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大凶エンカウント

「大凶じゃぁぁぁぁぁぁああああ」

いきなり、大凶と叫びまわるこの怪しい奴は吉大(きちひろ) 正成(まさなり)

1年のE組でオレとは面識も関わりも無い。

そんな吉大とオレが出会ったのは昨日の事。

義一との一騎打ちの帰り道、オレがなんとなく寄り道で駅前の方まで出ていた時だった。

「────じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」

ぇ? 何? なんか近づいてる?!

ゴツン。

「ッてぇ・・・」

「大凶じゃぁ・・・」

オレとぶつかったこいつは誰だ?

服は・・・オレの通ってる高校と同じ物。

大凶とか言ってる感じだと文系の部活の奴か?

しかし、文系とかもそろそろ合宿だとかで居ないはずだ。

じゃあ気絶しているこいつは・・・なんだ?

少なくとも、オレと同じ1年B組の面子じゃない。知らない顔だ。

なんとなくぶつかって気絶しているこいつの身元が判明しない事にはどうしようもない。

と言う事で持ち物を拝見・・・。って、御札になんかの粉・・・それに数珠か?

何処からどう見てもオカルト系だな・・・。

こういうのは関わると厄介な事に──。

「大凶じゃぁぁぁぁあああああああああああああああ」

「うわっ、なんだ?!」

目を覚ましたこいつはいきなり大凶と叫ぶ。

完全にイカれたオカルト系か?!

「あぁ・・・すまない・・・。君は・・・誰だね?」

このテンションの差・・・なんと言うべきか・・・。

「オマエがぶつかってきて聞いてるんだ。自分から名乗るべきだろ」

こういうテンションが違いすぎる奴はちょっとイライラする。

で、ツンケに言ってしまった。多分、目つきも悪くなっているだろう。

「それもそうだ。自分は吉大 正成。で、君は?」

吉大・・・で何故大凶を叫ぶ必要がある。と突っ込みたいがそれよりも問いには答えるべきだろう。

「徳間麒代だ。オマエと同じ学校で1年B組の徳間麒代だ」

聞き覚えが無いのだろうか? 頭を傾げられてしまう。

「ふむ、では徳間。君は何で自分にぶつかってきたのだね?」

いきなり呼び捨てか。そして何より『オレがぶつかってきた』事にされている。

「あのなぁ・・・オマエが走ってきてぶつかったんだ。歩いてるオレに非は無いはずだが?」

これは正直ストレスだ・・・。こいつを見ているだけでイライラしてくる。

「ふむ、では自分に非があると。それはそれとして自分は何故ここに居る?」

それはこっちが聞きたい。と言うよりも流すな。まずは謝るべきだろ。

マジでイライラする。こういうのは・・・犬猿の・・・いや、違うな。馬が合わないというべきか。

「あぁ、そうだ。徳間探し物をしている。手伝ってくれ」

「はぁ?!」

会ってというより遭遇してまだそんなに経っていないし何より親しいわけでもない。

義理も無いのにか?!

「で、自分は何を探してたんだっけか・・・」

これはダメだ。

「・・・そうだな。明日、ここで合流した時に思い出してたら手伝ってやるよ」

そんな軽い口約束。その一言を言ってオレは帰る。

それでオレは撒いたはずだった。


で、翌日。

オレは建物の影だとかから昨日の場所の様子を見に来ていた。

「こんな事する必要も無いんだけどな・・・」

だからと言って気になるのを放置する事が出来る程我慢強くない。

それで、こそこそと見ているわけだが・・・昨日のあいつは居ない。

いや、居ないほうがオレとしては都合がいい。

あいつの探し物って言うのが胡散臭いしあの格好の傍に居たくないからだ。

今日もあんな格好だとしたらマジで引く。あれは無い。

そして、数時間経っても来ない事を確認してオレが帰ろうと踵を返した瞬間だった。

「大凶じゃぁぁぁぁぁぁああああ」

そう、今あいつは大凶と叫びながら昨日の場所に現れた。

「思い出したのか・・・? ってよりあの大凶じゃぁって叫ぶのどうにかなんないのか? あれじゃ近づきたくないんだが・・・」

正直あのテンションの状態だと近寄りたくない。あいつ自体が危ない人なのに近づいたら危ないだろ。

だからと言ってテンション下がっても面倒な奴だから正直どうしたものか・・・。

「大凶じゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ、徳間が居ないのは大凶じゃあああああああ」

おぃ、オレの名前出すんじゃない。余計に行きたくなくなるだろうが。

ここで、飛び出して突っ込んだら負けだ・・・。

心では突っ込んでいるがまともに飛び出してまで突っ込む気が無い。

やはりああ言うのは関わらない方がいいな・・・。

「わしの大事な宝玉は無くすわ、約束は破られるわで大凶じゃぁあああああああああ」

うわっ余計面倒だ。わしって・・・自分って言い方は敬語のつもりだったのか・・・。

ってか宝玉・・・?

とりあえず叫んでいるあいつは放っておいてその宝玉とやらでも探すか。

そうすれば少なくともアレの大凶を叫ぶ症状はオレではどうにも出来そうに無い。

とは言ってもだ・・・。何処で落としたのやら・・・。

「あぁ・・・わしは宝玉を何処に落したんじゃぁあああああああああああ」

うん、あいつも何処に落したのか把握してないようだな。

で、オレが探すべきなのはあいつがぶつかってきたあの辺からか・・・。

どうやって見つからずにあっちまで行こうか・・・。

いや、見つかったとしてもだ。アレと一緒に行動するのは苦痛だ・・・。

さて・・・ここだといつか見つかるだろう。

移動しなければ・・・ってあいつ何処行った?!

