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キョウゲキ部vs生徒会・開幕

反逆声明から1ヶ月以上経った。

もう登下校の景色は冬色だ。

雪は降っている時と止んでる時とその時その時で違う。

Skypeで決めたオレ達キョウゲキ部と生徒会の対立と言うのは構図以前に基礎から成り立っていない。

理由は簡単だ。生徒会がオレに一切の命令を出さないからだ。

雑務の様な命令すら来ない。

オレが痺れを切らして命令を求める事を待っているようにしか思えなかった。

教室でオレがそんな事を思っていると噂話のようなものが耳に入った。

「なんでも生徒会長が入院中だとかって噂だ」

「え、マジ? じゃあ今生徒会を仕切ってるのは・・・」

「副会長じゃないらしい。副会長からの報告を受けて病院で生徒会長自ら指示してるって話だ」

「うわー・・・仕事熱心だな・・・俺ムリだわ」

「俺もそこまで仕事だとか学業だとか熱心になれねぇと思った」

生徒会長が入院? バカな、と思った。

それを確認しに生徒会室に行ったところでオレは啓作の立てた計画を破綻させてしまう。

だから、確認にも行けない。

そんな時に啓作と義一が一緒に登校してきた。

「よぉ、ちょっといいか」

オレは二人を連れて人気の少ない場所に行く。

「今、噂をたまたま聞いたんだけどな。生徒会長が入院中とかって噂が流れている」

オレの話を聞いた途端に啓作は顎に手を添えて考え始める。

「罠・・・? それとも───」

うわ・・・独り言でなんか物騒な事言ってる・・・。

それ以前にそこまで考える必要はあるのか?

「と、とりあえずだ。オレは生徒会室とか行けないだろ?」

二人とも頷く。

「で───」

「俺はお断り」

言いかけた傍からスッパリ断り切られた・・・。

啓作に断られたから義一に・・・。と思って義一の方を向くとそっぽ向いて口笛吹いてる?!

誰も探る奴は居ないのか!?

ってかこのままだと───。

「このままだと生徒会との対立構図の件はどうなるんだ?」

少なくとも目的が達成出来ないと思うんだが・・・。

「こっちはあくまで受身。偵察とか攻撃姿勢はいらない」

うわ・・・啓作は完全に知略戦の頭だ・・・。

で、義一はと言うと・・・知らん顔?!

えー・・・オレ、どうすればいいんだ・・・。

とりあえずそのまま話は終わってしまい授業へ。


授業中も考えた。

啓作は知略戦の頭だから偵察とかしないだろう。

義一は・・・そういえば生徒会にあんまり関わりたくないって感じだったな・・・。

面倒事はイヤ・・・だよな。オレの事もあったし。

となると誰かに・・・。頼るしかないよな。

でも・・・思い当たる人は何人か居る気もするけど・・・。

なんかどれも当てにしてはいけない人ばかりな気がした。

あ・・・そういえば一人は頼れそうな・・・。

それこそ、敵陣の真っ只中に行くようなものだが。

でも、それくらいの無謀な賭けは必要だと思った。

肉を切らせて骨を断つ程じゃなくても相打ちみたいには出来るだろう。

特に今後は生徒会対キョウゲキ部と言う構図を生み出すって計画がある以上はオレがこの賭けに勝たないと意味が無い。

それにあの場所を知ってるのはオレと啓作だけ。義一は知らない。

で、啓作は知略戦の方が向いてる。

実際に行動するのはオレだ。

それからオレはこの事は黙って実行すると心に決める。

放課後までは時間がある。

しばらく二人がどう動くか見てもいいだろう。


「久々だな・・・九邸宅」

とりあえず実際にここまで来た。

啓作と義一を学校に居る間ある程度は見ていたがそれ程何かするって感じはしなかった。

そして、放課後に寄り道でここにオレが居る事も二人は知らない。

「アポ無し・・・は二度目だ。当たって行くしかないな」

インターホンを押す。執事さんらしき人が出て事情を話すとすんなり入れてもらえた。

「お久しぶりです。五六さん」

礼儀よくと言うべきか・・・。書斎に入ってすぐになんか躾けられた犬のように挨拶する。

「おぉ、麒代君久々じゃな。で、何用かね?」

座ってるがこの人は相変わらず瞳の奥がギラギラしている。

「生徒会長が入院したと言う噂が学校で───」

「ふむ、一二三なら療養中じゃよ。この邸宅の座敷で」

話を途中で読まれた?!

いや、予測は出来るか。にしても入院はデマか。

でも、療養中って・・・。

「あぁ、療養は私の意見だ。最近の一二三は色々疲労が溜まっておるみたいでの」

疲労・・・あぁ、既にオレとは対立関係だもんな。

キョウゲキ部とも対立の位置なんだろうか?

