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反逆

不思議な一日を体験してからオレは生徒会長に対する不信感が募っていた。

「あー───なんでこんなにイライラ───」

そう、なんか不満があるってわけでもないけれど何かが引っかかってイライラする。

マルみたいに話しかけられて満足すると言うような事も無い。

今朝も廊下で生徒会長とあって少し話をした。いや正確には命令された。

「今日は見回りだ。後で時雨と回るように」

これだけだ。オレの話は聞いてもらえない。

それに不満があるって事でも無い。

ただ、何か物足りないと言うか・・・。

オレ自身が腑抜けて自分自身に苛立つと言うなら理屈だとかは分かる。

けど、生徒会長と会ってイライラすると言うのはオレがまだ腑抜けてない証拠だろう。

だけど何に苛立つのかが分からない。

やり方? それとも必要以上に会話しない事? ロボットみたいな態度?

何を考えてもピンと来ない。

生理的に何かが気に食わない?

それが最も近い気がするけど実際にはそれも違う感じだ。

なら何がオレを苛立たせるんだ?

まったく心当たりも無くイライラだけが募っていく。

それは不愉快で不快で心がざわめく。

恋・・・だとかそういうのだったらまた違うだろうがオレは男に恋するような性質じゃない。

それは啓作との関係で身を持って知ってる。

だったらこの苛立ちはなんだ?

正直自分の事なのにオレ自身は分からない。

他人に言われてそれかも知れないと思うかも知れない程にグラグラだ。

オレ自身の根幹が揺らいでる?

「あーなんなんだ・・・。この気持ちは・・・」

こういう時、ガキなら何かに苛立ちをぶつけて発散したりするんだろう。

だけど、オレは・・・。

オレの場合は力を振るえば他人を巻き込む。

「クソッ」

机を思い切り右手で叩く。

今は休み時間。気にするとしたら啓作や義一くらいだ。

けど、あの二人も今は居ない。

クラスメイトに呼ばれて少し話をしに行ってしまった。

机を叩いた右手が痛む。

授業が終わってからオレはまだ一度も立っていない。

ずっと考えてるからだ。この苛立つ理由を。

何をすれば解決出来るのかがさっぱりだ。

キョウゲキ部はどの道放課後。今啓作達が居ない以上話す事も無い。

一人デ抱エ込ンデイル?

いや、そんな事は・・・ないはずだ。

独リハ寂シイ・・・。

今は昔とは違う。

デモ、孤独ヲ感ジル。

うざい。もう一人の自分がいるような感覚が。

・・・時計を見るとそろそろ4時限目。オレは副会長と見回りしなければいけない。

自分ノ意思デ動イテイルカ?

・・・あれ、最近オレは自分の意思で、望んで従っている?

「んな事は無いはずだ!!」

急に大声を出したから回りの視線が集る。

キーンコーンカーンコーン──。視線が集ると同時にチャイムが鳴る。

オレは逃げるように教室から出て副会長を探す。

マダ反逆ノ意思ハアルカ?

まだ自分の中の幻聴が響く。

ん? 反逆の意思? 生徒会長に逆らう・・・?

見回りを放棄して屋上でサボる。

確かに少しは抵抗出来る。

けどしたところで反応はいつも通りだろ?

少シハ変ワルカモ知レナイ。

変わる? 何が変わるんだ?

馴レ合ウ関係カライガミ合ウ関係ヘ。

それで誰が得すると言うんだ?

自問自答しながら副会長を探す。

が、待ち合わせの場所、教室、生徒会室何処を巡っても居ない。

得スル奴ハ居ナイ、ケレド退屈ナ日々カラは開放サレル。

得はしないなら反逆する意味も無いだろう。

悪魔の誘惑ってこういう事を言うんだろう。

ただ、なんか生徒会長の顔を思い出した途端にイライラが募る。

ソノ苛立チヲ本人ニブツケテ見レバイイ。

そんな事で解消されるのか?

ソレハオマエ次第ダロ。

オレ次第・・・。

副会長を探す足を止めて考える。

どうせ探すなら生徒会長を・・・。

そして見つけて反逆宣言をする。

それだけでどんな反応が来るだろうか?