オレがほんの少し目を離した瞬間にあいつは何処かに行ってしまった。

と言うより探し物をしに行ったんだろうか・・・。

なら、オレも探しに・・・って行っても面倒になりそうだな・・・。

ここはしばらくぶらつくか・・・。

とは言ってもだ。あいつに見つからずにとなるとこの辺は危ないか・・・。

物陰からオレはあいつが居た方向とは反対方向に歩き出す。

少なくともこれで確率は下がるだろ。普通に考えれば。

・・・助けない事に罪悪感が無いと言えば嘘になる。が、助けてもなんか後悔しそうだ。

今は様子を見るしかない。これであいつに会うようならオレの運なんてそんなもの。

だから、今は振り返ったらダメだ。

そう自分に言い聞かせながらオレはあの大凶を叫ぶ奴に会いたくないと願う。

しかし、助けてやりたい等と正義感が後ろ髪を引く。

これで本当に会ったら面倒だと分かっているだろう。

「おぅ、麒代やんか」

振り返ると義一が居た。

「何しとるん?」

その問いかけにオレは足を止め話をした。

「ふむふむ、ワイはようわからんけど宝玉か・・・。そういえばそいつの家ってどの辺か分かる?」

義一、手伝う気なのか?!

正気とか云々よりも面倒な相手だと伝えたはずだが・・・。

いや、義一だけなら問題無いか・・・?

「なら、義一は吉大 正成の家がどの辺か探してくれないか? オレは──」

オレは宝玉探すから。多分、家から学校までの何処かで落したりしてるだろう。

この辺には無いはずだ。ってオレも結局手伝うんだよな・・・。

なんて言うか損な役回りな気もするが・・・仕方ない。

オレの口が先走ってるなら身体や心が後からでもいい。もうどうにでもなれ。


それからしばらく時間が経って。

「いやーすまんかった。わしの宝玉は自分で身に着けてた・・・あはは───」

吉大自身が持っていたと言うオチがついて一件落着になるはずも無く。

「自分で持ってて無いとか言うな」

ガンッ。オレは右の拳で思いっきりゲンコツを食らわせるのだった。

「それより、なんで大凶大凶って叫ぶんや?」

案外、こういう事も楽しんでる義一が吉大に聞く。

「自分は・・・家が代々神社の守代としてやってるんだけども───」

そういうのは別に聞いてないんだが。オレは少し話を聞いてる振りをする。

「自分はなんて言うか生まれつき不幸と言うかなんと言うか・・・」

歯切れが悪い。それに不幸じゃない人間なんてこの世の中いるんだろうか?

色々突っ込みたい。いや、突っ込んでもいいんだろうけど。

そこを突っ込むとまた大凶叫びそうで面倒だ。

「で、名前に合わない大凶っぷりに絶望して・・・」

それで叫んでいるのか?! だとしたらとんだ迷惑キャラだな。

「それって不幸が不幸を呼んでるんとちゃう?」

義一、確かに鋭い切り込みだが・・・そんなんで簡単に治るような奴に思えないんだが。

「しかし、もう口癖で・・・」

ほらきたじゃねーか。こういう奴は何を言っても変わりはしない。

にしても、こいつの不幸は異常かも知れないな・・・。

・・・そういえば親父が言ってたっけな。人の言葉には言霊が宿るとか云々。

オカルト過ぎて信じちゃいねぇけど・・・こいつの大凶って言葉は有り得る・・・か?

もし、そうならやっぱり関わるべきではなかったな・・・。

そんな事を思ってる間にも義一と吉大の話は進んでいる。

オレはほとんど聞いていない。

「───だから、自分は名前に合わず常に大凶で・・・」

ネガティブって言うよりは不幸を数えるタイプか。

「オマエはまず、不幸な事を言うの辞めろ。じゃねぇと連鎖するだろうが!!

オカルトじみた事はあんまり好きじゃねぇが・・・オマエの言葉は言霊が強くて言った事が現実になるって感じだ。

だったら、大凶だとか不幸だとか語るんじゃねぇよ。

語った分だけ自分が不幸になってるじゃねぇか───」

なんか切れた感じがした。

それから反論許さずオレの言葉攻めがこいつを締め上げていく。

結局は自分の言葉で自分が苦しんでるだけだ。

「───まず、大凶って口癖を直す事から始めろ。

じゃねぇとオマエはいつまで経っても今と変わらない。

マゾじゃあるまいし不幸だからってそれを口にしてたら意味が無いだろうが!!」

オレは最後まで言い切った。そして少しの沈黙が辺りを包む。

オレの言葉は最後まで反論どころか罵声に近いな。

これで余計に追い詰めたらオレとしては後味が悪い・・・。

とは言っても我慢出来ない程にグチグチと大凶を語られるのは苦痛だ。

気持ちを天秤にかけるなら大凶を語られるよりもバッサリ否定してやる方がいいと傾くはずだろ。

「そうやな。まずは口癖を直す事から始めないとな」

お、意外と義一分かってるのか?!

これであいつが努力するとかの一言を言えばオレとしては丸く収まる───。

「・・・出来るかな?」

ぇー?! ここで疑問系?! いやいやいや、疑問系ならまだなんとか丸く収まるだろう・・・。

「出来るかな? じゃなくてやるんだ」

おーオレにしてはいい事言った気がする。

「・・・ど・・・」

努力すると言え。

「どうにか・・・やってみようかな・・・?」

あーダメだったー。結局、その後必死に説得する必要性も無かった為にオレ達はこの大凶を語るオカルト野郎はそのままにする事にした。

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