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演じるはキョウ

「キョウゲキ部ですか・・・」

生徒会室では生徒会長が副会長の報告を受けていた。

「うん、まだ部活内容とか不明点多いんだけどねー」

楽しんで話す副会長。虫を潰すのを楽しむ無邪気な子供のように。

「とりあえず申請は受理です。この後の行方はしばらく様子を見てから決めましょう。時雨、君は先走って潰しにかからないように」

物騒な会話が生徒会室に響いていた。


「キョウゲキ部が受理されたのはびっくりだったけど受理されてよかったな」

申請を出して翌日には受理された。その事が嬉しくてオレは啓作にニコニコと話しかける。

「・・・潰しに来るだろうから要注意だけども。部活は出来た。これ以上の勧誘は無いと思う」

啓作は今後を見据えている。

「そやなー。生徒会長や副会長とはあんまり会話した事は無いけど雰囲気的には常識的な事ばかりじゃないと思うんよ」

義一の言う事にも一理ある。

弾圧とでも言うべきか・・・。この首輪もそうだけどもちょっと常識的な事ばかりではないよな・・・。

「で、なんか演じる上で参考になりそうな事とか無いのか?」

そう、キョウゲキ部は一応演劇も含めた部活として提出してある。

部室はもらえなかったがやる事をしないと色々目をつけられる。

特にオレが居る時点で目をつけられているんだ。

何かあれば一捻り。それだけじゃなくても狙われるだろう。

「こういうのを見つけた」

そう言って渡されたプリントには学園×異能RPGとジャンルが書かれ、

ラノベ式オンラインゲームと銘打ちされているゲームがドーンとフルカラーで印刷されていた。

「楽園?」

聞いた事が無いゲームだ。それにラノベ式オンラインゲームと言うのもイマイチピンと来ない。

「TRPGとかの発展系らしい」

TRPGと言われても全然分からないんだが。

「で、このウェブトークRPGと言うのはプレイヤーはキャラを演じる。

キャラは文字でどう動くかとかをプレイングと言う形式で出してマスターと呼ばれる人達が判定をしてリプレイ・・・つまりは小説のように物語で反映される。

とは言っても俺達学生はこの部分には触れないでキャラ設定とかの部分で利用していこうと思う」

ふむ・・・ちょっと分からない事が多いけどキョウゲキ部の条件を満たすわけか。

「他のでもよかったんだけどな。学園と言う意味では演じやすいと思ってこれにした」

その選択は間違ってないな。

他って言うのが分からないが多分、異世界だとかがメインだとオレも演じきれない。

学園モノならオレ達は現役の高校生だから素でいける。

「それとこれの申請を出しておくから放課後パソコン室集合でよろしく」

あぁ、これはパソコンでやるゲームなのか。

なら、家でも問題無く設定を練り込んだり出来るか。

「義一の家ってパソコンあるのか?」

今時無いってなるとさすがに不便な世の中だ。旧式でもあると思いたい。

「あるにはあるよ? 最新型が」

「へ? 最新型?!」

さすがに驚き、唖然とした。

オレの家のパソコンはちょっと型が古い。今の最新型からだと1世代か2世代くらい前のパソコンだ。

そんなオレと同じくらいと思ってたのがバカだった。

「あーまぁワイが使えるのは与えられてるノートだけやけど」

複数台所持?! さすがに差がありすぎる・・・。

「あぁ・・・そうか・・・」

ちょっと負けた感でガックリきた。

オレ・・・どれだけ古いんだろうか・・・。

そう思う程には自分でも古臭いと感じていた。


───放課後。

オレ達はパソコン室に居た。

基本的にパソコン技能研究部が使用しているからオレ達は隅の3台を使う事になった。

「とりあえず楽園で検索」

啓作の言葉通りに検索するとすぐに引っかかった。

「キャラ登録ッって言いたいところだけど今日は手続きだけ」

そう言って啓作はパソコン3台を登録画面まで持っていく。

あぁ、この会社のIDが必要なのか。

ゲームの運営は雲門・・・。

んー・・・やっぱり知名度の関係なのかオレは知らない。

まぁやっていくうちになんとかなるだろう。

登録の画面を進めていく。

「メールアドレスは家のパソコンの奴で登録な」

メールアドレスを入力してパスワード等も書いて登録を進める。

「後は家で」

学校でやるのはここまでか。

その後、教室に戻って鞄を持ってそれぞれ家に帰った。

帰宅してからすぐにパソコンをつける着替えるのも忘れて登録を完了した。

「これでokか」

とは言ってもこれからどうすればいいとかって言うのが分からない。

───────。大音量で着メロが鳴る。

『麒代、登録は完了させたか?』

「あぁ今したところだ」

『パソコンのメールアドレス教えてくれ』

啓作に口頭でメールアドレスを教えるとすぐにメールが届いた。

片手で打ってるのか・・・凄いな。