それはさすがに聞けなかった。

聞いても知らぬ存ぜぬで通されるからだ。

「それじゃオレは───」

とりあえず入院と言うデマが確認出来ただけでもよしとして帰ろうとした。

「待ちなさい」

それを踵をひるがえし帰ろうと一歩を踏み出した瞬間に止められた。

「入院の話は多分、時雨君じゃよ。一二三に言われて流したんだろうて」

つまりは罠か。

オレがここに来るのも見越している・・・?

だとしたらすぐにでも立ち去るべきだろう。

「まぁ君が来るのも分かっていたようだしの。言伝がある」

伝言・・・なんだろうか?

オレは気になって振り返って話を聞く。

「『キョウゲキ部との対立は啓作君の案だろう。それには乗る。だからしばらくは休ませてくれ』と言う事じゃ」

それって今は弱っていて反撃するチャンスだと言っているようなものだ。

襲って首輪の解除キーを探す事も出来るだろう。

ただ、それをしたらオレは二度と今のオレには戻れないだろう。

分別は出来る方だと思っていた。が、実際には今迷っている。

見舞いと称してガサ入れしようかとか。

そんな事してもこの首輪は早々には外れないのも知っている。

ただ、このまま帰って対立構図が出来るまで何もしないと言うのもなんか腑に落ちない。

そこでオレは一つだけ御老公たる五六さんに話す。

「生徒会長にお伝え願います。オレは────」

「あぁ、分かった。伝えておこう」

その一言を言うとオレは改めて九邸宅を後にする。

オレが言ったのは・・・秘密だ。

特に啓作や義一には知られたくない。

賭けたんだから。

何を賭けたかは簡単。オレ自身。

ゲームの内容。それは至ってシンプル。

キョウゲキ部との対立構図が成立するかしないかの賭け事。

もちろん期限は今年の12月31日まで。

それまでにキョウゲキ部との対立構図が出来ない場合は首輪の情報をオレに開示する事。

そして、今は11月も中旬。

乗ってくるかは知らない。

ただ1ヶ月以内に対立構図を作る。目的はそれだけ。

って言うのは嘘だ。

オレは昔こういうのを遊びでしていた。

だから今も遊びに興じているだけ。だけど、昔のオレだったら負け知らず。

喧嘩に賭け事を混ぜ込んでやっていたんだから。

だけど、『今』は違う。

相手は知略で賭け事に望んでくる。

オレが到底敵わないレベルの知略の持ち主。

体力面ではオレと匹敵するのは副会長。

それはオレが本気を出さないで居るのと健全たる男子のちょっとした下心と言うよりもパンチラの影響があればの話。

本来のオレだったら・・・喧嘩に明け暮れているはずだったオレならば確実に匹敵するのは居ない。

それくらいの体力があると自負出来る。

だから、オレが賭けたのはその体力面で劣るであろう生徒会長だからだ。

どんなに策略を持っても生徒会長本人がオレ達キョウゲキ部との対立構図を構成出来ていないのであればオレの勝ちだ。

結果的には開放される。

されなくても首輪に対してなんらかの対処が出来る事になる。

でも、開放される事を本気で望んでいるかと言うとなんか違和感が残る。

だって本当に開放だけを望むなら転校と言う最も簡単な手段がある。

その辺は躾けられた感じがしないでもない。

いわゆる従属とは違う意味での・・・そうライバルだとかそれに近い感じだ。

居ないと居ないでつまらない、けれど居れば居たで反発する。

それを生徒会長は楽しんでいる。オレは楽しんでいない。

ただ、それだけだったと思う。

でも、それが当たり前になっている感じがする以上不意に無くなってしまったら違和感だけが残るのも頷ける。

そんな思いもあったがオレはそのまま帰宅する事にした。


翌日、生徒会長の指示だろうか。掲示板に張り紙が出されている。

『生徒会は本日よりキョウゲキ部に課題を課す。

内容は極秘。

これを破棄した場合、キョウゲキ部は生徒会に反逆したものと見なす。

実際に取り締まる事は無いが目の敵にされる事を覚悟。』

さっそく動き出した。

そして、それは望んだ展開とは違うけれど確実に計画を進める追い風にはなった。

その代わりオレの自由は生徒会長が卒業するまであるいは飽きるまでは確実にオレは生徒会長のオモチャだ。

張り紙を見た啓作はさっそく動いたようだ。

生徒会室に行きたった一行のメモを置いてきたと言ってた。

内容はただ単純に課題は受けませんだけ。

それでも十分に条件は満たしたわけだ。

オレ達と生徒会との戦いはもう始まっている。

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