それを考えると少し楽しくなってきた。

あぁ、そうか最近対立する事が少なかったな・・・。

従順な犬に成り下がってた事を自覚する。

その瞬間にガックリする。

「オレ・・・生徒会長をご主人様だと刷り込まれていたんだな・・・」

何か呪縛みたいなものを感じてゾッとした。

腹黒いと言うべきか・・・。オレが単細胞なのか・・・。

どっちにしても改めてオレは宣言しなければならない。

そう思って生徒会長を探す。

副会長が居なかった場所には生徒会長も居なかった。

屋上? そんなところには居ないだろうと思うけども一応足を運ぶ。


バンッ。屋上の扉を思い切り開ける。

副会長と共に風を受けて心地よさそうにしている生徒会長が居た。

「二人してサボりですか?」

屋上へと出つつオレは尋ねる。

言葉使いは敬語・・・その辺もオレはいつの間にか刷り込まれているのもかも知れない。

「ん~別にボク達はサボりってわけじゃないよ」

副会長がこっちを見ずに先に答える。

「一仕事終わったところです。・・・時間も時間ですし時雨、麒代と見回りに」

生徒会長は副会長を見て促す。

副会長は少し膨れっ面になって渋々オレの方へと歩いてくる。

「オレは・・・行きません」

棒立ちのままオレは生徒会長に宣言した。

生徒会長は黙っている。

・・・ここから反逆の幕開けになる。そう確信している自分が何処かおかしい。

「改めて宣言します。オレは生徒会長のペットではありません。だから従う理由はありません」

まだ敬語・・・生徒会のやり方、空気に染まりすぎたな・・・。

それでも確信している自分は変わらない。

ピリッ。返事を待っているといきなり首に電流が流れた。

「30点」

返答はそれだけだ。

反逆するならもっと反逆してみろって事か。

その返答に対してオレは逃げるように屋上から走り立ち去る。

逃げている時点で負けだ。そう思った。

いや、戦略的撤退と考えるべきか?

無謀にも突撃して玉砕したから戻って戦略を考える。・・・って何処に戻るんだ?

屋上は占拠されている。教室に戻ったりしたら啓作や義一を巻き込みかねない。

これはオレと生徒会長のタイマン・・・のはずだ。誰も割り込ませたりさせない・・・させたくない。

思考がどんどんズレる。

まずは・・・何処に戻るか。

体育館倉庫・・・違うな。

トイレ・・・職員室と同じで論外だろ。

庭園・・・じゃ屋上の二人に見えるか。

ある意味封殺されているな。

いっそ学校外に・・・それこそ逃げだな・・・。

隠れるのもありだとは思う。けど、何処に行ったって同じだ。

なら、動きながら考えるだけだ。

次に考えるべきは・・・作戦。

どうすれば反逆出来るのか。

そんな事を動きながら考えて辿り着いたのは放送室の前だった。

直感がオレを駆り立てる。

今は四時限目で放送室には誰も居ない。・・・もう動じない。

鍵を壊してでも公開宣言してやる。そんな感じだった。

が、ノブを回すと鍵は掛かっておらず開いていた。

それこそオレが来るのを予感して誰かが開けておいたかのように。

中に入るとオレは機材どう触るべきか考えようとした。

しかし、そんな事させないかのように初心者にも分かりやすいマニュアルが置いてある。

これは・・・放送部の新入部員の為のマニュアルだろう。

誰かが予測して置いておいたのではなく元々ある物だ。

マニュアルを見ながらある程度操作していく。

設定は完了し後はマイク付近にあるボタンを押して発言するだけ。

手が震える。いざとなってビビっている。

「反逆の意思はどうした?! 悠と戦った時みたいに勢いで乗り切れるはすだろ!!」

しかし、それでも手が震える。

今までの全てをぶち壊してでも反逆する意思は・・・オレには無い。

だけど、生徒会に与するような今の状態でも居られない。

あぁ・・・迷っている間にチャイムが鳴りそうだ・・・。

時計を見て覚悟を決める。そしてボタンを押す。

「あー。あー。オレ、徳間麒代は生徒会に反逆する!!」

続けてオレはこうマイクに叫んだ。

「オレは生徒会の犬じゃない。ましてや生徒会長・・・いや九 一二三、オレはあんたのペットじゃねぇ!!」

完全に宣言した。

ここで生徒会長に褒められる事とかを求めたら反逆は失敗、オレは一生服従するしかない。

でも、慣れきった環境から新しい環境へと変えようとするには恐怖だとかを抱え込む事になる。

まぁまずはこの放送室を無断使用した事で怒られる事は必然。

それは覚悟の上。

宣言はした。後は着々と反逆を続けるだけだ。

過酷な戦いに・・・いや、伸される日々は悪化するだろう。

それと電流を食らうのも増えるだろうな。

そんな事も承知の上。

なら、貫き通すのがオレの意地だ。

後悔スル事ハ無イヨウニナ。

言われるまでも無い。オレはこの高校生活に後悔という二文字を付ける気は無い。

中学時代に付いてしまった後悔にもケリは付けた。

だったら今は後悔するよりももっと前へと。前だけを見て進めばいい。

ただ、啓作や義一にも放送は聞こえたはずだ。

あの二人がオレから離れるか、それともオレの背中を押すかによっては少しは後悔するかもな。

後悔シタラ一晩ダケ泣キ後は振リ返ラナイ事ダ。

後悔する前に友情に亀裂が入ったらそこは修繕して別の道を進む。

それで後悔はしないはずだ。

手をぐっと握ってオレは覚悟を決めた。

それがオレの意地だと。

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