に入れて」



棒読みの私に対し母はニコニコと対応してる。私は別に好きで今通ってる高校に入学したわけじゃない!!と思いながら目玉焼きを箸で刺す。主な原因は私の隣に座ってパンをかじって髪の毛爆発中の淳にぃである。






何を隠そう淳にぃは今現在私と一緒に暮らしている。去年の12月頃に淳にぃのお父さんが4月にイギリスに支社を出すということで社長でもあるおじさんは2年間行くことになった。ラブラブ夫婦なのでもちろんおばさんも一緒だ。

しかし淳にぃは日本に残ると言い張ったのでおばさんは心配した。一人息子を残し遠いところに行くのだ、さぞ心配だっただろう。そこでお父さんが我が家で淳にぃを預かると提案し、夫婦は淳にぃを預けて3月末に日本を発った。



そして淳にぃとおじさんおばさん。そして私の家族は私に淳にぃが通ってる私立高、聖ボヌール高校に入学してくるように進めた。だが、私は断った。

考えてみて欲しい、幼小中とイケメンと一緒だったのである。妬まれない方がおかしいだろう。中学の時が一番ひどかった。中学3年生になって淳にぃが学校にいないためとても平和だった。だから私は淳にぃとは違う高校が良かったので断固拒否した。




















「淳也くんって次の生徒会長間違いなしだそうよ」

「へー」

「ねえねえ、柚月。淳也くんの生徒会長姿見たくない?」

「去年見たからいい」

「えぇ――――――――――――、柚月見たいわよね?ね、そうよね。それに制服も可愛いのよー」

「興味ない」




私はとことん拒否したが諦めなかった母は私の進路希望調査を聖ボヌール高校に変え、なんとそれで受理されてしまった。さすが蜜柑姉さんを育てた人である。

自分の思い通りに強引にモノを進めようとするところは完全にお母さん似。私はめんどくさがり屋のお父さん似である。

私はそれに憤慨し自分の部屋に引きこもった。それにお母さんは困惑し、淳にぃを呼び寄せ説得させようとした。



私は見事説得されてしまい、渋々と聖ボヌール高校に入るために勉強をした。

だって淳にぃが泣きそうになりながら「俺と一緒じゃ嫌なの?」って聞いてくるから!!「俺のこと嫌い?」って悲しむから!!私は淳にぃに甘いことを痛感した。

それでも私は違う高校に入ることを諦めなかった。聖ボヌール高校は偏差値が高く当時の私にはとても入れるようなところではなかった。

だからきっと落ちてしまうだろうと思っていたが、なんと淳にぃが私の家庭教師となってしまった。さすが学年トップ。とてもわかりやすく次々と吸収していくといつの間にか偏差値が届いており、合格してしまったのだ。唯一救いだったことは私と同じ出身中学校の生徒があまりいないことだろう。








「ごちそうさま」

手を合わせて礼を言って、早々に立ち上がって自分の部屋へ制服に着替えに行く。









私が家を出ようとして靴を履いていたら、後ろから淳にぃがやって来た。爆発していた髪の毛はカッコよくワックスで整えられ、ブレザーは開け放たれ、シャツのボタンは2個ぐらい開けられており無駄な色気が出ている。なぜこんな制服姿の人が生徒会長になれるのだろうか?校則違反ではないのか。

「先に行こうとするなよな」

淳にぃも隣で靴を履き始める。けど、私のほうが早かったので玄関の扉を開けて駅までの道を歩くと慌てた顔で淳にぃが追いかけて来て並んで歩く。



「淳にぃ離れて」

「柚・・・ひどい。まだ駅に着いてないのに・・・って柚、聞いてるの?」



私は淳にぃのことを無視して周りに誰もいないか確認する。

私は聖ボヌール高校に通うにあたって条件を出した。

その一、駅からは離れて登校すること

その二、学校では他人のフリをすること

その三、一緒に帰らないこと

察して欲しい。淳にぃはモテる。モテまくりである。そこに私みたいな小さい頃から知り合いの女が登場してみろ。私はすぐさま肉食女子によって学校に行けなくなるだろう・・・たぶん。しかも一緒に住んでいることがバレたら八つ裂きにされる。

噂によればファンクラブもあるらしい。マジでか。




というわけでいくら駅までの道だとしても聖ボヌールの生徒がいないとは限らない。用心することに越したことはない。

駅までの15分間は私にとって戦いである。




「そんなに険しい顔するなよな」

「険しい顔させてるのが淳にぃだけどね」

「俺は何もしてないぞ」

「じゃあ、次から私一人で先行くから」

「ええぇぇー、やだ」




やだじゃないってーの。

淳にぃは頬を膨らませ、せっかくのイケメンが可愛くなってる。私はため息をつきながも一緒に歩くことにする。

ちらっと横の人を見る。青っぽい黒髪に少し眠そうな目で形のいい薄い口。学校では目は鋭く細められ凛々しく俺様キャラである。



他愛ない話をしていると駅が見えてきたので私は徐々に歩くスピードを速める。もう恒例になってきたので淳にぃはさっきみたいに文句を言わない。




「しっかり確認してくれよー」

「わかってる!」




私と淳にぃは徐々に離れ他人のふりをして電車に乗って登校した。





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