中身を確認すると一つのソフトが付属されていた。

「これをインストールすればいいのか?」

『あぁ、それも登録で』

そう言われたので圧縮ファイルを解凍してインストールする。

登録も済ませて啓作に伝えた。

「────これでいいのか?」

『後はこっちから・・・』

Skypeと言うソフト。とりあえず登録してログインしたらすぐに啓作から連絡リストの追加がきた。

それを承認したらすぐにグループにも追加された。

グループを承認すると義一が既に登録されていた。

『後はこっちで』

その一言を言って電話を切る啓作。

オレは息つかぬままにSkypeの画面を見る。

するとチャットなのか啓作の言葉が書き綴られる。

『とりあえず全員、登録は済んだか?』

いつもの啓作とちょっと雰囲気が違う・・・?

なんて言うか上から目線と言うか・・・。

『まぁとりあえず』

『同じくー』

『では、このまま進める』

このままチャットで進行するらしい。

『楽園はお気に入りに入れておくこと』

まぁ部活で使用すると言う名目上入れないとマズイよな。

一先ず楽園と言うゲームをお気に入りに入れてそれをチャットで報告する。

義一もお気に入りに入れたと言う報告がチャットにされた。

それを確認してか啓作がキャラの登録云々を説明しだした。

ようはさっき登録したIDを使ってキャラの登録をしろと言う事だ。

『キャラについては作ったと言う事だけは報告するように』

それは言われなくてもする。

『ただし、キャラ名とかは伏せるように』

『どういう事だ・・・?』

『出会いから演じる、つまりはキャラそのものが出会う事からこの部活は始まる』

つまりは何処で出会うか分からない状況でどういう出会いをする事も含めて全てキョウゲキ部の活動と言う事か。

『おー出会う事すら演じるっておもろいなー』

義一・・・のん気に言うがそれって誰がどのキャラかって言う把握すら出来ないと言うことだ。

つまり、場合によっては知らない人が混ざる可能性もあって危ないという事だ。

・・・とは言っても合言葉があれば多分把握は出来るだろう。

『設定で大体同じキーワードが必要かもな』

とりあえずの提案をしてみる。これで出会いから演じられれば凄いものだ。

『そうだな・・・共通のキーワードは「キョウゲキ」。

読み方がキョウゲキであれば漢字変換しても構わない。

これでどうだ?』

さすがにそれが無難と言うか安定するだろうな。

それに、それぞれが思うキョウゲキの形も理解出来るだろう。

啓作や義一がどう思っているかは知らないがオレが思うにキョウゲキの形は自分自身の何処かに引っかかるものだ。

それが例え後悔してもしきれない過去だったり、思う未来だったとしても。

『あぁ、それでいい』

『ワイもそれでええよ』

こうして、キャラも作って出会う段階からキョウゲキを始める事になったオレ達。

ある意味ゲームだから縮図のようにも見える。

関係性、因果、出会い・・・。オレ達自身であって違う存在を演じるキョウゲキ。

出会う、つってもこのゲームの場合普通のゲームみたいに街を散策するとか言う事は出来ないのか。

教室は・・・シナリオ?

あぁ、これは有料か。

部室は・・・コミュニティみたいなものか。

ふむ、色々あるんだな。

ん? 楽園の部室に見慣れたと言うか多分、啓作が義一のどっちかが立てたと思われる部活があった。

『キョウゲキ』

覗いて見るとまだ出来たばかりと言う感じだ。

入部条件とかは無いのか・・・と言う事は───とりあえず拠点代わりに入部しておくか。

入部申請を出す。コメントは・・・無しで。

クリックですぐに入部は受理された。メールで届いたから間違いない。

部員一覧を見ると三人しか居なかった。オレのキャラと他二人。

多分、啓作や義一だと思う。

キャラを確認する。一人は設定に『協激』と書いてあった。もう一人の設定には『恐撃』と書いてある。

ちなみにオレの設定には『凶逆』と書いてある。

Skypeはそのままにしてたから気付かなかったが二人で話しているようだ。

「ログは・・・確認しなくていいか」

そんな事を一人呟いてチャットに書き込む。

『よぉ』

『あんた誰?』

あ、もう演じているのか・・・?

素で入ってしまった・・・。

オレも演じないとか。

『ぼ、僕は・・・コウマユウキ』

オレって言い方は今のオレだ。・・・それに不満は無い。

だから、変えたいと思った事のある過去をイメージしてこの名前にした。

『ユウキね。私はワタリレイカ。よろしくね』

積極的に話してくる女のキャラで喋ってくる啓作。

義一は無言のキャラなのか積極性にかける感じだ。

こんなんでキョウゲキ部としてやっていけるのか?

そんな心配は残りつつもその日出会うと言うシーンを演じた。

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